時間を慈しむ。大人のリゾートに生まれ変わったSheraton Grande Ocean Resort|TRAVEL
TRAVEL|安・近・短、かつ外資ホテルの高品位な空間を楽しめる
ホテルバーとグランピングを一夜にして満喫。
東京から1時間30分のフライトで切り替わる別世界(1)
宮崎シーガイアって、ゴルフリゾートだと思っているヒト、多くないですか? じつは私もその一人でした。だって、あのインターナショナルツアー「ダンロップフェニックストーナメント」の開催地だし。実際に、ホテルにはゴルフコースがふたつも併設されてるわけなんだし。まぁ、たしかにゴルファーにとっての夢の地ではあるわけですが、ところが2017年10月に完了したホテルのフルリノベーションに伴い、首都圏からわずか1時間30分で到着できる高品位な大人のリゾートとしての側面がプッシュされてきてるんです。というわけで今回は、いまホットなデスティネーションとして生まれ変わった「フェニックス・シーガイア・リゾート」のフラッグシップホテル「シェラトン・グランデ・オーシャンリゾート」にスポットを当てていきます。
Photographs by SUZUKI TakuyaText by TSUCHIDA Takashi(OPENERS)
新しく“離れ”に作られたメインバー「KUROBAR」
というわけで、新生シーガイアのアクティビティとしてお勧めするのは、ずばり“ホテルバー巡り”です。
バーは大人の佇まいを身につける場所でありますが、もう大人として熟しちゃったヒトには必要ない、なんてことはありません。俗世から一時離れ、時間をかけて今一度、自身を見つめ直すのです。そのきっかけになるのが、ゆったりと時が流れるバー空間に身を置くこと。時には他人の行動をそれとなく観察するのもいいかもしれません。翻って、自分がどう見えているか、鏡の役割をしてくれるはずです。バーとは、大人の社交場。他人に迷惑をかけないように、そのシンプルなルールさえ守っていれば、誰にも文句は言われません。
「KUROBAR」は、2017年10月に完成しました。ホテルバーなのに、離れです。できたてホヤホヤで、建材の木の香りがいまだ仄かに漂います。しかもメインバーなのに、雰囲気バッチリなのに、宿泊者限定。
加えてホテルバーとは思えない良心価格。街ナカのバーとほぼ変わらない設定です。ここは量飲むぞ派には、たまらないメリット。品揃えもメインバーらしく、JWブルーラベルを筆頭に良質なラベルが棚に並んでいます。また昨今流行りのクラフトジンもフォローされ、そんなクラフトジンを使用した季節のジン・トニックなども出していただけます。
お客が宿泊者限定ということは、バーの雰囲気もとても落ち着いているということです。ここでは客室同様に、ゆったり、好き勝手に自分の時間を楽しめます。そしてテイクアウトメニューも充実。「KUROBAR」の外は、「焚火のリビング」が設えられ、飲み物を持ち込んで、外気を楽しむことも可能。気分は、グランピングです。このエリアも宿泊者専用となっていて、朝や午後にはマシュマロやコーヒーの無料サービスも用意されています。リゾート気分をぐっと高めてくれるエリアなんですね。
喧騒を求めて、2軒目。カクテルラウンジ「パシフィカ」へ
このスペースは、むしろかつての宮崎シーガイアとしての色が残る場所です。ホテルエントランスの吹き抜けに設えられた、南国気分のバー。中央には水槽が設けられ、熱帯のサカナたちが優雅に泳いでいます。このバーは唯一、宿泊客以外も利用できる場所。それゆえ、食事を終えた地元の皆さんもこちらでくつろいだ時間を過ごされています。
毎週火曜日以外は、夜10時45分までピアノとボーカルの生演奏が入ります。取材時はポルトガルから来日しているふたり組のアーティストが、演奏を担当しています。ちなみに、ピアノを弾いている男性の方が、映画「ラ・ラ・ランド」に登場する俳優ライアン・リングに少しだけ似ていますが、どうでしょう? まだ日本人好みのレパートリーが少ないそうですが、唄のリクエストも受け付けています。いわゆる外資系ホテルの王道とも言うべき、賑やかな雰囲気。「KUROBAR」との対比を楽しんで、いよいよ、今宵最後の楽園へ。
Page02. そして、行き着く3軒目「さけのみや」
TRAVEL|安・近・短、かつ外資ホテルの高品位な空間を楽しめる
ホテルバーとグランピングを一夜にして満喫。
東京から1時間30分のフライトで切り替わる別世界(2)
そして、行き着く3軒目「さけのみや」
この場所に到着するまでに、すでに何杯あおってきたでしょうか。酒に潰れず、周囲に迷惑をかけず。
自分の人生を肴にして、今宵を満喫する最後の銘柄は、焼酎。だって宮崎といえば、焼酎王国なのですから。
この宮崎焼酎BAR「さけのみや」は、地元焼酎との出合いを演出する場所。首都圏ではお目にか
かれないラベルのオンパレードです。
でも珍しいのはラベルだけではありません。ここで試したいのは、アルコール度数が20度の焼酎。なぜなら全国流通している25度の焼酎に比べて、ロックで飲んだ時にスッキリと飲めるんです。この20度の焼酎は、宮崎県内で流通しているもの。理由はさだかではありませんが、宮崎の人たちは焼酎をストレートまたはロックで飲むことが多く、アルコール度数がやや低めの20度が好まれるようになったとか。
さて、バーを3軒ハシゴするような猛者の皆さんなら、地元の皆さんと同じく焼酎をストレートまたはロックで飲むはず。20度と25度の口当たりの違いを確かめながら、今宵の仕上げと行きましょう。焼酎マティーニ。正確には、「芋焼酎とへべす酒のマティーニ」。へべすとは宮崎で採れる柑橘類のことで、スダチやかぼすに似ているが、酸味がそれほどキツくありません。最後にフレッシュへべすを軽く絞って、焼酎本来の甘みをフワりと開かせるのは、バーテンダー穴井さんのマジック。その甘みを味わって、今宵のツアーは完成です。
夜だけじゃない、フェニックス・シーガイア・リゾートの楽しみ方
さて、ここまでバーの紹介に終始してきましたが、ここから先は、その他の旅の情報を。まずは食事なんですが、ここはぜひ宮崎牛でガツンと腹ごしらえを。あのタイガー・ウッズもわしわしと食べた宮崎牛は、芳醇なコクがありながら、しつこくなく、肉の脂が口の中でさっぱりと溶け出す上品な味わい。これを焼き加減レアでいただくのがお薦めです。脂が鉄板の熱で完全には溶け切らず、口の中に入れて体温でジワリと溶け出す味わいといったら!! 思い出すだけでヨダレが落ちてくるわけでして、こればかりは、どーぞ、実際にお召し上がりくださいませ、お確かめくださいませ、です。
そして、このホテルに宿泊するなら、ぜひクラブフロアにご予約を。クラブフロアの設えは、一般の客室よりもぐんとリッチ。なかでも注目は、特注のソファです。
このソファ、正面の海を心ゆくまで眺められるように、回転させることができるスグレモノ。朝日や、満月には月の道ができる真東に向いたオーシャンビューの眺めを存分に堪能できるのです。お酒で火照った身体を冷ますように、揺れる水面をボーっと眺める時間も、きっと至高のひと時となるはずです。
また宿泊者は全員、風待ちテラスの利用が可能になります。
テラスには、まるで図書館のように素敵な書籍がたくさん。旅情報、写真集など、旅情を盛り立ててくれる書籍がたくさんあり、しばし時間を忘れさせてくれます。しかも、カフェメニューがこれまたオトク。ボリュームたっぷりのシェフおまかせクラブサンドのポテト添え800円、豆にこだわったハンドドリップコーヒー500円、ケーキ類も300円から。お財布を気にせずに利用できて、のんびり過ごせるのがベリーグッドです。ここに住みたい〜と、みんな笑顔。ただ「美味しい」「デザインが素敵」だけじゃなく、ナットク価格にこだわっているところもいいですね。
極めつけは、風待ちテラスの一番奥にあるレタールーム。ここでは旅の思い出を手紙にしたためたくなる演出が効いています。しかも書いた手紙はホテルが切手を貼って、投函してくれるという気の回しようです。
ほかにも、3種類の温泉があったり、国内唯一のバンヤンツリー・スパがあったり、松林をめぐるセグウェイツアーなど、アクティビティにことかかないのですが……、そこを敢えてあとひとつだけピックアップするなら、ホテルの敷地を飛び出し、クルマでおよそ5分の「The BEACH BURGER HOUSE」への訪問を提案します。このお店は、2017年7月15日にオープンしたばかり。“カリフォルニアビーチスタイル”をコンセプトにした設えと、東京・原宿のTHE GREAT BURGERが監修したハンバーガーメニューがポイント。地元でも、いま話題のスポットとして注目され、今後はビーチパーティやマルシェも計画しているのだとか。
と、いうわけでバーを中心に、生まれ変わったSheraton Grande Ocean Resortを紹介してきたわけですが、ほらゴルフ以外にもこんなに充実しているでしょ? こんな大人のリゾートを、ゴルファーだけに独占させておくのはもったいないです。もちろん、ゴルフも合わせて楽しんじゃえ、という欲張りさんのニーズもしっかり満たします。東京・羽田からのフライトで1時間30分。宮崎空港からのアクセスもクルマでおよそ30分程度と、決して悪くありません。
そして、この冬からLCCであるジェットスターの成田〜宮崎空港路線が就航。片道5990円の航空券も出始めました。こうなると移動時間だけでなく、交通費もぐっと身近に。どうです? 次の旅のデスティネーションは、宮崎にしてみませんか?