Chapter 1 BMWのニューモデル「X6」デビュー
ビーエムダブリュ X6|BMW X6
エレガントなクーペの衣に、高いユーティリティ性と走破性を融合させた、スポーツ・アクティビティ・クーペこと「BMW X6」がデビューした。BMWが考える、クーペの新しいかたちとはどんなものか。そのコンセプトとオリジナリティを紐解く。
Photo by BMW<
スポーツ・アクティビティ・クーペとして
BMWは、新しい4人乗りのラグジュアリーモデル「X6」をデビューさせた。「X」は、BMWが標榜する「SAV」(スポーツ・アクティビティ・ビークル)に与えられるプリフィックスで、「X5」「X3」といったスポーティな4WDラインとして既に定着している。
BMWが一般的なSUV(スポーツ・ユーティリティ・ビークル)ではなくSAVと呼ぶ所以は、SUVを上回る卓越した走行性能をもってすれば、ユーティリティ(実用性)以上にアクティブなドライビングが楽しめるということをアピールしたいから。当然、X6もこの流れにのるモデルなのだが、X6はスポーツ・アクティビティ・クーペ、つまりクーペとSAVをかけあわせた新種として生まれた。
優雅な佇まいと逞しさ
そもそもクーペの語源は、フランス語で「切る」という動詞のcouperからきている。たとえば後席の居住性を切り捨て、かわりにスタイリッシュなデザインやスポーティな走行性能を手に入れた。今日においてもクーペは、実用の領域から飛び出した、ある種の余剰を楽しむ贅たくなクルマとして存在している。そのクーペを、BMWは斬新なアイディアでまったく新しいかたちにかえてしまったのだ。
X6のデザインは、クーペ独特の優雅な佇まいと、SAVがもつ逞しさや躍動感が共存するという、他に類を見ない意匠を特長とする。
リアに向かって滑らかな下降線を描くルーフラインはクーペデザインの定石であり、流麗なシルエットはクーペそのもの。一方、楔のようにシャープに伸びる2本のサイドラインや抑揚をもたせた面、大きく張り出したホイールアーチなどにより力強さが表現される。コンケイヴ&コンヴェックス、つまり凹凸を用いたダイナミックなフォルムと、クーペの美しいスタイリングがうまく溶け込んでいる。
ダイナミックなアピアランス
「キドニー・グリル」が精悍なイメージを印象づけるフロントマスク。巨大なエアインテークは、その奥に秘めたパワフルな心臓の存在を示唆している。さらにフロントランプとエアスクープは、正面からのダイナミックなアピアランスを担うだけでなく、ボディサイドへとつながる一連の流れの端緒としてもデザイン。リアビューでは、地面と並行するラインを用いワイド感と堂々たる偉容をアピールしている。
インテリアでも、ステアリング裏のパドルやスタイリッシュなセレクターレバー、ふんだんにつかわれるレザーやメタル素材など、エクステリアと同じコンセプトが貫かれている。特筆すべきは後席。外見から想像するよりも天井は高く、センターコンソールで仕切られた左右独立式シートとあいまって、広々とした空間に身をおくことができる。
二兎を追う者、二兎を得る
もちろんX6はデザインだけのクルマではない。4.4リッターV8(407馬力)と、3リッター直6(306馬力)、2種類の直噴ツインターボに加え、4WD機構「xDrive」、安定した走行を実現する「ダイナミック・パフォーマンス・コントロール」といった先進技術で、ドライバーに快適かつスポーティな走りを提供してくれる。
エレガントでスポーティ、スタイリッシュで実用的──X6は、「二兎を追う者が二兎を得る」という、実に欲張りな高級パーソナルクーペなのである。
X6 xDrive35i
全長4885×全幅1985×全高1690mm
総排気量 2979cc
最高出力 225kW(306ps)/5800rpm(EEC)
最大トルク 400Nm(40.8kgm)/1300-5000rpm(EEC)
X6 xDrive50i
全長4885×全幅1985×全高1690mm
総排気量 4394cc
最高出力 300kW(407ps)/5500rpm(EEC)
最大トルク 600Nm(61.2kgm)/1750-4500rpm(EEC)