オフロードも走れるベントレー

クーペモデルの「コンチネンタル」、セダンの「フライングスパー」に次ぐベントレーの新たな柱となる新型モデル「ベンテイガ」のジャパンプレミアが実施された。ベンテイガは、2012年のジュネーブショーにて発表されたコンセプトカー「EXP 9F」に端を発するベントレー初のSUVモデルで、2015年9月に開催されたフランクフルトショーでワールドプレミアされ、正式な発売が公表された。

このモデルは、同ブランド初のSUVであるが、設計、エンジニアリング、ハンドメイドによる生産はすべて英国クルー本社にて実施され、他のモデル同様に生粋のベントレーであることを強調。世界中のあらゆるSUVのなかでも頂点を目指したラグジュアリーなモデルへと仕上げられているが、性能面でもトップレベルを誇り、オンロード、オフロードを問わない優れた走行性能を備える。

スタイリングは、コンチネンタルやフライングスパーと共通性を感じさせる力強く、そしてスポーティなスタイルへとまとめられており、フロントマスクに新生代ベントレーを象徴する4灯の丸型LEDヘッドライトと大型のマトリックスグリルを備える。そして、アンダーガードの存在が、オフロードも厭わない本格派SUVであることを主張する。

リヤスタイルは、傾斜が与えられハッチバックモデルのようなバックドアデザインとし、パネル部に一体式のリヤスポイラーも備える。またベンテイガのアイコンとして、リヤコンビネーションランプには、ベントレーの頭文字「B」をモチーフとしたデザインを採用している。ボディサイズは、全長5,141mm×全幅1,998mm×全高1,742mmと大きいが、ベントレー初のアルミモノコックボディを採用することで、従来の車体構造よりも236kgの軽量化を実現しているという。

新設計のW12ツインターボエンジン

世界最高級の仕上げとなるインテリアは、ウッドパネルとレザーをぜいたくに使用。クルー工場のマイスターたちによる精巧な作り込みにより、モダンでスタイリッシュなだけでなく、英国の伝統と温かみを感じされる空間が演出されている。

シートレイアウトは、5シーターが基本となるが、後席をセパレートした4シーター仕様の選択も可能。もちろん、他のベントレー同様に、カスタマーのニーズに合わせたビスポークも受け付ける。また標準装備となるインフォテイメントシステムもベンテイガために新設計されており、8インチのタッチスクリーンと最新版のナビゲーションシステムなどを備える。

パワートレインは、6.0リッターのW12ツインターボエンジンを搭載するが、これは新設計されたもので、エンジン単体で30kg軽量化も実現。性能面では、最高出力608ps、最大トルク900Nmを発生し、0-100km/h加速4.1秒、最高速度301km/hを誇る。これは、ハイパフォーマンスセダンやスポーツカーにも引けをとらない実力であり、ベントレー自身も世界最速レベルのSUVと謳う。

また新エンジンでは、環境性能も高められており、一定条件下で片バンクの気筒休止を行う「ベントレー可変シリンダーシステム」やアイドリングストップだけでなくコースティングモードを備えた最新式のスタート・ストップ テクノロジーを備える。8段ATと四輪駆動システムもオフロード走行時に求められる高トルクに対応した改良が加えられている。

今年分は完売

トップレベルの高い走行性能を実現するために、5大陸にわたる厳しい環境下での走行テストだけでなく、ニュルブルクリンクでのサーキット走行を400周以上行ったというベンテイガ。あらゆる路面に対応するだけでなく、スポーツ性能も磨き上げられた。その走りを支えるテクノロジーの一つが、「ベントレー ダイナミック ライド」だ。これは世界初を謳う電動式アクティブ ロール コントロール技術で、コーナリング時に発生する横方向の力を抑制し、タイヤの設置面積を最大限に確保するもの。

従来のシステムでは、車体制御のために乗り心地が犠牲になるとがあったが、この新システムはキャビンの安定性と優れた操縦性だけでなく、さらに快適な乗り心地の実現を可能としているという。

先進の安全技術も積極的に投入されており、アクティブ クルーズ コントロール（ACC）やリヤ クロッシング トラフィック ウォーニング、パークアシスト、ヘッドアップ ディスプレイなどを用意。また、赤外線技術で前方の障害物を認識するエレクトロニック ナイト ビジョンなどラグジュアリーカーなどを中心に採用される高度なシステムも設定されており、ベントレーで最も先進的な安全装備を備えたモデルとなっている。

SUVへの参入について、ベントレー モーターズ ジャパン代表であるティム・マッキンレイ氏は、「新たなカテゴリーに挑戦することは非常に勇気のいること。しかし、誰も手を付けていない最もラグジュアリーなSUVのニーズはあると信じて投入を決断した」とコメントしている。事実、世界的にもベンテイガの存在は好意的に受け止められているとのことで、日本でも初年度納入分の80台をすでに完売するなど、好調な滑り出しを見せている。

Bentley Bentayga ｜ベントレー ベンテイガ
ボディサイズ｜全長 5,141 × 全幅 1,998 × 全高 1,742 mm
ホイールベース｜2,992 mm
重量（EU）｜2,422 kg
エンジン｜5,950 cc W型12気筒 ツインターボTSI
最高出力｜ 447 kW（608 ps）/ 5,250-6,000 rpm
最大トルク｜900 Nm / 1,250-4,500 rpm
トランスミッション｜8段AT
駆動方式｜4WD（前40：後60）
サスペンション 前/後｜マルチリンク ／ マルチリンク
ブレーキ 前｜400mm ベンチレーテッドディスク
ブレーキ 後｜380mm ベンチレーテッドディスク
タイヤ｜275/50R20（オプションで285/45R21、285/40R22）
最小回転半径｜6.2 メートル
トランク容量｜430-590 リットル
0-100km/h加速｜4.1 秒
最高速度｜301 km/h
燃費（EU複合）｜12.8 ℓ/100km（およそ7.8 km/ℓ）
CO2排出量｜292 g/km
価格｜2,695万円