次期Cクラスの内装および機能を公開|Mercedes-Benz
Mercedes-Benz C-Class|メルセデス・ベンツ Cクラス
次期Cクラスの内装、装備およびボディシェルを発表
メルセデス・ベンツは、まもなく登場する新型「Cクラス」(W205)のインテリア、シャシーおよび安全機能について情報を公開した。
Text by HORIGUCHI Yoshihiro(OPENERS)
タッチパッド操作の大型ディスプレイ&ヘッドアップディスプレイ
今回公開されたのは、W205型とよばれる、あたらしい「Cクラス」の内装、装備、シャシー、安全装置類だ。インテリアでは、いままでの、ボタンをおおく配した垂直なパネルのレイアウトを捨て去り、あらたに設計し直したというセンターコンソールが目をひく。このコンソールはエアコンの吹き出し口から新設のハンドレストまで1枚の板で流れるようにつくられており、シンプルかつピュアな現代風のセンスを反映させたものだという。素材には、ウッドをはじめ、ピアノラッカー風のものなど、さまざまなものが用意されている。
5つのエアコン吹き出し口は、外縁にメタリックな装飾で強調。硬質なデザインをあえて採用し、暖かみのあるダッシュボードのレザーやセンタコンソールのウッドと、硬軟のコントラストを演出しているという。
さらに目立つのは、タブレットPCよろしくコンソール上に設置されるディスプレイだ。標準で7インチ、“COMANDオンライン”のオプションを装着すると8.4インチという大きな画面のディスプレイは、センタートンネル上にあらたに設置されたタッチパッドで操作する。
この65×45mmの大きなタッチパッドは、従来のものとことなり、すべての操作がパッドで完了できるというのが特徴。マルチタッチのジェスチャーにも対応し、指でなぞって文字入力をおこなうことも可能だ。入力された文字を読み上げ、ドライバーが目を離すことなく確実に操作できるように配慮されている。パッドの手前には、戻る、お気に入り、オーディオコントロール呼び出し、という3つのショートカットキーが並んでおり、スマートフォンやタブレットPCの感覚で操作できるようになっている。
また、あらたな機能として採用されるのがヘッドアップディスプレイだ。480×240ピクセルのフルカラーLEDが投影する情報は、フロントウンドウ上に21×7cmの映像としてあらわれ、ドライバーからはボンネットの先2メートルくらいの場所に見えるという。表示されるのは速度やナビゲーションの指示、制限速度やドライバーアシスタンスからの情報など運転中に即時認識しなければならない情報に絞られる。ドライバーの体格にあわせて高さの調整も可能で、明るさはルーフ近くにあるセンサーにより自動的に調節される。
Mercedes-Benz C-Class|メルセデス・ベンツ Cクラス
次期Cクラスの内装、装備およびボディシェルを発表 (2)
アルミなどの複合素材で軽量化と衝突安全性を同時に向上させたボディ
新型Cクラスのボディシェルには、アルミニウムや超高強度鋼板などを採用。その結果、おなじボディをスチールで作った場合にくらべて70kgも軽量化を果たしている。ひとつ前のCクラスと比較すると、およそ100kgも軽い。これを単純に燃費に換算すると、20パーセントもの向上がみられる値だという。
ルーフやショックアブソーバーのマウント部にアルミ素材を採用。その利用率は、先代の9パーセントにくらべ、48パーセントと5倍以上におよぶ。
このような軽量かつ堅牢な素材を複雑にくみあわせることにより、燃費の向上のみでなく、耐衝撃性能や衝突時の力の分散もはかられ、万一のさいの安全性が向上していると説明する。
アルミ素材はフロントアクスルにも使われており、スチールと比較して2kg軽く、その結果、応答性も向上させているという。
フロントサスペンションには新開発の4リンク式を採用。さらに新型Cクラスでは、このクラスでは初設定とメルセデスが謳う、エアサスペンションシステム“AIRMATIC”が、オプションとして用意される。AIRMATICは常にコンピューターで最適な姿勢を維持するエアサスペンションで、「Eクラス」や「Sクラス」をはじめとする上級モデルにはすでに装着されているシステムだ。
インテリジェントな安全機能
新型Cクラスには、ステレオカメラとレーダーで周囲を監視する360度オールラウンドビューを中心とする、メルセデス・ベンツの最新安全装備がそなわる。フロントウィンドウ上部のステレオカメラ、フロントバンパーとリアバンパー側面に装着される短距離レーダー、ラジエーターグリルの裏側に設置される中長距離レーダー、リアバンパー中央にはマルチパーパスレーダーを装備。それぞれのデバイスからもたらされる情報をコンピューター処理、三次元的にとらえ、ドライビングアシスタントで解析する。
標準装備するのは“アテンション アシスト”。これは、ドライバーの不注意や居眠り運転を防止するための機能で、COMANDシステムを装着すると、ナビゲーション中にルート上の適切な休憩ポイントも案内してくれる。感度の調整も可能であり、ドライバーの眠気のレベルや最後の休憩から経過した時間などをメータークラスターに表示し、長時間運転の疲労を具体的に訴えかけ事故を予防しようというものだ。
オプションとして提供される機能は、新型「Sクラス」や新型「Eクラス」で採用された最新のアシスタンスシステムの数々。“ストップ&ゴー内蔵ディストロニックプラス(ステアアシスト付)”は60km/h以下の速度域において前の車を追従する機能。緊急時にブレーキ力を最大に準備する“BASプラス ブレーキアシスト”や、衝突の危険を感知すると50km/h以下で停止、72km/hまででも衝突のダメージを低減させるべく最大減速をおこなう自動ブレーキの“プレセーフブレーキ”、車線逸脱を防ぐ“アクティブ レーンキーピング アシスト”、自動で車庫入れをおこなう“アクティブパーキングアシスト”なども設定可能だ。
さらに、“トラフィックサイン アシスタント”は、交通標識を読み取り、一方通行の逆走や、速度制限を超えると警告を出すというもの。対向車や前走車を感知し、他車を幻惑しない限りハイビームを保持し夜間の視野を確保する“アダプティブ ハイビーム アシストプラス”も用意される。
あらたな安全補助装置としては、フロントシートにチャイルドシート自動認識機能を搭載している。これは、助手席にチャイルドシートを設置していると自動的にクルマが感知し、エアバッグをオフにするというもの。これまでは、キーを使って手動で設定を変更する必要があったが、チャイルドシートを外したあとにもエアバッグを有効にするのを忘れてそのまま使用してしまい、事故が発生したさいにエアバッグが展開せずに被害を拡大させてしまうといった事例を防ぐものだ。
ナビゲーションとGPS情報から、クルマがトンネルに入ったと認識すると空調を内部循環に自動的に切り替える機能や、あたらしいSクラスで採用されたフレグランス機能、イオン発生装置、標準よりも強固なフィルターを採用する“エア バランス パッケージ”といった、快適性を高める装備もあたらしいものを採用している。
大胆にモダナイズされたインテリアデザインに軽量かつ堅牢なボディシェル、最新安全装備をまとった次期「Cクラス」。W205型とよばれるそのクルマは、今冬中には全容があきらかになると目されている。