盛りあがりをみせたLAオートショー|L.A. Auto Show
LA Auto Show 2013|LA オートショー 2013
盛りあがりをみせたLAオートショー 2013
2013年12月1日(日)、多くの来場者を集めた「LAモーターショー」が閉幕した。奇しくも東京モーターショーとまったくおなじ日程で開催され、ニュース性を危ぶむ声もきかれたが、ふたを開けてみればじつに22台のワールドプレミアと56台の北米プレミアを有す大成功のショーであった。
Text by SAKURAI Kenichi
Photographs by WATANABE Shinsuke
東京とおなじ日程での開催
ポルシェは当初、新型SUV「マカン」をLAモーターショーでのみワールドプレミアするという話をしていた。ポルシェ最大のマーケットである北米で、しかも、もっとも自動車人口の多いカリフォルニアのLAモーターショーでワールドプレミアするという話は、いかにも当然といった印象だった。
ふたを開けてみれば、「マカン」は、LAモーターショーと同時に東京モーターショーでもワールドプレミアされたワケだが、LAモーターショーの会場は、いつものペトリーホールという中規模の会場を独占使用し、ここに5台の「マカン」持ち込んだ。
注目のワールドプレミアは、20日のプレスデイではなく、その前日となる19日の夜のプレビューナイトでおこなわれた。これは東京モーターショーのプレスデイ初日よりも早く、LAで公開するための策だった。そう、東京とLAには17時間の時差がある。
前日の11月19日(火)19時55分、東京モーターショーのプレスカンファレンスよりもわずか20分前に、マカンはLAモーターショーのポルシェ ブース(といってもペトリーホールをまるまる独占する規模だが)で、全世界初公開されたのだ。会場にはすでに報告したように、ブランドアンバサダーのテニスプレーヤー、マリア・シャラポワがマカンをドライブして登場するというサービスもあった。
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日本車のワールドプレミアも多数登場
翌20日からはじまったLAモーターショーのプレスデイでは、ホンダが「FCEVコンセプト」を披露し、スバルが新型「WRX(米国仕様車)」とコンセプトカー「レガシィ コンセプト」を世界初公開した。
ホンダがLAモーターショーだけで公開した「FCEVコンセプト」は、2015年に全世界で販売する次世代燃料電池車のデザインコンセプトで、「FCX」、「FCXクラリティ」につづくモデル。未来的なデザインはショー用のコスチュームと考えるべきで、フロントマスクやリア周りの意匠のほか、全体のイメージが市販モデルに投影されると思われる。
スバルのステージ中央を飾った新型「WRX(米国仕様車)」は、268hpの最高出力と、35.7kgmの最高高トルクを発生する2.0リッター水平対向直噴ターボ「DIT」エンジンを搭載。これに新開発の6速マニュアルトランスミッションと、レスポンスを向上させた8速マニュアルモード付のスポーツリニアトロニックが組み合わされる。ボディサイズは全長4,595×全幅1,795×全高1,475mmで、ホイールベースは2,650mmというディメンション。タイヤサイズは235/45R17であった。
そうした分かりやすいモデルの登場のいっぽうで、東京モーターショーで公開したレガシィの後継モデル「レヴォーグ」と、LAモーターショーで発表した「レガシィ コンセプト」の存在には、注目せざるを得ない。一見すると同じようなモデルを日米別々に発表し、なぜかと疑問にも思うのだが、ここからスバルの“次の一手”を予想することができそうだ。
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展示のちがいから見え隠れするスバルの思惑
「SUBARU 25年目のフルモデルチェンジ」と紹介したことから、「レガシィ」の後継モデルと理解してまちがいないはずの「レヴォーグ」は、2014年春の発売開始を予定しており、1月から先行予約を受けつけるという。こちらは、市販車のプレビューにほかならない。
そうなると、ポイントは「レガシィ コンセプト」のほうである。こちらは現行モデルよりも一回り以上も大きく、全長4930×全幅1940×全高1500mm、ホイールベースは2880mmである。現行「レガシィ」がセダンのB4で全長4,745×全幅1,780×全高1,505 mm、ホイールベースが2,750mmであることを考えれば、その差は明確だ。
これは、トヨタやホンダ、日産のように北米市場専用モデルをスバルも開発するという布石とかんがえてもいい。大きくなった現行「レガシィ」と「フォレスター」は米国市場で絶大な人気を誇り、中でも特に「アウトバック」は、街中で見ない日がないほど。スバルは北米での好調なセールスを実績に、次のステージを狙っているのかも知れない。「レガシィ」が北米専用モデルとして、トヨタのカムリなどとおなじように独自に進化していくとかんがえれば、このコンセプトモデルの存在意義も理解できる。
第3世代の新型「MINI」や、メルセデス・ベンツの「S 65 AMG」や「SLS AMG GT ファイナルエディション」、そしてジャガーの「F タイプ クーペ」のように日米同時発表というモデルも少なくはなかったが、それぞれの市場向けに、発表するモデルやショー会場に展示する車両も工夫が見られたようにおもえる。
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元気をアピールする、地元アメリカブランドたち
東京モーターショーに欠席したデトロイト3といわれる「フォード」「GM」「クライスラー」も完全復活した印象をもった。特に「フォード」と「リンカーン」、「キャデラック」のニューモデルは、華があり、ブースからも元気の良さが伝わってきた。
クライスラーは、親会社フィアットが欧州市場で苦戦しているのを尻目に、北米市場では順調に業績を回復させてきた。今やフィアットは、クライスラーの北米での収益を頼りにしているとさえいわれており、「フィアットは良いタイミングで、いい買い物をした」とさえいう地元メディアもいる。もしもこのままフィアットの不振がつづけば、クライスラーはふたたび独立し、みずからの足で歩くようになるかもしれないが、そこまでおもうのは時期尚早であろう。
かつてこのLAモーターショーの常連だった、フェラーリやランボルギーニといった、カリフォルニアに最大のマーケットをもつイタリアンスーパーカーメーカーの欠席はさびしい限りだが、そのなかでもマセラティはかなり大きなブースを構え、ひとり気を吐いていた。新型「ギブリ」の北米プレミアもあり、かなりちからが入っていたという印象である。
アジアのモーターショーのように、いわゆるコンパニオンの数は決して多くはないのだが、最後に目の保養ということで、会場で華やかな雰囲気を演出してくれたブースレディの画像をご覧いただきたいとおもう。