共通点は“47年”という歴史

ランドローバーとゼニスのパートナーシップ締結により発表された特別限定ウォッチ「Zenith El Primero Range Rover（ゼニス・エル・プリメロ・レンジローバー）」が、レンジローバー史上最もラグジュアリーでパワフルな性能を持つ「SVAutobiography DYNAMIC（SVオートバイオグラフィ ダイナミック）」の発表イベントにおいて披露された。

両社がパートナーとなった理由は1969年まで遡る。

この年は、当時の英国の自動車メーカー「ローバー」の開発チームがランドローバーのオフロード性能に高品質サルーンの快適性を兼ね備えた「VELAR」というモデルの開発を始めた年だ。このクルマは、「レンジローバー」として今日でもなお世界中で販売されている。

一方ゼニスは1969年1月10日、時計製造史上初の自動巻きクロノグラフ キャリバー「El Primero（エル・プリメロ）」を発表した。「ハイビート」オシレーターを搭載することにより10分の1秒単位で計測できる、正確に時を刻むクロノグラフ時計だ。

両モデルとも47年という年月を経て、なお高いパフォーマンスとラグジュアリー性を兼ね備えたプロダクトという共通項から、パートナーシップ締結に至っている。

今回発表された新型モデル「レンジローバー SVオートバイオグラフィ ダイナミック」は、レンジローバーの頂点に位置し、「史上最もダイナミックな能力を有する」とランドローバーが謳うフルサイズSUVだ。後席が延長された「レンジローバー SVオートバイオグラフィ ロングホイールベース」のような、贅を凝らした後部座席ではなく、ドライバー視点でデザインと開発が進められたものである。

ジャガー・ランドローバーが誇る「SVO（スペシャル・ビークル・オペレーションズ）」がチューニングを施した5.0リッタースーパーチャージドV8エンジンを搭載。最高出力550PS、最大トルクは680Nm。ハンドリングはサスペンションを通じて最適化され、スタンダートモデルに比べて8mm車高が低くなった。

グラファイト・アトラス仕上げのボディ、クローム仕上げのテールパイプや赤色のブレンボ製フロント・ブレーキキャリパーなど、エクステリアには特別な装備が奢られた。対するインテリアには、ダイヤモンドキルト加工のレザーシート、グランドブラックで仕上げたドアの内張り、陽極酸化処理が施された赤いパドルシフターなどを採用している。

同時に披露された「ゼニス・エル・プリメロ・レンジローバー」は、セラミック・アルミニウム製の42mmケースが特徴で、ダークトーンのセラミック・コーティングが施されている。「SVオートバイオグラフィ ダイナミック」のグラファイト・アトラスのディテールがグレーの艶消し文字盤に採用され、さらに「RANGE ROVER」のロゴを配している。

ケースバックはサファイア・クリスタル製。スペシャル・エディションの文字を刻印したセラミック・アルミニウムを土台とした。

DLC（ダイヤモンドライクカーボン）加工を施したチタン製トリプル・フォールディング・クラスプを搭載するブラックラバー・ストラップが付属。さらにレンジローバー・ネイビーのパンチングレザー仕上げのラバーストラップが、2本目のストラップとして付属する。

ゼニスの社長兼CEOであるアルド・マガタ氏は、「私たち2つのブランドには非常に強い結びつきがあります。『ゼニス』と『RANGE ROVER』はどちらもその業界のパイオニアであり、他にはない、革新的な製品を生み出すという共通点を持っています。素晴らしいブランドであり気心知れた友人でもある『RANGE ROVER』と、このような長期にわたるパートナーシップが締結できたことを、大変光栄に思います」と述べた。

また、ランドローバーのチーフ・デザイン・オフィサーであるジェリー・マクガバン氏は「私たちは『RANGE ROVER』のインテリアのような、モダンでありながら無駄のないデザインを追い求め『ゼニス』のチームがそれを時計の文字盤に落とし込み、シンプルなスタイルを造りだしました。また、マットな仕上げが控えめながら、精巧さと耐久性を表し、まるで『RANGE ROVER』のようです。2つのブランドの関連性が感じられるデザインとなっています」と述べている。