kizunaworld.org|坂本龍一と高谷史郎によるコラボレーション映像作品「chrono」
LOUNGE / MUSIC
2015年4月27日

kizunaworld.org|坂本龍一と高谷史郎によるコラボレーション映像作品「chrono」

kizunaworld.org #24

坂本龍一と高谷史郎によるコラボレーション映像作品「chrono」

坂本龍一氏らによってスタートし、国内外のさまざまなアーティスト作品を通じて寄付を募る東日本大震災被災地支援プロジェクト、「kizunaworld.org(キズナワールド・ドット・オルグ)」。24番目の作品は、坂本龍一と映像作家の高谷史郎によるコラボレーション作品「chrono」である。

Text by KASE Tomoshige(OPENERS)

一日の空が地球に見える

坂本龍一氏と平野友康氏が発起人となり立ち上がった「kizunaworld.org」。「個人の力でできるかぎりのことをする」というコンセプトのもと、国内・海外からプロジェクトに賛同するアーティストの作品を広く集めて提供、寄付を募っている。その活動は2年目以降も個人の想いを繋げながら、継続的な支援をつづけている。

24番目の作品には、映像作家であり、さまざまなパフォーマンス、インスタレーションの制作に携わってきた高谷史郎氏が登場。映像を高谷氏、音楽を坂本氏が手がけた、コラボレーション映像作品となっている。

一見すると映像は、宇宙から眺めた地球に見える。しかしじつは、夜明けから日没までの空をデジタルカメラで撮影した、約2万枚の写真を編集したもの。刻一刻と移り変わる空の表情は単純に見るものを飽きさせない。そして、巡りゆく日々とその変わらぬ平穏の重要性を、静かに訴えかけてくるような映像といえる。

この作品には以下のような注釈がある。“「時間」には、国境と同じように、本来はそれを分けるラインなど存在しない。だが、人間によって線が引かれる――たとえば、「9.11後」とか「3.11前」などのように”。視覚的にも聴覚的にも静けさを感じさせる作品だが、メッセージはきわめて痛切である。

作品は、1口1000円~20口2万円の任意の寄付をPayPalで決済し、ダウンロードする仕組み。集まった寄付金の全額(決済手数料を除く)が、被災地で「いま必要な支援」として「医療」「こども」「食料」「住宅」「エネルギー」の分野を代表する5つの団体に対して均等に配分され、四半期ごとに寄付をおこなっている。

〈寄付先〉
「国際NGO 世界の医療団」|岩手県大槌町でこころのケアを中心とした医療活動、医薬品の調達
「こどもの音楽再生基金」|教育機関での楽器修復や提供・音楽活動支援
「サンライズ元気村プロジェクト」|仮設住宅で生活する高齢者に米を届ける支援
「ボランタリー建築家機構 坂茂/東日本大地震津波支援プロジェクト」|避難所用簡易間仕切りシステム設置による支援
「環境エネルギー政策研究所 つながり・ぬくもりプロジェクト」|太陽光・太陽熱・バイオマスなどによる被災地支援

高谷史郎|TAKATANI Shiro
1980年代から「Dumb Type」のメンバーとしてパフォーマンスやインスタレーションの制作に携わり、ビジュアルワークを総合的に担当。主な個人の活動は以下。1999年、坂本龍一オペラ『LIFE』の映像ディレクション。2007年、気候変動をテーマに科学者とアーティストが北極圏へ遠征するプロジェクト「Cape Farewell」(イギリス)に参加。同年、坂本龍一との共同制作インスタレーション「LIFE - fluid, invisible, inaudible...」。2008年、パフォーマンス「明るい部屋」(Theater der Welt、ドイツ)など。また、霧の彫刻家・中谷芙二子との共同制作も多数。2012年にはパフォーマンス「CHROMA」制作・発表をおこなっている。

           
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