東京モーターショー 現地リポート|Porsche
Porsche|ポルシェ
東京モーターショー 現地リポート
ポルシェの隠し玉「マカン」発表
直前となった事前情報および速報でもお伝えしたとおり、ポルシェは東京モーターショーにおいて新型SUV「マカン」を公開した。発表資料上では日本初公開となっているが、ロサンゼルスでのワールドプレミアとはタッチの差であり、事実上はダブル世界初公開の場となったポルシェ ブースから、大谷達也氏がその模様をリポート。
Text by OTANI TatsuyaEvent Photographs by ARAKAWA Masayuki
ポルシェの日本市場にたいする熱い思い
パナメーラ シリーズでもっともパワフルで、ロングホイールベース仕様となる「パナメーラ ターボ S エグゼクティブ」のワールドプレミア。東京モーターショーにおけるポルシェの目玉は、このモデルになるはずだった。
既存車種のバージョン追加といってしまえばそれまでだが、ポルシェのようにそもそも販売しているモデルがそれほど多くないスポーツカーメーカーにとっては、それが日本市場にたいする精一杯のサービスだったのかもしれない。このポルシェの手厚い対応を、日本のポルシェ ファンは大いに歓迎したはずだ。
けれども、彼らは“隠し球”を用意していた。それも、ポルシェにとってまったくあたらしいセグメントとなるコンパクトSUVのニューモデル「マカン」を東京モーターショーでアンヴェールしてくれたのである。
じつは、マカンとパナメーラ ターボ S エグゼクティブは、おなじ11月20日にプレスデイ初日を迎えるLAオートショーでも展示された。いや、厳密にはその前日の19日におこなわれた前夜祭で、マカンはワールドプレミアを飾っていたのである。しかし、日本とロサンジェルスのあいだには17時間の時差がある。このためロサンジェルスの前夜祭でマカンが公開されたのは、20日の午後1時15分に東京でおこなわれたプレスコンファレンスのわずか20分前のことだったという。
もっとも、ロサンジェルスでのショーデビューは現地時間の20日午前11時35分だったから、日本が15時間ほどリードしていたことになる。つまり、アンベールのタイミングはほぼ同時で、ショーデビューは東京のほうが半日ちかくも早い。これこそ、ポルシェの日本市場にたいする熱い思いが伝わってくるエピソードといえるのではないだろうか?
価格はケイマンS並みか?
ポルシェが5億ユーロを投じて拡張したライプツィヒ工場で生産されるマカンについて、ポルシェの役員のひとりは「非常に高い品質でつくられており、素材やデバイスの多くはポルシェ911と共通です」と語っている。
実際、ポルシェ ブースに展示されたマカンは、ボディパネルの面作りがきわめて美しく、911にもひけをとらない品質感で仕上げられていた。
全体的なデザイン言語は最新のポルシェ ファミリーに共通するものだが、やや口をすぼめているように見えるフロントマスクの造形には、たとえば1960年代のフェラーリをおもわせる古典的なスポーティテイストも感じさせる。また、ボディサイドには2本のシャープなキャラクターラインが刻まれているため、比較的コンパクトなボディサイズとあいまって、兄貴分のカイエン以上に引き締まった印象をあたえる。
モデルバリエーションは3.0リッターV6ツインターボ(340ps)を搭載する「マカンS」、3.0リッターV6ツインターボディーゼル(258ps)を搭載する「マカンS ディーゼル」、3.6リッターV6ツインターボ(400ps)を搭載する「マカン ターボ」の3タイプ。日本での発売時期や価格については未発表ながら、ヨーロッパではマカンSに「ケイマンS」とほぼおなじプライスタグがつけられているので、これがひとつのヒントになりそうだ。