歴史深い温泉・昭和文化・大海原のアクティビティ 1泊で3日分を楽しめる 「ホテルニューアカオ」が昭和98年のいま復活|TRAVEL
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2023年7月26日

歴史深い温泉・昭和文化・大海原のアクティビティ 1泊で3日分を楽しめる 「ホテルニューアカオ」が昭和98年のいま復活|TRAVEL

TRAVEL|ホテルニューアカオ

古き佳き昭和の温泉地と言えば、修善寺、伊香保、鬼怒川、湯河原、伊東、秋保、、思い浮かべる温泉はいくつかあるが、数ある中から多くの人が想起するのは熱海じゃないだろうか。戦後日本が急速に復興し、経済成長率が脅威の年平均10%前後だった高度経済成長期の昭和30年から48年、新婚旅行のメッカは熱海だった。いや新婚旅行に限らず、社員旅行や団体旅行、家族旅行、はたまたお忍び旅行、、冬は暖かく夏は涼しく、そして絶景に恵まれた熱海は、日本一億総国民に愛された温泉リゾート地だった。

Text & Photographs by IJICHI Yoshitake

熱海の歴史は古い。西暦749年、箱根権現の万巻上人が海に湧く熱湯で苦悩している漁民を救うため、泉脈を現在の大湯間歌泉に移したことが起源とされている。総湧出量は毎分約16,600リットル。42℃以上の高温泉が約90%を占め平均温度は約63℃、日本屈指の高温泉で豊富な湯量を誇る温泉の効能は、塩分を多く含むため汗の蒸発を防ぎ湯冷めしにくいと言う。かの徳川家康も熱海をこよなく愛し、湯治に訪れていたと言われている。
しかし、バブル崩壊後は観光客が激減。2000年代半ばには市が「財政危機宣言」を発出するほど、熱海は衰退した温泉地の代名詞ともなっていた。しかし今またその人気は再燃している。熱海を歩いてみるとよくわかるが外国人は案外少なく、日本人の若い層が多い。ここ数年若い人たちの間では“昭和レトロ”がブームなどと言われているが、熱海は街全体が昭和の街並や空気感を大切にしているのも理由のひとつだろうし、東京から新幹線こだまで約40分、東海道線でも約90分という気軽な距離感も大きい。金曜の夜から週末にかけて、または週末行って月曜昼頃に戻って来るのもなんら億劫ではないのである。
昭和の熱海の象徴とも言える「ホテルニューアカオ」本館オーシャン・ウイングが2023年7月リニューアルオープンした。創業は昭和48年(1973年)、厨房等の設備を中心とした裏側を修繕、改修し、当時の趣そのままに熱海にシンボルとして昭和98年の今年(2023年)蘇ったのである。リニューアルオープンにあたっては、熱海市長や熱海温泉ホテル旅館協同組合 理事長、静岡銀行 常務執行役員など錚々たるゲストが招かれた盛大なレセプションも開催され、市が一丸となってニューアカオの復活を喜び、盛り上げていこうとする意気込みと熱量をひしひしと感じる。
昨今、都内もリゾート地もモダンでスタイリッシュなホテルのオープンラッシュが続いているが、ニューアカオのようにクラシカルで個性あふれる宿というのもオンリーワンの魅力があって良い。まず特徴的なのがその構造。ホライゾン・ウイングとオーシャン・ウイングの2棟に分かれ、海に面したオーシャン・ウイングの15Fと山側のホライゾン・ウイングのB1が繋がっている。オーシャン・ウイングのフロントは最上階にあって客室へはEVで降りていくという独特なつくり。1F~2Fの下層階には昭和の温泉宿に欠かせないプール、ワニワニパニックや鉄拳など懐かしのゲームを揃えたコーナー、卓球、食後に一杯ひっかけられるラウンジバーなど、何時間でも遊べるコンテンツが揃っている。
そして、ニューアカオならではの体験が堪能できるのはなんと言ってもオーシャンプール。錦ヶ浦の絶景に囲まれて相模灘の青く澄んだ大海原を自由に泳げる、夏限定の天然プールである。浅いところで水深3m、深いところだと7~10mにもなると言うが、ライフジャケット着用、多くのスタッフが見守っているから3歳以上から利用可能。最も良い時期は水温が28℃くらいまで上がる7月下旬~8月上旬と言う。夏のジメジメムシムシ暑い朝、朝風呂の代わりにオーシャンプールにざぶーんなんていうたまらない贅沢を楽しむのもいいだろう。
温泉と言えば風呂。風呂は、大浴場の他に予約制の貸切風呂が2つ、加えて露天風呂スパリウムニシキがある。スパリウムニシキは、眼前に海、いや、もはやどこまでが風呂でどこから海なのかわからなくなる、海と一体となったインフィニティ風呂を設える。そこにはさえぎる景色は何もない。海とひとつに繋がって湯呑みができるのもこの上ない贅沢だ。
レストランやカフェ、ラウンジも各種揃っているが、イチオシしておきたいのはメインダイニング錦。壁一面の窓に広がる相模灘の絶景と、巨大で豪華なレストランはまるで古代ヨーロッパの劇場のようでもあり、豪華客船の船上のようでもある。今ここまで圧倒されるクラシカルレストランはそうないのではないだろうか。唯一無二のこの場所には逆に新しささえ感じる。夜と朝は宿泊者限定だが、昼は一般客にもランチ営業しているというから、一度は訪れてみてほしい。
ニューアカオでは他にも、SUP、シュノーケリング、カヤック、フィッシング、錦ヶ浦散策、月道のフォトツアーなどアクティビティは盛りだくさん。館内を散策するだけでも、昭和文化の趣を随所に残しているから飽きることがない。熱海の街に出れば、花火大会やお花スポット、史跡や名所など見どころであふれている。
かつて昭和の時代は「1泊で3日遊ぶ」を謳い文句に宣伝されていたニューアカオ。その文句に噓偽りなく、1泊で1週間分遊べそうなほどの魅力が詰まっている。熱海には、日本屈指の温泉、穏やかな気候、圧巻の海、新鮮な海鮮、恵まれた自然環境と、昭和から平成にかけて生んできた数々のシーンの積み重ねから培ってきた魅力があって、それが令和の今また注目を浴びている。時代が変わっても変わらない普遍的な魅力が新しさやトレンドを取り入れながら変化してそれがまた本質的な魅力となっていくのは「不易流行」と言うけれど、熱海は街全体でそれを体現しているように感じる。そんな熱海でシンボリックな存在であり続けている「ホテルニューアカオ」。この先の50年そして100年後も変わらない魅力で、いやアップデートし続けるその魅力で、多くの人を惹きつけることだろう。
ホテルニューアカオ
場所|静岡県熱海市熱海1993-65
問い合わせ先

ホテルニューアカオ
Tel.0557-83-6161
https://hotel-new-akao.com/

                      
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