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2019年11月8日
[短期連載7] 建築と芸術とエンターテインメントと美食の都、シカゴへ──フライト編|TRAVEL
建築と芸術とエンターテインメントと美食の都、シカゴへ──フライト編
移動のための時間を、上質で価値のある旅のワンシーンに
ニューヨーク、ロサンゼルスに次ぐ北米第3の都市、シカゴ。摩天楼発祥の地であるここは、どことなく街の雰囲気がニューヨークに似ている。人口や面積がニューヨークの数分の一に過ぎないコンパクトなこの街は、アートや建築、エンターテインメントや美食など、ニューヨークに引けをとらない魅力的なコンテンツがギュッと凝縮されているのだ。そんなシカゴの魅力を、テーマ別に紹介していく短期連載。第7回は、今回利用したユナイテッド航空の長距離国際線向け新ビジネスクラス・サービス「ユナイテッド・ポラリス」をご紹介する。
Text by YAMAGUCHI Koichi
出発ラウンジから到着まで、さらに上質な体験を提供
今回のシカゴへの旅には、シカゴ・オヘア国際空港をハブ空港の一つとする北米を代表するエアライン「ユナイテッド航空」を利用した。ユナイテッド航空では、2016年12月より新コンセプトの長距離国際線向けビジネスクラス・サービス「ユナイテッド・ポラリス」を導入しており、それをぜひ体験したいと思ったからだ。
「プレミアムキャビンのユーザーに、出発ラウンジから到着まで、さらに上質な睡眠体験を提供する」ために生まれたというユナイテッド・ポラリス。そのコンセプト通り、搭乗前から特別な体験が始まる。同社の最上級ラウンジとなるユナイテッド・ポラリス専用ラウンジである。現在、シカゴ・オヘア国際空港をはじめ、サンフランシスコ、ニューヨーク・ニューアーク、ヒューストン、ロサンゼルスの各空港に開設されており、さらにワシントン・ダレス空港でもオープンする予定だという。
成田空港への帰路、シカゴオヘア空港第1ターミナルC18ゲート付近にあるポラリス・ラウンジで搭乗までのひとときを過ごした。受付を済ませて内部に歩を進めると、パーテーションとサイドテーブルを備えたプライベート感あふれるシートやゆったりとしたサイズのソファ、そしてテーブルが設置された、広々とした空間が広がる。L字形の大きなバーカウンターでは、スタッフが笑顔でワインやビール、そしてカクテルなど好みの飲み物を提供している。その様は、モダンなインテリアデザインも相まって、まさにラグジュアリーホテルのバーラウンジといった風情なのだ。
やはりラグジュアリーホテルのバスルームを思わせる広々としたシャワールームには、機内と同様にヒューストン発の高級スキンケアブランド「サンデー・ライリー」のアメニティが備わる。これは、特に女性の利用者にはありがたいサービスだろう。一方、ビジネスマンにとってうれしいのが、シャワーを浴びているあいだにシャツやジャケットのアイロンがけを行うヴァレットサービスだ。この辺りのホスピタリティも、まさにラグジュアリーホテルそのものと言えるだろう。
長時間のトランジットの際に便利なのが、デイベッドと名付けられた仮眠室だ。ゆったりとしたベッドには、機内と同じくアメリカの高級デパート「サックス フィフス アベニュー」と共同開発した枕とブランケットが用意され、静かな空間でゆっくりと体を休めることができる。予めスタッフに時間を伝えておくと起こしてくれるので、寝過ごしてフライトに遅れてしまう心配もない。
さて、ポラリスラウンジおいて、もっとも魅力的なスペースがダイニングルームだろう。まさにレストランともいえる落ち着いた雰囲気の専用スペースで、スープから前菜、メインまで、地域の特色を生かしたさまざまな料理を各テーブルでスタッフにオーダーできるのだ。
筆者はオニオンスープとユナイテッドポラリスバーガーと名付けられたハンバーガーを食したのだが、いずれも高級レストラン並といっても過言ではないおいしさだった。搭乗前にこうしたクオリティの高い食事を楽しめるダイニングルームの存在は、特に、搭乗後は機内食をパスして少しでも長く睡眠をとりたいという人には魅力的だろう。
ちなみに、このシカゴ・オヘア空港のユナイテッド・ポラリス専用ラウンジは、英国の航空サービス調査会社、スカイトラックスが実施する「2018ワールド・エアライン・アワード」において、米国における「ベスト・ビジネスクラス・ラウンジ」に選出されたという。この賞は、世界2,000万人以上の航空旅客の投票により決まるというから、同ラウンジがいかに世界中のジェットセッターたちから評価されているかが分かるだろう。
睡眠時には全長約198cmのフルフラットベッドに
ポラリスラウンジで心も胃袋も満たされた後は、いよいよ搭乗である。成田─シカゴ便で使用されるボーイング777-200ERには、2017年より導入されたユナイテッド・ポラリスの新シートを搭載した機材が、すでに57パーセントを超えており、2020年までには順次全機に搭載される予定だという。今回の旅では幸運なことに、往復ともに新シートを堪能することができた。
席についてまず印象的なのは、プライベート感の高さだ。1-2-1と横4列となるコンパートメントは、隣の乗客の存在を感じさせないように配置されており、適度な高さのパーテーションも相まって、心身ともに寛げるスペースとなっている。シート横にはサイドテーブルやノートパソコンなどを収納できるスペースが設置されており、たとえばメインのテーブルで食事している最中にもパソコンを広げておくことができるなど、使い勝手も上々だ。
水平飛行になると、いよいよ食事の時間だ。世界的に有名なシェフたちとともに、地域や季節に応じて開発したというメニューは、洋食と和食のコースが用意される。今回のフライトでは洋食のコースをセレクトしたのだが、特にメインの「牛ショートリブの炙り焼き」は、焼き加減が絶妙で美味な一皿だった。
食事を終えポートワインを味わっていると、心地よい睡魔におそわれた。ユナイテッド航空では、国際線長距離ビジネスクラスを改良するにあたり、リサーチを重ねたところ、乗客が最も優先するのは機内での快適な睡眠だということを見いだしたという。その結果を受けて開発されたシートは、リクライニングやフットレストが好みの角度に無段階に調整が可能で、睡眠時には全長約198cmのゆったりとしたフルフラットベッドとなる。
さらに、乗客の快適な睡眠をサポートするために、アメリカの高級デパート「サックス・フィフス・アベニュー」とコラボレーションし、独自の寝具類を開発。12時間以上のフライトでは、リクエストに応じて通常の枕やブランケットに加えて、クールジェル入りの枕やフルフラットシートに敷くマットレス、さらにコットン100%のパジャマ(持ち帰り可能)も用意されるなど、空の上であることを忘れてしまう睡眠環境を実現しているのだ。筆者は10時間以上のフライトの際は、仕事や映画鑑賞、読書にほとんどの時間を費やし、睡眠は3時間程度というのが定番なのだが、今回は最初の食事のあとに横になると、着陸の2時間ほど前まで深く心地よい眠りについていた。
ユナイテッド・ポラリスでのフライトは、移動のための時間が、積極的に味わいたくなる上質で価値のある旅のワンシーンに変わる。そんなことを心から実感した空の上の旅だった。
問い合わせ先
ユナイテッド航空
united.com