パテック フィリップ|BASELWORLD 2015 バーゼルワールド速報|PATEK PHILIPPE
PATEK PHILIPPE|パテック フィリップ
スイスの時計製造技術を受け継ぐ老舗
伝統と芸術的な時計作りが融合
パテック フィリップといえば、スイスを代表する最高峰ブランドとして知られる老舗時計メーカーだ。どんなデザインであっても、自社の歴史的なアーカイブに照らし合わせて、現代的な機械式腕時計の解釈と芸術的な外装技術が投入されている。パテック フィリップがこれまでに培った実用のエッセンスと現代的な解釈がすべて新作へと受けつがれているのが、よくわかる。
Photographs by NAGASHIMA TohruText by KAWADA Akinori
一流品という名にふさわしい完成度
バーゼルワールドに集う時計ブランドのなかで、パテック フィリップが頭ひとつ抜けて見える。それは、パテック フィリップがスイスの伝統を受け継ぐ時計ブランドであるという自負を強くもっているからにちがいない。
たとえば、新作のパイロットウォッチ「カラトラバ・パイロット・トラベルタイム」の場合、このパイロットウォッチに自社の独自の機構であるトラベルタイムと呼ばれるGMT機構を組み合わせて新作をリリースさせた。
完成した腕時計は、単純なトレンドの踏襲におさまらない。過去176年もの自社のアーカイブと現代的なエレメントに範を置きつつ、実用的なメカニズムを自分たちの技術的蓄積に照らし合わせて設計されている。
ブルーの文字盤も単純にトレンドをなぞるのではなく、文字盤や仕上げに芸術的取り組みが見て取れる。老舗ブランドの蓄積と技術力によって、ほかを寄せ付けないハイレベルな製品となっている。
パテック フィリップがパイロットウォッチを発表
実はパテック フィリップが、かつてパイロットウォッチを作っていたことは、あまり知られていない。その原点は、1936年に発表されたパイロットウォッチがモチーフになっている。
この「カラトラバ・パイロット・トラベルタイム」の魅力は実用的な操作性にある。ケース左側面のふたつのボタンを押すだけで、GMT針をリューズで操作しなくても1時間単位で簡単に送り/戻しがおこなえる。
このしくみと操作性は、第2時間帯表示機構搭載モデルのなかでもシンプルで使いやすく、ジェットセッターにとってとても便利な機能だ。ボタンにロック機構を備え、誤動作を防止。1936年に航空時計の開発・製造を経験しており、モダンなスタイルもそれらの時計に範を置く。ニス塗装を手作業で幾重にも重ねるという手間のかかる芸術的な手法を盛り込んだ視認性に優れたパイロットウォッチである。
カラトラバ・パイロット・トラベルタイム5524
ケース|18Kホワイトゴールド
直径|42mm
厚さ|10.78mm
ムーブメント|自動巻き(Cal.324 S C FUS)
機能|デュアルタイムゾーン表示(本国時間と現地時間をふたつの時針でそれぞれ表示)、ふたつの昼夜表示(ふたつの時間帯それぞれに対応)、プッシュボタンによる副時針の調整機能(現地時間の調整)、日付表示(6時位置のインダイヤルによるポインター式)
ストラップ|カーフスキン
防水性|3気圧
発売時期|2015年秋以降予定
予価|543万2400円
年次カレンダーの元祖
年次カレンダー(アニュアルカレンダー)機構において、完成度という点で頭ひとつ抜けているのは、その元祖というべき、パテック フィリップである。同社は1996年に特許を取得している。月・曜日・日付を扇形に配した窓に表示し、年に一度、3月1日の日付調整のみで済むカレンダー機構は、機械式時計をもっとも便利にする機構といえる。
それが、1920年代からノウハウを蓄積したクロノグラフ機構と組み合わさっている。今回のモデルでは、6時位置にあるインダイヤルの機能を60分積算計のみに絞り、より実用的で視認性に配慮している点も好感が持てる。年次カレンダーとクロノグラフというふたつの複雑機構を上質のプラチナケースとともにブラック文字盤に収めたこの時計は、パテック フィリップを象徴する機能を搭載したモデルといえる。
年次カレンダー搭載クロノグラフ5905P
ケース|950プラチナ
直径|42mm
厚さ|14.03mm
ムーブメント|自動巻き(Cal.CH 28-520 QA 24H)
機能|月・曜日・日付表示(3月1日の日付調整のみですむ年次カレンダー機構)、クロノグラフ(60分積算計)
ストラップ|アリゲーター
防水性|3気圧
発売時期|2015年秋以降予定
予価|892万800円
クロノグラフと本七宝の芸術的共演
このモデルに搭載されている「スプリット秒針クロノグラフ」とは、計測時にセンターに取り付けられているふたつのクロノグラフ秒針を同時に回し、ボタン操作でひとつ(スプリット秒針)を任意に発停させて、ラップタイム計測をおこなえる機能を搭載している。複雑なメカニズムだが、パテック フィリップはこのメカニズムをとても得意としている。あたらしい完全自社製造の手巻きCal.CHR 29-535 PSの特徴は、従来よりも歯車の伝達効率の向上と摩擦を減少させている点にある。こうしたディテールにこだわった細かなパテック フィリップが高い信頼性、高精度などを保証する自社規格、パテック フィリップ・シールの認証を受けている。
ブラックの文字盤は、本七宝焼きと呼ばれる手法で作られる。ホワイトゴールドのディスクに手作業で黒七宝を施し、摂氏850℃に加熱して溶解させ、ガラスのように均一な表面を得られるように冷却して作られている。塗料とは異なり、真の七宝のみが実現できる漆黒となる。ホワイトゴールドの植字とともにツヤやかな光沢感を文字盤に与えている。
スプリット秒針クロノグラフ5370
ケース|950プラチナ
直径|41mm
厚さ|13.56mm
ムーブメント|手巻き(Cal.CHR 29-535 PS)
機能|スプリット秒針クロノグラフ(30分積算計)
ストラップ|アリゲーター
防水性|3気圧
発売時期|2015年秋以降予定
予価|2843万6400円
パテック フィリップ ジャパン・インフォメーションセンター
Tel. 03-3255-8109
http://www.patek.com