『隈研吾展 新しい公共性をつくるためのネコの5原則』東京国立近代美術館にて開催|ART
DESIGN / ARCHITECTURE
2021年4月2日

『隈研吾展 新しい公共性をつくるためのネコの5原則』東京国立近代美術館にて開催|ART

ART|隈建築を自身による解説付きで展覧

現代日本を代表する建築家のひとり・隈 研吾の大規模個展

現代日本を代表する建築家のひとり、隈 研吾(1954年~)の大規模個展『隈研吾展 新しい公共性をつくるためのネコの5原則』が、2021年6月18日(金)~9月26日(日)まで、東京国立近代美術館にて開催される。隈建築の中から公共性の高いものを選び、全点に自身による作品解説が付く。また、隈建築がどのように使われているか、いかに街と関係を結んでいるかといった観点から制作された映像作品や、内部空間をリアルに体感できる360度VRも。さらに、ネコの視点から都市を見直すリサーチプロジェクト「東京計画2020(ニャンニャン) ネコちゃん建築の5656(ゴロゴロ)原則」も新たに発表される。コロナ禍という極めて難しい時代の中で開催される本展は、新しい公共性や未来の都市のあり方について考える機会ともなるだろう。

Text by OZAKI Sayaka|Edit by TSUCHIDA Takashi

合計74件を通じて、隈 研吾の世界を紹介する大規模個展

東京国立近代美術館では、『隈研吾展 新しい公共性をつくるためのネコの5原則』(主催:東京国立近代美術館、文化庁、独立行政法人日本芸術文化振興会)を2021年6月18日(金)~9月26日(日)まで開催する。
米TIME誌にて「2019年世界で訪れるべき最も素晴らしい場所100選」に選ばれた「V&Aダンディー」や「国立競技場」の設計に参画してきた、現代日本を代表する建築家・隈 研吾。同展では、世界各国に点在する隈作品の中から選んだ、公共性の高い68件の建築を、隈が考える5原則「孔」「粒子」「斜め」「やわらかい」「時間」に分類し、建築模型、写真、モックアップ(部分の原寸模型)などで紹介。その他、映像作品、前庭に展示されるトレーラーハウスを合わせ、合計74件で隈の世界を紹介する。章解説や作品解説はすべて本人によるもの。また瀧本幹也や藤井光など第一線で活躍するアーティストによる新作映像で隈建築をさまざまな観点から見ることができる。
映像では、建物の造形美はもちろん、隈建築の依頼者(クライアント)と、実際に建物を利用する市民のインタビューも収められている。これは、ほとんどの建築は依頼に基づいて設計が始まり、竣工後は利用者によって維持されるものである以上、彼らの言葉もまた建築家のそれと同じように――あるいはそれ以上に――重要だとする隈の考えによるものであり、4K映像やタイムラプス映像のほか、ドローン撮影による360度VRを体感できる。
さらにネコの視点から都市での生活を見直すリサーチプロジェクト「東京計画2020(ニャンニャン) ネコちゃん建築の5656(ゴロゴロ)原則」(Takramとの協働)も発表される。このプロジェクトは、1961年、東京オリンピック前に丹下健三が建築雑誌に発表した「東京計画1960」という、東京湾に海上都市をつくるという大胆なアイデアへの応答だという。今の時代、都市についてなにかを提案するとしたら高度経済成長期のように都市を俯瞰するのではなくて下から見るべきである、そう考えた隈が着目したのは、なんと地面に近いネコの視点。東京・神楽坂でのフィールドワークやGPS測定を実施し、そのリサーチの成果を3DCGやプロジェクションマッピングを用いて展示する。一カ所に定まらず点々と暮らし、スキマに入り込んで自らノラミチをつくっていくネコの生態に、コロナ禍以降の人々は学ぶべきではないかと隈は問いかける。本展は、コロナ禍という極めて難しい時代にあっても、新しい公共性や未来の都市のあり方について考える機会を提供するものである。
 

『隈研吾展 新しい公共性をつくるためのネコの5原則』

  • 会場|東京国立近代美術館 1F 企画展ギャラリー
  • 住所|東京都千代田区北の丸公園3-1
  • 会期|2021年6月18日(金)~9月26日(日)
  • 時間|10:00~17:00、金曜日・土曜日は10:00~21:00(入館は閉館30分前まで)
  • 休館日|月曜日(7月26日、8月2日、9日、30日、9月20日は開館)、8月10日(火)、9月21日(火)
  • 主催|東京国立近代美術館、文化庁、独立行政法人日本芸術文化振興会
  • ※新型コロナウイルス感染症の拡大等の状況により、開催日程や出品内容が変更になる可能性がございます。詳細は東京国立近代美術館ウェブサイトhttps://www.momat.go.jp/をご確認ください。
問い合わせ先

東京国立近代美術館
Tel.050-5541-8600(ハローダイヤル 8:00~22:00)
https://www.momat.go.jp/

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「隈研吾展 新しい公共性をつくるためのネコの5原則」特設サイト
https://kumakengo2020.jp/