レンジローバー最新型をお披露目|Range Rover
Range Rover Vogue|レンジローバー ヴォーグ
新型レンジローバーをお披露目
ジャガー・ランドローバーはレンジローバーブランドのフラッグシップモデル、「レンジローバー(日本名 レンジローバー ヴォーグ)」をフルモデルチェンジし、販売を開始した。
Text by OTSUKI Takuma(OPENERS)
大幅シェイプアップ
レンジローバーブランドのフラッグシップSUV、「レンジローバー ヴォーグ」がフルモデルチェンジし、第4世代に進化。リッチモンドパーク内にあるロイヤル・バレエ・スクールにもうけられた特設会場でお披露目された。
前回、「レンジローバー ヴォーグ」のフルモデルチェンジをOPENERSでもお伝えしたのは8月中ごろのこと。それから1ヵ月、いよいよ実車となってあらわれた「レンジローバー ヴォーグ」は、SUVとしては世界初となるオールアルミニウムによる軽量モノコックボディに生まれ変わり、スチールボディだった先代にくらべて39パーセント、じつに420kgものシェイプアップを果たしている。
また、アルミモノコックボディの恩恵は軽量化ばかりではなく、剛性も従来モデルから進化を遂げており、燃費の向上とCO2排出量の大幅削減を達成しているとともに、これまで以上の高い走破性能も実現しているという。
製造はイギリスのソリハルにある最新鋭のアルミ車体専用工場で、従来のスポット溶接などの製造方法とはことなり、リベット溶接および接着剤で各部を接合するという、まったくあたらしい方法で製造されているという。
搭載されるエンジンはガソリンエンジンとディーゼルエンジンがそれぞれ2種類ずつの合計4種類。すべてのエンジンが高圧燃料噴射装置をそなえた直噴エンジンだ。
ガソリンエンジンはこれまで「レンジローバー ヴォーグ」に搭載されてきたジャガー製の5リッターV型8気筒のオールアルミエンジンとなり、自然吸気モデルとスーパーチャージャーモデルが用意されている。最高出力はそれぞれ375psと510ps。エンジン単体では従来モデルとスペックに変化はないが、ボディ軽量化の恩恵もあり、動力性能は格段に向上しているという。0-60mph(0-96km/h)加速はそれぞれ6.5秒(従来型比-0.7秒)と5.1秒(従来型比-0.8秒)でこなす。
いっぽうのディーゼルエンジンは、最高出力258ps、最大トルク600Nmを発生する3リッターV型6気筒のターボエンジンと、最高出力339ps、最大トルク700Nmを発生する4.4リッターV型8気筒のシーケンシャルツインターボエンジン。いずれもフォード製で、アイドリングストップ機能を備えている。
3リッターディーゼルエンジン搭載モデルは、現状レンジローバーに搭載されるエンジンのなかで、もっともCO2排出量が少なく、その数値は196g/km。0-60mph加速は7.4秒でこなす。パワフルな4.4リッターV8エンジン搭載モデルでは、0-60mph加速が6.5秒で、CO2排出量は229g/kmというスペックになっている。
また、2013年の後半にはディーゼルハイブリッドモデルの投入も予定されており、こちらのCO2排出量は169g/kmを目標にしているという。
これらエンジンに組みあわされるのは、ZF社製の8段オートマチックトランスミッションとなる。多段化したことで各ギアがクロスレシオ化し、エンジンの出力を無駄なく伝達することが可能だ。さらに停止中に、エンジンからの駆動力を70パーセント解除する「トランスミッション・アイドル・コントロール」も採用。燃費の向上とCO2削減に貢献する。ステアリングに標準装備となったパドルシフトでのマニュアル操作も可能だ。
ブレーキはフロントに対向6ピストンのブレンボ社製キャリパーを採用し、380mmのブレーキディスクを締め上げ、強力なストッピングパワーを獲得。高められた動力性能に対応している。
Range Rover|レンジローバー
新型レンジローバーをお披露目(2)
豪華さと高い走破性能を両立
ボディ全長は大きくなったとはいえ、4,971mmから4,999mmとわずかなもの。5メートル以内にとどめており、とりまわしのしやすさにひと役買っているという。ホイールベースが42mm長くなっており、後部座席のレッグスペースの118mm拡大につながっている。
インテリアに使用されるレザーは、場所によって3種類を使い分け、シートはもとより、インストルメントパネルやドア、天井にいたるまで室内のほとんどの場所がレザーやウッドパネルで覆われる。またフロントガラスやサイドガラスに遮音ガラスを採用するなど、室内の静粛性は従来以上に向上したという。
さらには一部グレードにマッサージ機能がついたシートが用意されるなど、至れり尽くせりな内容となっている。また、今回のモデルから、後部座席を左右独立させて2座とした「エグゼクティブクラス」シートパッケージも用意された。
オーディオは「メリディアン」製のサウンドシステムが3種類用意される。最上級のシステムは総出力1700ワット、サブウーハー含め29個ものスピーカーによってダイナミックで臨場感あふれる音質空間をつくりだすとのことだ。
豪華な装備とともに、レンジローバーが誇るのは、高い悪路走破性能である。この新型「レンジローバー」には、ランドローバー・レンジローバー両ブランドの各モデルにも採用されている「テレイン・レスポンス」の最新版である「テレイン・レスポンス2」が搭載される。これは従来の「テレイン・レスポンス」にも用意されていたGeneral(オンロード)、Grass・Gravel・Snow(草地・砂利・雪)、Mud・Ruts(泥・轍)、Sand(砂地)、Rock Crawl(岩場)という5つのモードの選択を、手動ではなく全自動でやってくれるというシステムだ。
サスペンションも新設計となっており、各部にアルミ製の部品を使用した軽量のエアサスペンションになっている。前輪はダブルウィッシュボーン、後輪はマルチリンクという総輪独立懸架式で、タイヤストローク量はフロントで260mm、リアでは310mmを確保した。従来モデルより17mm増え、303mmになった最低地上高とも相まって、未整地での走破性が高められた。
さらに渡河水深限界も、従来の700mmから900mmへと、200mmも拡大され、タイヤが完全に水没してしまうような深い水の中をも走れるようになっている。これはボンネット左右側面のパネル内に空気を取り込むスペースを設け、そこに一度空気を溜めてからエンジンルームに空気を流入させるという特殊な吸気システムを採用し、実現したという。
レンジローバー ヴォーグ動画
下左の動画は、先代の「レンジローバーヴォーグ」との比較走行からはじまり、さまざまな過酷な状況下での走行シーンへと移っていく。下右の動画では各部のデザインが映し出されたあとで、さまざまな機能、電子デバイスなどが紹介されている。
レンジローバー ヴォーグ動画
下左の動画は初代「レンジローバー」と最新型「レンジローバーヴォーグ」の走行シーン。走りのDNAは初代から最新型まで継承されていることをイメージさせる。右はテストドライブの風景。カットボディーで悪路を走行できてしまうほどに、新型「レンジローバー ヴォーグ」のアルミモノコックフレームの強度は高い。
ランドローバーでは2012年の末には世界170のマーケットで販売を開始する予定だというが、現在のところ日本での販売価格を含め、発売日などのアナウンスはされていない。