"睡眠クオリティ"を極めることで滞在価値を生み出した「ホテルグレートモーニング」｜HOTEL GREAT MORNING

HOTEL GREAT MORNING｜ホテルグレートモーニング

エアコンを使わない空調システムにより、次世代の室内環境を提供

福岡市博多区にあるホテル「グレートモーニング」。“偉大なる朝”“最高の朝”とは大仰な命名!?　いえいえ、こちらのホテルが目指しているのは翌朝の圧倒的な快適さ、つまり良質な睡眠環境の究極の追求だ。そのために採用したのが21世紀の冷暖房システムである。

Text by KOIZUMI Yoko｜Edit by TSUCHIDA Takashi

エアコン不使用だからこそ創出できる快適な室内環境

ホテルバンクの調査によれば、2020年1月現在、日本の宿泊施設数は5万1987施設、部屋数は162万5219室にのぼるという。コロナ問題発生以降、この数値には若干の違いが生じているだろうが、部屋数にして昨年から5.2％、増加している計算となる。

この約5.2万施設のなかに世界で初めて“エアコンゼロ”を実現したホテルがある。それが福岡県博多市にある「ホテルグレートモーニング」だ。

エアコンの代わりに導入されているのが次世代冷暖房システム「エフコン」である。

室内にある冷暖房パネル。熱は高いところから低いところに移動するという特性を生かして、夏は人の熱を冷暖パネルが取り去り、冬は冷暖パネルが人に熱を与えることで、体感温度を快適に保つことができる。

「エフコン」とは遠赤外線を使い、体感温度をコントロールする空調システムのこと。遠赤外線を効果的に吸収・再放射するセラミック素材を使った冷暖パネル(ラジエーター)内に、冬は温水、夏は冷水を循環させる。同様のセラミックを使った壁や天井と組み合わせることで、部屋全体に熱を行き渡らせる仕組みを持っている。

この「エフコン」とエアコンの違いは部屋に一歩入っただけで分かる。何しろ“音がない”のだ。続いて“風がない”ことにも気づく。室内の空気はそよとも動かず、一般的なホテルとの差異は大きい。ただ誤解してほしくないのは、この差異は不快ではなく、むしろ時間の経過とともに居心地がどんどん良くなってくる。

室内には漆喰と珪藻土が使われているため、湿度は45～55％を維持している。喉や肌にも優しく、乾燥しがちな一般的なホテルに対して、画期的な数値となっている。また無風のためホコリが舞うこともなく、空気清浄機を使ったとしても得られない“清らかな空気”がある。

きれいな水が身体に良い変化をもたらす

このホテルの命題は“偉大な朝”“最高の朝”を迎えることにある。そのため高スペックなのは水もしかり。

アメニティは世界から選りすぐった14種類のミネラルを使った「PRO BODY」を用意。シャワーなど、室内で提供する水もセラミックフィルターで３回の浄化・ろ過がされ、問題なく飲むことができる。しかもミネラルウォーターを飲みつけている人でさえ、気づかないほどのクリアさだ。

そして特筆すべきがオリジナルシャワーヘッド。ノーマル／ミスト／マッサージと水流が切り替えられ、こちらにも3種類の特殊セラミックが装備されており、ホテルの水なのだが、天然水と変わらないクオリティとなっている。最上の入浴タイムで眠りへの誘いも完璧なのだ。心なしか肌もしっとりしているように思う。

自然素材を用いて、国内で生産されたベッドへとダイブすると、あっという間に眠りに落ちた。大人になって久しく味わっていない“ストン”という入眠だったと、翌朝、目が覚めてから気づいたが、目覚めはもちろん“パッチリ”。ぼんやりする時間なしに、すぐに動き出せたことには、我ながら驚いた。

そして嬉しいのが部屋でいただける朝ごはんだ。古民家レストラン「天井桟敷」がつくる無農薬玄米を3日間発酵させた発芽玄米のおにぎりという贅沢さ。そのおいしさに感心することしきり。

ここまで読んで褒め過ぎと思われる人もいるかもしれないが、1日過ごしただけで、「横綱白鵬が快適すぎて3日間外出しなかった」という話も「さもありなん」と同意できる快眠ぶりだったのである。また読書をした際の集中も長続きしたように感じたし、それにも増してトイレでは、次世代の効果を存分に実感したことを付け加えたい。