BGブランドから新作登場! 戸田恵子×植木 豪インタビュー
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2015年4月17日

BGブランドから新作登場! 戸田恵子×植木 豪インタビュー

BGブランドから新作登場!

戸田恵子×植木 豪インタビュー(1)

女優 戸田恵子さんによるライブツアーにさいし、BGブランドから新作が登場した。そこでデザインを手がけるダンサー 植木 豪さんを交え、ライブツアーを振り返るとともに、新作アイテム、BGブランドの活動について聞いた。

文=OPENERS写真=大森 直


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BGブランドらしい、クールな仕上がり

――新作アイテムのデザインテーマは?

植木 ストールを巻いているようなフェイクプリントをメインに、全体のデザインを構成していきました。ストールをモチーフにしたプリントのアイデアは以前からあったのですが、今回やっとカタチにすることができました。BGブランドらしい“武骨さ”を表現したかったので、シルバープリントで渋めの色味に仕上げました。箔を使うとポップになってしまいますからね。僕自身ストールが大好きでいっぱい持っていて、じつはこのプリントのストールも、もとになっているのは僕のストールなんです。柄はゼブラパターン。BGブランドらしいクールな仕上がりになっているのではと思います。

戸田恵子×植木 豪インタビュー 01

戸田 一枚で着てももちろんいいんですけど、シャツやアウターをレイヤードすることで活きる、よりコーディネイトで遊べるデザインに仕上がっていると思います。ジャケットの下に合わせて、さりげなくカジュアルダウンさせるのもいいですよね。無地だとつまらないけど、派手なものだと子どもっぽくなってしまう、そんなとき、シックな色味ながら、ほどよい華やかさも演出してくれるこのTシャツはお薦めです。

イタズラな表情のスマイルマークがポイント!

植木 ベースがフェイクプリントなので、スマイルマークはプリントではなくフェルトのワッペンで立体的に。巻いたストールにバッチをつけている、というイメージです。うえになにか羽織ると、中からスマイルが覗いているような感じになるんです(笑)。BGブランドらしいイタズラな表情が気に入っています。

戸田 この眉毛は最後の最後で急きょプラスすることにしたんです(笑)。でも、おかげでブランドらしい雰囲気が出せたなと思っています。ワッペンを2枚重ねてつけたことで、より立体感が増して、デザインにメリハリがついたのではないでしょうか。

戸田恵子×植木 豪インタビュー 02

植木 ベルトにしろ、スニーカーにしろ、シルバーカラーのディテールってあらゆる部分にあるので、合わせやすいのではないでしょうか。バックプリントには、いつもの“I♡BG”ロゴをプリントしています。

文字の部分は、よりパキっと発色させるため二度刷りしています。だからフロントのシルバーの色とは微妙にちがうんですよ。ちょっとしたことですが、それだけで全然ちがって見えるんです。“♡”のピンクはさし色として。この位置ならだれでも抵抗なく取り入れられるでしょう(笑)?

幅広い年齢層が楽しめる、デザインの微妙なさじ加減

――デザインするうえで、もっとも難しい点は?

戸田 幅広い層の方々に着てほしいので、微妙なさじ加減が大事。おとなの方々にファッションに対して“もう少し冒険してみない?”というメッセージを提案していきたいと思い、“おとなロック”というコンセプトのもとブランドを展開してきましたが、冒険しすぎたデザインだと、やっぱり抵抗がある。だからといって無難なデザインではメッセージに反するし、若いひとたちにとってはつまらない。ロックなテイストをベースに、世の中のトレンドも意識しつつ、そのバランスはいつも慎重に考えています。

植木 姉さんのライブに来る方々の年齢層は、10代から70代まで本当に幅広いんです(笑)。だからライブ会場を思い出して、あのひとにもあのひとにも似合うものを、と心がけながらデザインしています。

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戸田恵子×植木 豪インタビュー(2)


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前回集まった売上金は、ロンTにカタチを変えて被災地に

――前回は東日本大震災チャリティのためにキャップを作っていましたが、今回は?

戸田 今回もライブ会場で販売しました。普段はダウン症の子どもたちを応援するため、売り上げの一部をラブジャンクスさんの支援にあてているのですが、このキャップの売り上げにかんしては、東日本大震災で被災された方々への支援にあてさせてもらっています。ライブ会場のみでの販売となるため、ウェブで購入できないのは残念なのですが……。

戸田恵子×植木 豪インタビュー 03

植木 ツバの表部分のプリントは前回のデザインを踏襲しつつ、今回は白地のキャップにしました。BGブランドのアイテムはモノトーンが多いので、キャップも合わせやすいようにモノトーンで。

戸田 スマイルマークをメインに、月や太陽といった自然のモチーフをポイントに、ピースなイメージに仕上げています。前回集まった売上金は、ロングスリーブTシャツにカタチを変え、縁のある避難所に贈らせていただきました。

被災地を訪れたさい、ロンTが重宝するというお話を聞いたので。個人的にできることももちろんつづけていきますが、BGブランドとしてできることとして、つづけていければなと思っています。

震災をきっかけにあらためて考えた、BGブランド活動の意義

――BGブランドの活動を振り返り、今年はどんな1年でしたでしょう?

植木 ラブジャンクスさんを応援する、という変わらないテーマがありつつ、今年は震災があり、自分たちの作っているものが誰かの手に届く、ということをあらためて意識した1年でした。僕、小さいころから大学でダンスと出会うまで、ずっと夢中で絵を描いていたんです。あの時間がいったいなんだったのか、ずっと考えていたんですけど、ライブ会場でお客さんが着ているのを見て、こういう意味があったんだって。ただ絵を描いているだけではなにも起こらないけど、カタチになって、誰かの手に届いてよろこびに変わって、それが誰かを応援することにつながる。ああ、無駄なことってないんだなって、最近強く思います。



戸田 震災をきっかけに、なんのためにやっているんだろう、ということを考えました。洋服を作ったり、グッズを作ったり、その過程はもともとやりたかったことだし、ラブジャンクスさんを応援することにつながっている、というのはすごくうれしい。でも、もしかしたらやらなくてもいいことなのかもしれない。いまこの時勢に、わざわざ女優として活動する傍ら時間を割いて、あたらしくものを作ることの意味って、なんだろうって考えたんです。私たちの仕事もおなじで、必要あるのかな? って思いますよ。でも、“あえて”やることの意味、自分は“あえて”やっているんだ、ということを意識した1年でした。

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震災のとき、誰もが自分の非力さに泣いたと思うんです。目の前で苦しんでいるひとがいるのに、なんの力にもなれない。でも、自分でゼロから行動を起こす必要なんかなくて、誰かが手を挙げたら、その手に掴まって協力すればいいんです。実際、私はひとの支援活動にどんどん乗っかっています(笑)。もしかしたら必要ないのかもしれないことも、10年前ではできなかった。でもいまはそれができるだけの余裕をもった自分がいる。ならば“あえて”手を上げよう、と思いました。

これからどう変化していくのか、今後が楽しみ

――来年はブランド設立5周年ですが、振り返っていかがですか?

植木 成長は……しているのかな(笑)? デザインに合わせて技術を学ぶ、という感じでやってきたので、技術的な部分ではできることの幅が広がりました。デザイン的にも、好きな絵を着たいわけではなくて、着たいものが着たいんだってことを考えるようになりました。Tシャツを1枚買うにしろ、アウター、ボトム、シューズ、アクセサリーと、コーディネイトを考えながら選びますよね。そういった部分を以前よりも意識するようになりました。いままでのアイテムを並べて見返してみると日記のようで、ひとつひとつにテーマがあり、メッセージがるので、自分たちの心情や背景をふくめ、当時のことを思い出します。これからどう変化していくのか、今後が楽しみですね。

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戸田恵子×植木 豪インタビュー(3)


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東京公演では高橋克実さん、青木さやかさん、三谷幸喜監督が出演

――今回のライブはどんな内容に?

戸田 ライブ自体、いつもは年末にやっているのですが、今年は舞台が決まったため急きょ前倒しでの開催となりました。今回、東京公演に豪君が参加できなかったこともあり、東京公演のみ初ライブ以来となる日替わりゲストコーナーを設けました。東京は10月23日に2回と27日だったのですが、23日の昼は俳優の高橋克実さんが、夜はタレントの青木さやかさん、27日には三谷幸喜監督が出演してくれました。

――皆さん歌われたのですか?

戸田 そうなんです! 初ライブのときは、高橋克実さんと俳優の寺脇康文さんと“チーム・ドリカム”と称して3人で歌ったのですが、今回は寺脇さんのスケジュールが合わず、克実さんとふたりで絢香×コブクロの『WINDING ROAD』をリベンジしました。以前歌ったときの心残りがあって。だってすごく難しい歌なんですよ! 寺脇さんは会場には来られませんでしたけど、ビデオメッセージを送ってくれました。青木さんはピアノの弾き語りを披露してくれました。テレビで観たことがあるという方も多いと思いますが、彼女ピアノが上手で、ライブもやっているんですよ。

戸田恵子×植木 豪インタビュー 05

俳優 西田敏行さんが飛び入り参加!

急な出演依頼となってしまったため、皆さんスケジュールをなんとか調整してくれて、克実さんも出番が終わったら話す暇なくつぎの現場に向かったり、青木さんもぎりぎりに現場に入られたり。三谷さんなんて、映画『ステキな金縛り』の宣伝活動のひとつとしてスケジュールを調整してくれたようで(笑)。

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戸田恵子×植木 豪インタビュー 07

実際にステージのうえで映画の宣伝をおこなったんですけど、突然客席から「六兵衛もいるよ!」という声が上がったんです。じつはその日、俳優の西田敏行さんが観に来てくださっていて、“六兵衛”というのは劇中の西田さんの役名なんですけど……もう、お客さんは大よろこび。結局、急きょ西田さんにも参加していただくことになり、アドリブで一曲歌ってもらったんです。西田さんは即興歌を作るのが得意で、武道館でライブをしたこともあるくらいなんですけど、その日はピアノに循環コードだけ弾いてもらって、『恵子、満タン』という歌を歌ってくれました(笑)。“いつもみんなを満タンにしてくれる恵子は忙しい、忙しい”といった内容なんですけど、何気にいい詞でウルっとしてしまいました(笑)。

はじめての仙台公演

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――東京のほかにはどちらへ?

戸田 名古屋と、今回はじめて仙台にも行きました。私が以前訪れた避難所にいらした方が来てくれて、また会えたことに本当に感動しました。もちろん、まだまだそんな余裕のある方ばかりではありません。かといってできることと言えば本当に小さなことだけど、いつまでも忘れずに、なにかしら力になれることをしつづけていきたいと思います。その一端というか、ちょっと余裕のできた方々に少しでも元気をもって帰ってくれればなと。

植木 仙台にはどうしても行きたかったのでマネージャーさんに頼み込んで、なんとかスケジュールを調整してもらいました(笑)。僕自身すごく楽しかったし、来てくれたお客さんたちの楽しそうな顔が見られて本当にうれしかった。ダンスがどうとか、歌がどうこうではなく、“来てくれてありがとう”って、いつもとはちがった言葉をいただいたことが印象的でした。

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戸田恵子×植木 豪インタビュー(4)


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誰かと一緒に歌う、『上を向いて歩こう』

――選曲のテーマは?

戸田 歌のラインナップはいつもと変わらず、アニメソングから演歌まで、アラカルトな内容に(笑)。前回好評だったやなせたかし先生の詞の朗読もしました。あと、やなせ先生作詞の『手のひらを太陽に』が今年50周年を迎えるということで、“僕らはみんな生きている”というメッセージを込めつつ、スローバージョンで。それから、東京公演ではゲストの方々と、名古屋、仙台では豪君と一緒に『上を向いて歩こう』を歌いました。仙台ではちょっと象徴的に、ライブの最後に。

植木 いつもなら自分の出番が終わったらそれまでなんですけど、仙台では最後に『上を向いて歩こう』を歌うということで、死ぬほど緊張しました(笑)! 僕、舞台で歌うことはあっても、普段あまりスローテンポな曲を歌わないのでとくに緊張しました。アンコールで歌ったんですけど、一度盛り上がりきったところからアカペラで、なんてよくやるな!! と思いましたね(笑)。まぁ、姉さんはそういうの得意ですからね。

戸田 うそばっかり、得意じゃないよ(笑)!

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多くを語らずとも、選曲の理由は伝わりますよね。『上を向いて歩こう』という曲は、とても前向きで、頑張ろうって気持にさせてくれる歌だけど“ひとりぼっちの夜”という歌詞が何度もつづいたり、ちょっとさみしいところもあるんですよね。この“ひとりぼっちの夜”という部分を、ひとりではなく誰かと一緒に歌いたかった。ひとりでは歌わない、誰かと一緒に歌う、ということにメッセージを込めました。

ゼロから作った98点のほうがかっこいい

――前回のお話では、やっとリラックスしてライブを楽しめるようになってきた、とおっしゃていましたが、今回は?

戸田 緊張はしているけど、好きって気持ちがすごくストレートに自分のなかに表現できているのかなと思います。歌だけに専念できる時間が少ないので、7、8回ライブを重ねたことでやっと追いつけたというか。前回のライブから私のなかに変化があって、それは震災のことも影響しているかもしれない。私はなんのために歌うのか、ということが自分のなかではっきりしたのかもしれません。

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戸田恵子×植木 豪インタビュー 11

植木 歌もダンスもそうですけど、気合いだけではだめな部分があるんです。完璧な振付をして、音のタイミングもばっちり合ってる、というダンスを見ても、一生懸命作ったんだな、としか思えない。100点のものなら誰にだって作れるんです。それよりも、ゼロから作った98点のほうがかっこよかったりするときもある。何度も聴いた音だとしても、その瞬間自分が感じたもの、その空間で生まれたものが出せたとき、ダンスでも歌でもすごくかっこいいんですよね。姉さんのライブを見ていて、それを感じ取れました。

戸田 高橋克実さんや青木さやかさんにも、“そんな楽しそうな顔めったに見ない”って言われました。近しい方にそう言われるとやっぱりうれしいし、そうなのかなと自分でも思いますよね。

新曲『Dancing on the earth』

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――今回、ユニットの新曲は?

戸田 今回東京では披露できませんでしたが、名古屋と仙台では新曲を歌いました。

植木 僕らの趣味にストライクな曲にしようということで作ったんですけど、ヒップホップ、R&Bをベースに、かっこよくてセクシーで、壮大なイメージも盛り込んだ、思わず力が入っちゃうほどいい曲なんです!

戸田 『Dancing on the earth』という曲なんですけど、名古屋と仙台ではかっこいいと大絶賛だったので、はやく東京でも披露したいです。ダンスって、ダンスすることだけでなく、“生きる”という活動的なイメージもあって、地球のうえでみんな生きているんだ、っていう壮大なテーマを思わせる歌になっています。オリジナルは今回で2曲目になるのですが、いつかユニットの曲だけでカタチになればいいですね。

――ありがとうございました。

           
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