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2020年8月5日
CHAPTER1 エポックモデルから紐解く、チューダークロノグラフの歴史|TUDOR
SERIES 7100 “MONTE CARLO”(モンテカルロ)
チューダーにおける第2世代のクロノグラフは1971年に登場、1977年までのカタログに掲載されました。そのモデルとは、カジノのルーレット盤を想起させるダイアルから、コレクターに“モンテカルロ”と呼ばれる7100シリーズのクロノグラフ。ケースやダイアルのデザインは、前シリーズを受け継いだものとなっています。
ムーブメントは「VALJOUX7734」に代わり、同じく手巻きキャリバー「VALJOUX234」が搭載されました。この新たなキャリバーは、クラッチとコラムホイールを備え、クロノグラフ機構はより洗練されたものとなりました。
またこのシリーズから、新たにブルーカラーを採用。このブルーは、今やチューダーを代表するイメージカラーとなっています。この視認性を高める配色は、機能的であることに加えて、腕元の存在感を高めることにもひと役買いました。
このシリーズは前作同様、3種類のリファレンスで構成されていました。500ユニットのタキメーター目盛り入りプレキシガラスインサートベゼルを特徴とするRef.7149/0が、Ref.7031/0に代わってカタログに登場。またタキメーター目盛りが刻まれたサテン仕上げのスチール製ベゼルが特徴のRef.7159/0がRef.7032/0に代わって掲載されてます。そしてRef.7169/0は、回転ベゼル付きのプロトタイプRef.7033/0をもとに登場、ついに製品化されました。
SERIES 9400 AND 79100 “BIG BLOCK”(ビッグ・ブロック)
1976年、チューダーにとって小さな革命が起こりました。チューダーの歴史上初の自動巻きクロノグラフ「プリンス オイスターデイト」が誕生したのです。ケースフォルムは前シリーズからのシェイプを保ちつつ、自動巻きムーブメントのローターを収めるために、厚めのデザインを採用しています。この形状を指し、コレクターからは“ビッグ・ブロック”の愛称を得ています。そしてこの“ビッグ・ブロック”の名称は、1989年に発表されるRe.79100シリーズへと受け継がれていきます。
Ref.9400シリーズも、これまでと同様にベゼルのデザインが異なる3種類のモデルで構成されており、続くRef.79100シリーズでも同じく3モデル構成が踏襲されました。その一方で、ダイアルについては数種類のバリエーションを展開しており、そこには2つの美学が存在しています。ひとつは過去2シリーズから着想を得たデザイン。もうひとつはブラックとホワイトまたはシルバーとホワイトを組み合わせた大胆なカラーコントラストです。
新しいクロノグラフの心臓部は、新キャリバー「VALJOUX7750」が採用されました。今までの「VALJOUX234」と同じ直径ですが、前モデルよりも1.5mm厚く、高い信頼性を誇るカム式のクロノグラフ機構を備えています。この新たなムーブメントの導入により、アワーカウンターの追加、ダイアル左側へのカウンター位置変更、3時位置への日付表示窓の配置変更といったダイアルの再編成がなされています。
SERIES 79200 “SAPPHIRE CHRONOGRAPH”(サファイアクロノグラフ)
1995年、Ref.79200シリーズの登場により「プリンス オイスターデイト」のデザインは生まれ変わることになります。それはわずかな違いながら、非常に大きな意味を持つものでした。
3世代に渡って受け継がれてきたケースは、研ぎ澄まされた存在感をそのままに、より洗練された柔らかなフォルムへと変更されています。ひと目でそれと分かる印象的なシルエットを保ちつつ、美しく丸みを帯びた曲線デザインへと生まれ変わりました。
4世代目となる本シリーズにおけるデザインの進化、それはニックネームにもなっているサファイアクリスタルの採用をはじめ、その他にもゴールドとスチールの組み合わせやレザーストラップの追加などが挙げられます。またムーブメントは、大幅に改良された自動巻きキャリバー「VALJOUX7750」を搭載しています。
防水性、堅牢性を表現する当時の広告ビジュアル。2000年代はじめにおいてもなお、単なるステイタスシンボルではなく、プロフェッショナルたちに向けた堅牢性にフォーカスされていました。