[短期連載3] 建築と芸術とエンターテインメントと美食の都、シカゴへ──アート編|TRAVEL
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2019年11月5日

[短期連載3] 建築と芸術とエンターテインメントと美食の都、シカゴへ──アート編|TRAVEL

世界最大級のモダンアート・ミュージアム──シカゴ現代美術館

シカゴにおける現代アートの拠点、シカゴ現代美術館(MCA)も、シカゴを訪れた際には必ず立ち寄りたいアートスポットだ。
1967年に創設された同ミュージアム。絵画、彫刻、写真、映像など、幅広いジャンルにわたる数千点の作品を所蔵する、世界最大級の現代美術施設だ。所蔵作品はすべて1945年以降のもので、アンディ・ウォーホルやフランシス・ベーコンをはじめ、著名なアーティストのコレクションも数多所蔵しており、現代美術に詳しくない人でも楽しめる美術館となっている。
館内の美しいらせん階段
1996年に竣工した現在の建物は、東西ドイツが統一した際にベルリンの再建で活躍したドイツの建築家、ヨーゼフ・パウル・クライフスによるもの。シカゴで活躍したミース・ファンデル・ローエのモダニズム建築と、伝統のシカゴ派の様式を融合させたモダンな建築自体も見所の一つである。ちなみにクライフスは、ベルリンの古い駅舎をリノベーションした「ハンブルク駅現代美術館」を手掛けたことでも知られている。
美術館に併設されたレストラン/バー「マリソル」。黒人として初めてターナー賞を受賞したイギリス人アーティスト、クリス・オフィリの壁画が目を引く © Museum of Contemporary Art Chicago
シカゴ現代美術館は、オープン当初より、興味深い企画展を開催してきたことでも注目を集めてきた。たとえば、パリのポンヌフ橋を布で包んだ「梱包されたポンヌフ」をはじめ、建造物などを梱包するプロジェクトで知られるパブリックアートの作家、クリストがアメリカで初めて手掛けたのが、シカゴ現代美術館を梱包するプロジェクト(1969年)だった。
ヴァージル・アブロー「フィギュア・オブ・スピーチ」展
1970年には、ロイ・リキテンシュタイン、ロバート・ラウシェンバーグ、そしてアンディ・ウォーホルといった現代美術界のスターたちの個展を開催。また、1988年にジェフ・クーンズの初めての個展を開催するなど、常に新しい才能に注目し、興味深い企画展を行ってきたことでも高い評価を得ている。
地元シカゴ出身のアーティスト、ヴァージル・アブロー © Museum of Contemporary Art Chicago
今回、訪れた際には、地元シカゴ出身のアーティスト/デザイナーであり、自身のファッションブランド「オフ-ホワイト c/o ヴァージル・アブロー」を手掛けるほか、2018年にはルイ・ヴィトンのメンズ・アーティスティック・ディレクターに就任するなど、ストリートカルチャーとモード界においていま最も注目を集めているクリエイターの一人であるヴァージル・アブローの初となる個展「フィギュアーズ・オブ・スピーチ」(6月10日-9月22日)が開催されていた。
「あなたは明らかに間違った場所にいる」と記されたネオンサインは、実際に「オフ-ホワイト」のショーで使われたもの
セラミック製のチェーンが着けられたルイ・ヴィトンのボストンバッグ
アブローのこれまでの活動を、7つのテーマをもとに振り返る今回の特別展。 「Fashion」や「Music」、そして「Black Gaze(黒人の視点)」などのテーマからなる展示は、黒人として生まれ、モード&ストリートカルチャーにおける時代の寵児となった彼の創造性やアイデンティティを目の当たりにできる内容となっている。
DJでもあるアブローが、日本の音響機器メーカー「パイオニア」とコラボレーションしてつくったスケルトンのサウンドミキサーとデジタルミュージックプレーヤー
シカゴ近代美術館では、ミシェル・オバマに愛用されていることでも知られている、ロンドンを拠点に活動するナイジェリア人ファッションデザイナー、デュロ・オロウの個展など、今後も興味深い特別展を予定しているから、シカゴを訪れる際はぜひチェックしていただきたい。
シカゴ現代美術館(MCA)
220 E シカゴアベニュー シカゴ イリノイ州 60611
https://www.mcachicago.org/​
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