A.ランゲ&ゾーネ|SIHH 2016 ジュネーブサロン速報|A. LANGE & SÖHNE
A. LANGE & SÖHNE|A.ランゲ&ゾーネ
円熟のコンプリケーションが完成(1)
ドイツ時計の芸術的な完成度の高さを象徴するA.ランゲ&ゾーネは、2015年に創業者の生誕200年を大々的に祝ったばかりだが、その歩みは衰えるところをしらない。実に精力的な開発を推し進めており、極めて印象に残るモデルを連発している。
Text by KAWADA Akinori
驚くほどの精力的な新モデルのラッシュ
息切れを知らないとは、まさにこのことだ。2015年に創業者の生誕200周年の節目を迎えたA.ランゲ&ゾーネの1年は慌ただしく、年間を通して、メモリアルモデルのリリースが続いたほかに、イベントも目白押し。そのうえ、新工房の落成まで重なった。常人なら一休みしようと思いたくなる忙しさだっただろうが、2016年のジュネーブサロンは、常と変わらぬ新作のリリースが行われ、そのうちの3本は、圧倒的な完成度の高さを誇るコンプリケーションだった。インプレシッブなことこの上ない、新作をここでは紹介したい。
精緻極まるクロノグラフを新設計・新開発
何と言っても強烈だったのは、「ダトグラフ・パーペチュアル・トゥールビヨン」である。元々「ダトグラフ」自体が精緻極まるコラムホイール式のクロノグラフであり、計測中にクロノグラフ針をゼロ位置に戻せるフライバック機能、精確な積算計表示を可能とするプレシジョン・ジャンピングミニッツ・カウンターといった付加機能まで有している。
そこへ2100年3月1日までのカレンダー調整を無用とするパーペチュアルカレンダー、重力の影響を排除するトゥールビヨンを並行して搭載するのだから、その開発努力たるや並大抵のものではない。しかも、トゥールビヨンには時刻調整時にキャリッジを停止させ、秒単位の調整も可能な独自のキャリッジ停止機構を備え、2枚のディスクで日付を表示するアウトサイズデイトは、深夜0時付近で、瞬時にディスクが送られ、これと連動し、すべてのカレンダー表示も瞬転式となる。既存のムーブメントの改良ではなく、完全な新開発となったムーブメントに要するパーツ数は729にも及ぶ。
ダトグラフ・パーペチュアル・トゥールビヨン
ケース|プラチナ
直径|41.5mm
厚さ|14.6mm
ムーブメント|手巻き(Cal.L952.2)
機能|クロノグラフ(フライバック機能付き、12時間積算計、ステップ運針する30分積算計)、トゥールビヨン(ストップセコンド機能付き)、パーペチュアルカレンダー、アウトサイズデイト(2枚のディスクによる日付表示)、パワーリザーブ表示
ストラップ|アリゲーター
防水|3気圧
限定本数|100本
発売時期|2016年10月予定
予価|29万5000ユーロ
A.ランゲ&ゾーネ
Tel.03-3288-6639
http://www.alange-soehne.com/
Page02. 機能性と視認性を極めたパーペチュアルカレンダー
A. LANGE & SÖHNE|A.ランゲ&ゾーネ
円熟のコンプリケーションが完成(2)
機能性と視認性を極めたパーペチュアルカレンダー
ブランド復興の第一号モデルの一つであり、定番中の定番と言える「ランゲ1」は、多くの機能的バリエーションを取り揃えており、パーペチュアルカレンダーモデルもラインナップする。今回登場した「ランゲ1・トゥールビヨン・パーペチュアルカレンダー」は、2012年に登場した同モデルのバリエーションとして加わった。
「ランゲ1・トゥールビヨン・パーペチュアルカレンダー」の最大の持ち味は、すっきりした文字盤レイアウトである。通常のパーペチュアルカレンダーモデルなら、文字盤上に表示機能がごちゃ付くものだが、このモデルの文字盤は、それとはかけはなれた簡素なものである。
この成功の秘密は、月表示を文字盤外周の回転リングによって表示させるようにしたことと、閏年表示を、6時位置に非常に慎ましやかなサイズで配置したことにある。言葉にしてしまえば簡単だが、このレイアウトのアイディアは、極めて優れたもので、「ランゲ1」が元々持っている機能性と個性を少しも損なわれていない。日付表示に連動して、すべてのカレンダー表示が瞬転式というのも特筆すべき特徴だ。
今回は、このモデルにホワイトゴールケースにグレーダイヤルを合わせたバリエーションが加わった。質実剛健なイメージで、「ランゲ1」と「パーペチュアルカレンダー」の融合が楽しめる仕上がりだ。
ランゲ1・トゥールビヨン・パーペチュアルカレンダー
ケース|18Kホワイトゴールド
直径|41.9mm
厚さ|12.2mm
ムーブメント|自動巻き(Cal.L082.1)
機能|パーペチュアルカレンダー(日付表示はアウトサイズデイト、曜日表示はレトログラード、月表示は回転リング、閏年表示を6時位置の窓に表示)、トゥールビヨン(ストップセコンド機能付き)、デイ・ナイト表示、ムーンフェイズ表示
ストラップ|アリゲーター
防水|3気圧
発売時期|2016年4月予定
予価|31万5900ユーロ
A.ランゲ&ゾーネ
Tel.03-3288-6639
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Page03. 1秒1秒を大切にするステップセコンドモデル
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円熟のコンプリケーションが完成(3)
1秒1秒を大切にするジャンピングセコンドモデル
「リヒャルト・ランゲ」は、科学者であり、精確な科学観測用クロノメーターの制作に心血を注いできた創業者フェディルナント・アドルフ・ランゲの長男の名に由来するモデルである。時分秒を別個の表示板で表示するレギュレータースタイルが特徴的であり、計時・計測の正確性にこだわったモデルである。
今回の新作の目玉は、ジャンピングセコンド機構の搭載である。通常、機械式時計は、脱進機の振動数に応じた細かいステップを踏んで運針し、人間の目には、連続してなめらかに動く、いわゆるスイープ運針を行う。だが、この時計の場合は、1秒1秒の1目盛りずつジャンプするように進む、ステップ運針を行う。この方式は、精密な計測を行う場合に、秒単位の目視を誤ることがなく、まさに「リヒャルト・ランゲ」という時計にふさわしい。
さらに、この時計は、かたつむり型のギアとバネを活用し、一時的にそこへゼンマイから伝わる力を蓄積して開放させることで、ゼンマイ残量が少なくなっても、一定程度まで精度が保たれるコンスタントフォース機構も装備している。
また、ゼンマイ残量が10時間を切ると窓がレッドに切り替わる、特殊なパワーリザーブ表示を装備し、時計の動作への注意を喚起する。リューズを引くとゼロ位置に秒針が戻るゼロリセット機能を持つのも大きな特徴だ。
ユニークにして、理に適い、1秒1秒をまさに「刻む」ことを目指した時計であり、機械式時計としての精緻を極めた機構を持つモデルである。
リヒャルト・ランゲ・ジャンピングセコンド
ケース|プラチナ
直径|39.9mm
厚さ|10.6mm
ムーブメント|手巻き(Cal.L094.1)
機能|レギュレーター、ジャンピングセコンド機構、ゼロリセット機構、コンスタントフォース機構、パワーリザーブ表示(ゼンマイ残量が10時間を切ると時計中央の三角の窓が赤に切り替わる)
ストラップ|アリゲーター
防水|3気圧
限定本数|100本
発売時期|2016年9月予定
予価|7万8000ユーロ
A.ランゲ&ゾーネ
Tel.03-3288-6639
http://www.alange-soehne.com/