リンカーンのコンパクトSUVをプレビュー|Lincoln
CAR / MOTOR SHOW
2015年4月3日

リンカーンのコンパクトSUVをプレビュー|Lincoln

Lincoln MKC|リンカーン MKC
L.A.オートショー 現地リポート

リンカーンのコンパクトSUVをプレビュー

フォードのラグジュアリーブランド「リンカーン」にコンパクトなプレミアムSUV、リンカーン「MKC」がくわわる。生産モデルの発表は、1月のデトロイト モーターショーになると見られ、今回はいわばその市販モデルのプレビューにあたる。従ってボディサイズや詳しい装備などのインフォーメーションは一切なかったが、さすがはリンカーンを名乗るだけあって、リンカーン MKCのクオリティの高い内外装を間近で確認できた。

Text by SAKURAI KenichiPhotographs by WATANABE Shinsuke

ライバルはアウディ「Q3」やBMW「X3」

生産モデルの発表を、1月のデトロイト モーターショーに控えたリンカーン ブランドのコンパクトプレミアムSUV「リンカーン MKC」がLAモーターショーでプレビューされた。今年1月のデトロイト モーターショーに登場したコンセプトカーとは、ヘッドライトやドライビングランプ形状、サイドシルやリヤコンビネーションライト形状、マフラー周りのデザインがことなっており、LAモーターショーに登場したこのプレビューモデルが、ほぼ2015年モデルとして来年夏に市販される車両の最終形と判断しても良さそうだ。



現在日本で販売されているリンカーンのSUV、「リンカーン MKX」は、フォード「エッジ」とプラットフォームが共通。それにたいしてリンカーン MKCは、フォード「エスケープ(日本名クーガ)」のプラットフォームを使用しており、米国内ではおなじルイビル工場でつくられる予定だ。

Lincoln MKC|リンカーン MKC

Lincoln MKC|リンカーン MKC

北米市場においてリンカーン MKXがアウディQ5」のライバルとするなら、リンカーン MKCは、さしずめアウディ「Q3」のライバルに当たると表現するのが、クラス感をイメージさせるのにはわかりやすいかもしれない。アメリカでは“ミッドサイズ ラグジュアリーSUV”と言われるカテゴリーのちょうど下のクラスにあたり、BMWの「X3」や「X1」、メルセデス・ベンツGLA」、レンジローバー「イヴォーク」などもライバルとして想定できる。

ちなみにリンカーン MKXのサイズは、全長4,740×全幅1,930×全高1,685mm(アウディQ5は全長4,630×全幅×1,900×全高1,660mm)で、リンカーン MKCはこれをひとまわりコンパクトにしたサイズであると表現できる。ただし周りに比較対象車両がないショー会場では、リンカーン MKXもかなり堂々とした体躯の持ち主に感じられたが、これは、押し出し感のあるフロントマスクと、ボリューミーなフォルムがそうイメージさせるのかも知れない。

とはいえ、エクステリアで両者の個性は明確に差別化されている。前後のオーバーハングを極力おさえ、丸みを帯びたリンカーン MKXのフォルムにたいして、リンカーン MKCは、車高を低めにおさえ、エッジの効いたダイナミックなルックスをあたえている。フロントウィンドウの傾斜もじゅうぶんにとられ、フロントのオーバーハングは若干長めで、かなりスポーティな印象である。

Lincoln MKC|リンカーン MKC
L.A.オートショー 現地リポート

リンカーンのコンパクトSUVをプレビュー (2)

アメリカンラグジュアリーを体現する、クオリティ高いインテリア

ラインナップは、2リッターの直列4気筒エンジンを搭載したFFと、275psを発生する2.3リッターの直列4気筒エコブーストエンジンを搭載した全輪駆動モデルになる予定で、ともに前後にLEDライトを採用。ドライバーがちかづくと、ドア付近の足下を、リンカーンのエンブレムの形に照らす「イルミネーテッド エントリーシステム」もリンカーン MKX同様に採用されていた。

特筆すべきは、インテリアのデザインと、クオリティの高さである。本革とウッドを多用した室内は、ラグジュアリーモデルを名乗るにふさわしい、シックだが非常に高級あふれるしつらえだ。ドライバーが触れる場所すべての触感を大切にし、気持ちの良い仕上がりになっている。可動部分の精度や操作感ももうしぶんなく、アメリカンラグジュアリーをまさに体現している。

Lincoln MKC|リンカーン MKC

Lincoln MKC|リンカーン MKC

シフトレバーをもたず、ドライブやリバースといったギアセレクトは、すべてセンターコンソール上のスイッチでおこなうのも、リンカーンではあたらしい試みだ。さらに、センターコンソールには新デザインのモニターを採用した電話や音楽、ナビゲーションを直感的操作できるインフォテイメントシステム、「マイ リンカーン タッチ」も装備し、スッキリとしたコクピット周りはいっそうモダンな印象をあたえてくれた。

ホイールは18インチサイズが標準で、19インチもオプションで用意。鈍い輝きを放つスポークデザインのメッキホイールがいかにもリンカーンらしく、スマートなフォルムを強調する。タイヤは標準サイズで245/45R18サイズを組み合わせ、こちらはオンロード寄りの性格を持つタイヤが選択されていた。

今回のLAモーターショーでは、このリンカーンやキャデラックというアメリカン ラグジュアリー ブランドのモデルたちがどこか元気な印象をもった。とくにリンカーンはこの「リンカーン MKC」の登場によってコンパクトクラスからフルサイズまで、あたらしいフルラインナップが完成。新世代への移行が徐々に進みつつあることを感じさせてくれた。

Lincoln MKC|リンカーン MKC

現在日本での販売ラインアップは「リンカーン MKX」と「リンカーン ナビゲーター」という2つのSUVモデルだが、SUVの第3のモデルとして「リンカーン MKC」の導入の大いに期待したい。ラグジュアリーSUVが欧州ブランド一色になっている日本市場でも、ラグジュアリーSUV発祥の地がアメリカだったことを知らしめる、キラリと輝く存在になってくれるはずである。

           
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