東京モーターショーでワールドプレミア

585ps（430kW）を発生するメルセデスAMG社製5.5リッターV型8気筒直噴ツインターボエンジンを搭載した「S 63 AMG long」と、AMG専用4輪駆動システム「AMG 4MATIC」を採用した「S 63 AMG 4MATIC long」につづく新型「Sクラス」の「AMG」バージョンは、フラッグシップモデルとなる歴代最強のAMG、「S 65 AMG」である。


記念すべきワールドプレミアの場は、11月20日の東京モーターショー（一般公開は11月22日から）と同日開催のロサンゼルス モーターショーという日米の二会場が選ばれた。従来モデル同様に、この新型「S 65 AMG」（欧州発表名）は、ロングホイールベース専用モデル。日本導入のさいは、車名が「S 65 AMG long」と、先代のネーミングにならったものになると予想できる。


注目のエンジンは先代モデルと同じ5,980ccのV12 ツインターボで、最高出力463kW（630ps） を4,800-5,400 rpmで発生。1,000Nm（102kgm）もの最大トルクを2,300-4,300 rpmの低回転域でたたき出す。いうまでもなくこのパワーは、現行メルセデスでトップとなるスペックである。NEDC複合燃料消費量は、リッターあたり8.4kmで、CO2排出量は279g/km、0-100km/h加速は4.3秒、最高速度はリミッター作動で250km/hというデータを得ている。

従来のモデルでは、燃費がリッターあたり6.9km、CO2排出量も334g/kmというデータだったことを考えれば、新型ではパワーはそのままに、かなり環境負荷を抑えてきているのがわかる。これには低温対応インタークーラーやオルタネーターのマネージメント、そしてECOスタート/ストップ機能と、あらたに採用されたトランスミッション「AMG スピードシフト プラス 7G-トロニック」が効果を発揮している。ちなみにこのエンジンは、ユーロ6対応になっている。


ECOスタート/ストップ機能の搭載にあたり、「S 63 AMG」同様に78Ahのリチウムイオン電池も採用された。スターターバッテリーとバックアップバッテリーの両方を兼ね、この採用により20kgが軽量化されているという。

「AMG スピードシフト プラス 7G-トロニック」と6.0リッターV12ツインターボエンジンの組み合わせは初で、従来採用されていた「AMG スピードシフト5段オートマチック トランスミッション」と比較して、広いレシオスプレッドを持ち、パワートレインの効率をさらに向上させる。


また、Controlled Efficiency＝効率性優先「C」、Sport＝スポーツ 「S」 、Manual＝マニュアル 「M」、の3つドライビングモードをセンターコンソールのスイッチひとつで選択できるようになっている。ECOスタート/ストップ機能は、モード「C」での標準機能である。

マジックボディコントロール付きのAMGサスペンションやダイナミックコーナリングアシストなど、走りのパフォーマンスは「S 63 AMG」に準じたものだ。内外装も、基本的には「S 63 AMG」をベースにするが、ナッパレザー張りシートのダイヤモンドパターンの表皮デザインなどは、「S 65 AMG」専用。また、「S 65 AMG」ではAMG高光沢セラミック マルチスポーク アルミホイールを装備し、サイズはフロントが8.5×20、リアが9.5×20で、これに255/40R20、285/35R20サイズのタイヤを組み合わせた。


なお、AMGの歴史にあらたな“最強”の2文字を刻むこの「S 65 AMG」は、ドイツ本国の金額が19パーセントのVAT（付加価値税）込みで23万2,050ユーロ（およそ3,085万円）とされ、2014年3月からデリバリーを開始する予定。日本でも、来夏をめどに導入されるとおもわれる。

Mercedes-Benz S 65 AMG｜メルセデス・ベンツ S 65 AMG
エンジン｜5,980 cc V型12気筒 ツインターボ
最高出力｜163 KW（630 ps）/4,800-5,400 rpm
最大トルク｜1,000 Nm/2,300-4,300 rpm
0-100km/h加速｜4.3 秒
最高速度｜250 km/h
燃費（NEDC）｜11.9 ℓ/100km（およそ8.4 km/ℓ）
CO2排出量｜279 g/km
タイヤ 前/後｜255/40R20 ／ 285/35R20