AUDI|アウディ|松井龍哉 vs アウディR8 (1) 「少年たちの足を止める引力」
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2015年4月15日

AUDI|アウディ|松井龍哉 vs アウディR8 (1) 「少年たちの足を止める引力」

Vol.1 松井龍哉 vs アウディR8

Chapter1 少年たちの足を止める引力

ロボットデザイナーという立場で松井氏が語る、スーパーカーの存在と未来。ローマで遭遇したある場面で、デザインの力について考えた。

──アウディR8は、「日常で使えるスーパーカー」を謳っています。
二律背反するようなアウディの提案をどのように感じますか?

松井 スーパーカーと聞けば自然と胸が高鳴る世代ですからね。期待が膨らみます。では、どんな存在がスーパーカーかというと、それを考えさせられる場面に遭遇したことがあるんです。

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ランボルギーニ・ガヤルドLP560-4 (Photo by Lamborghini)

去年行ったローマの日本食レストランの駐車場に、「ランボルギーニ・ガヤルド」が駐車してあった。そこにサッカー少年の集団がやってきて、立ち止まってみんなで議論をはじめたんです。

「まるで生き物みたいだ」「後ろから見たほうが迫力がある」「オレンジ色が似合うんじゃないか」。あの子供たちにサッカーを忘れさせるほどの引力がガヤルドにはあったんですね。
そういうデザインのツボが満載なクルマは本当に自然と人が引き寄せられます。

──日本の街角では、

そんな光景はほとんど見られませんね

松井 そうですね。それには風土の違いというものもあります。去年、グッドデザイン賞の自動車部門の審査員を担当させてもらったんですが、いろんな思いを込めてガヤルドを推薦しました。審査会場に居並ぶ日本車のなかで、それはもう異様な存在感を放っていました。
でも、審査員の目には必ず留まります。実際に何人も運転席に乗っていました。

やはりモノにも人を惹きつけてやまないオーラはあると思っています。それは外観だけから放たれるのではなく、エンジニアリングと融合したデザインの力でしょうね。

──アウディR8からは、
そんな匂い立つようなオーラを感じますか?

松井 外観から受ける印象は、非常にアウディらしい。優秀な人が相当な冒険をした、という勝手な印象をもちました。これまでの技術やレースでの経験を活かし、満を持して発表しただけあって、スーパーカーにふさわしい独自の迫力は、さまざまなディテールからも紡ぎ出されています。

そして全体感として、より率直な感想を言えば、誠実に計算されたエモーショナルを感じます。それさえロジックで弾き出せるという点で、伝統を重んじるアウディらしい完成度に満ちています。

ひとつのデザインが製品へとなるまでの幾多の挑戦が随所に見られます。R8は、アウディデザインにとっても大きな賭けだったのではないでしょうか。本当に頭の下がる誠実な仕事をされたと思います。

           
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