第2世代となったBMW X6を試乗する|BMW
CAR / FEATURES
2015年11月19日

第2世代となったBMW X6を試乗する|BMW

BMW X6|ビー・エム・ダブリュー X6

第2世代となった新型BMW X6を試乗する

スポーツカーのようにアグレッシブでスタイリッシュなSUVというコンセプトのもと、自動車業界のトレンドを作り出したBMW「X6」が2代目へとフルチェンジした。都会によく馴染むSUVはどのように進化したのか、小川フミオ氏が試乗した。

Text by OGAWA FumioPhotographs by HANAMURA Hidenori

成功の方程式を受け継いだ2代目

BMWグループジャパンが2014年12月から日本でのデリバリーを開始した新型BMW「X6」。BMWがSAV(スポーツ アクティビティ ビークル)と名づけた、スタイリッシュなSUVというコンセプトを先代から引き継いでいるのが特長だ。まるでスポーツカーのようなアグレッシブな外観が大きく目を惹く。

2008年に初代が発表されて、世界中で25万台以上が販売されたというX6。2014年秋にフルモデルチェンジを受けた2代目は、小さなキャビンのクーペ的なスタイルと、パワフルなエンジンと4輪駆動システムを組み合わせたドライブトレインという成り立ちは不変。

BMW X6|ビー・エム・ダブリュー X6 37

BMW X6|ビー・エム・ダブリュー X6 20

今回日本に導入されるのは、エンジンで分けると2モデルになる。3リッター直列6気筒エンジン(306ps、400Nm)のX6 xDrive35iと、4.4リッターV型8気筒エンジン(450ps、650Nm)のX6 xDrive50iだ。

両モデルに、内外装を特別に仕上げる「デザイン ピュア エクストラヴァガンス」なるパッケージオプションが設定されている。先代はスタンダードモデルのみだったため、より特別なモデルを求める市場の声に対応した結果、とBMWグループジャパンではしている。同時に、足回りをやや固めるなどスポーティなM Sport仕様も用意された。

すべてのモデルが、8段オートマチック変速機と、センターディファレンシャルを電子制御して前後輪のトルク配分を最適制御することを謳ったxDrive(エクスドライブ)を備える。

さらにM Sportには、コーナリング時に左右輪の駆動力をコントロールするトルクベクタリング機能をもった「ダイナミックパフォーマンスコントロール」が標準装備された上に、ダンピングを電子制御する「アダプティブMサスペンション」が備わる。

BMW X6|ビー・エム・ダブリュー X6 15

BMW X6|ビー・エム・ダブリュー X6

第2世代となった新型BMW X6を試乗する (2)

小さくさえ見えるよくできたスタイル

日本ではまずV8エンジン搭載のX6 xDrive50iが先行発売され、直列6気筒エンジンの同35iの納車は2015年2月から。今回試乗したのは、パワフルでトルキーなエンジンを持つ前者である。

全長4,925mm、全幅1,990mm、全高1,700mmとけっして小さくないはずの車体だが、抑揚のついたボディに、小ぶりなキャビンの造形のせいか、実車はぐっとコンパクトに見える。よくできたスタイルのクルマは小さく見えるというのは、自動車デザインのセオリーで、今回の2代目X6はその好個の例といえるかもしれない。

BMW X6|ビー・エム・ダブリュー X6 43

BMW X6|ビー・エム・ダブリュー X6 13

かつ、面のカーブが入念に作られていて、光があたると、車体の抑揚が際立って、自動車好きにはじつに魅力的に見えるはずだ。いわゆるキドニーグリルとクロームのアクセントでメタリックな質感を強調するいっぽう、フェンダーのふくらみなど有機的なカーブをつくる。その組み合わせ方が上手だ。このクルマにしかない個性をかもし出している。

運転席は、BMWに一度でも乗ったことがあれば、すぐに違和感なくなじむもの。必要な場所に必要な操作類が配置された機能主義的なレイアウトと、ウッドやレザーの素材による感覚的な演出が、うまくバランスされている。とくにX6は、妹分ともいえる「X4」より贅沢な素材が使われていて、高級感が強い。

グラマラスという印象は、エンジンをかけたときに、一層強く感じる。V8エンジンの存在感が、かすかに、しかし確実にドライバーに伝わるようエンジニアが心を砕いているのだろう、おそらく北米市場ではとりわけ好まれる、独特の力強いビートが響く。

BMW X6|ビー・エム・ダブリュー X6

第2世代となった新型BMW X6を試乗する (3)

エンジンカンパニー、BMWの面目躍如

走り出すと驚くほど速い。なにしろ数値でみても、静止から100km/hまで加速するのにわずか4.8秒。先代より燃料消費率は約20パーセントも向上しながら、加速は0.6秒向上しているとBMWでは胸を張るが、むべなるかなだ。

最大トルクが2,000rpmから発生する設定だけあって、1,000rpmを超えないうちにぐんぐん力強くトルクが出てきて、日常の領域ではおそらく1,500rpmまででじゅうぶん事足りるだろう。それほど、力のあるエンジンだ。

BMW X6|ビー・エム・ダブリュー X6 30

BMW X6|ビー・エム・ダブリュー X6 38

8段オートマチック変速機は、効率よくエンジントルクを使ってくれ、アクセルペダルの踏み込み量が多くなければ、どんどん上のギアへと移行し、逆に右足に力をこめると、一瞬にしてシフトダウンをおこない、上の回転まで嬉々としてというかんじで回るエンジンを駆り立てる。

とりわけスポーツモードを選択すると、エンジンカンパニーを標榜するBMWの面目躍如というか、ターボチャージャー搭載の大排気量の多気筒エンジンをバランスよくまとめあげた手際に感心するほど、エンジンのみごとな回転マナーと、途切れることなくあふれ出すトルクが印象的だ。

そのパワーをシャシーはしっかり受け止め、まるで背の高いスポーツセダンを操縦しているような感覚を味わわせてくれるのだ。

BMW X6|ビー・エム・ダブリュー X6

第2世代となった新型BMW X6を試乗する (4)

若々しいスポーツSUV

なりはいわゆるヨンク的な雰囲気もあるが、X6は基本的にはオンロード用に開発されたモデルだ。それだけにライドはしっかりとしていて、たとえば3シリーズや5シリーズからの乗り換えもすんなりとおこなえるだろう。

電気式になったステアリングシステムは、少し重めの設定で、操舵感はしっかりして好ましい。カーブに入っていき、効きのよいブレーキで速度を調整し、ステアリングを切って、気持ちよくゆっくりとロールするボディの動きを感じながら、カーブの出口に向けて加速していく。一連の流れを経験すると、X6はさすがBMWの製品と感心する。

BMW X6|ビー・エム・ダブリュー X6 12

BMW X6|ビー・エム・ダブリュー X6 24

室内の静粛性は高く、一般道では耳を澄ますとタイヤによる路面の擦過音が多少聞こえるかもしれないが、風切り音は低いレベルで抑えられ、室内は快適な音空間が作られている。後席はやや着座位置が落とし込まれた独特のポジションで、後席乗員の衝突安全性を考慮した結果だろうか。後席ドアは開く角度も限られていて、高齢者にはちょっと辛いかもしれない。前席重視の若々しいスポーツSUVととらえるのがいいようにおもえる。

安全装備の充実も、最新のX6の眼目だ。先行車との車間距離を維持しながら自動的に速度制御をおこなうアクティブクルーズコントロール、車線からの逸脱をドライバーに警告するレーンデパーチャーウォーニング、衝突回避・被害軽減ブレーキ、前車接近警告機能からなるドライビングアシスト プラスは全車標準装備。

さらにオプションで、赤外線カメラで暗闇でも人や動物をとらえるナイトビジョン、衝突の危険が髙まったときセイフティベルトを自動的に引き締めサイドウィンドウを閉めるなどするアクティブプロテクション、死角にいる車両の存在を伝えるレーンチェンジウォーニングなどが用意されている。

080507_eac_spec
BMW X6 xDrive50i│ビー・エム・ダブリュー X6 xドライブ50i
ボディサイズ│全長 4,925 × 全幅 1,990 × 全高 1,700 mm
ホイールベース│2,935 mm
トレッド 前/後|1,655/1,670 mm
最低地上高|210 mm
車両重量|2,270 kg   (M Sport)2,320 kg
エンジン│4,394 cc V型8気筒 ターボ
最高出力│330 kW(450 ps)/ 5,500 rpm
最大トルク│650 Nm(66.3 kgm)/ 2,000-4,500 rpm
トランスミッション│8段スポーツAT
駆動方式│4WD
トランクスペース│580 – 1,525 リットル
最小回転半径|5.9 m
サスペンション 前|ダブル ウィッシュボーン
サスペンション 後|インテグラル アーム
ブレーキ│ベンチレーテッドディスク
タイヤ 前/後|275/40R20 / 315/35R20
燃費(JC08モード)│ 8.6 km/ℓ
価格│(標準)1,209万円  (M Sport)1,309万円

問い合わせ先

BMWカスタマーインストラクションセンター

0120-269-437

(平日 9:00-19:00 土日祝 9:00-18:00)

           
Photo Gallery