kizunaworld.org|この日のために坂本龍一が書き下ろした新曲、「Requiem」を発表
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震災から1年、坂本龍一が書き下ろした新曲「Requiem」を発表
坂本龍一氏らによってスタートし、国内外のさまざまなアーティスト作品を通じて寄付を募る東日本大震災被災地支援プロジェクト、「kizunaworld.org(キズナワールド・ドット・オルグ)」。震災から1年が経過した2012年3月11日、坂本龍一氏の新曲「Requiem」が発表され、18番目の作品となった。
Text by KASE Tomoshige(OPENERS)
震災から1年。支援は継続していく
坂本龍一氏と平野友康氏が発起人となり立ち上がった「kizunaworld.org」。「個人の力でできるかぎりのことをする」というコンセプトのもと、国内・海外からプロジェクトに賛同するアーティストの作品を広く集めて提供することで寄付を募り、被災地への支援を続けている。
震災から1年が経過した現在。このプロジェクトについて改めて坂本氏と平野氏がコメントを寄せている。
3.11から一年がたちます。
現実の問題も思いもさまざまですが、
ぼくたちは今後も持続的に復興支援していきたいと思います。
多くのアーティストの協力にも感謝します。
これからもご協力、よろしくお願いします。
坂本龍一・平野友康
3月11日発表の18番目の作品は、坂本氏がこの日のために書き下ろした楽曲「Requiem」。この楽曲は、YMOのライブのサポートメンバーとしても活躍している音楽家 権藤知彦氏とのコラボレーションにより実現した。震災から1年、つらさも苦しさも、明るさも救いも同居する現実がつづいてはいる。しかしこの“鎮魂歌”からは、ほのかではあるが確かなあたたかみを感じ取ることができるはずだ。坂本氏、権藤氏からのメッセージは以下である。
3.11から1年、あらためて哀悼を表すとともに、
残された者に寄り添えるように。
坂本龍一
おもう気持ちは皆同じです。
できることをしてともに生きていくことです。
この曲に参加させていただいたことに深く感謝いたします。
権藤知彦
作品は、1口1000円の寄付をPayPalから決済するとダウンロードできる仕組み。集まった寄付金は、決済手数料をのぞく全額が「医療」「こども」「食料」「住宅」「エネルギー」の5つの分野で“いま必要な支援”として、状況に応じて寄付先を随時検討しながら届けられる。また昨年10月1日からは「こども」の寄付先が、震災により楽器が使えなくなってしまった教育機関に対し楽器の修復や提供をおこなうとともに、被災地での音楽活動を支援する「こどもの音楽再生基金」に変更されている。
坂本龍一|SAKAMOTO Ryuichi
1978年『千のナイフ』でソロデビュー。同年、細野晴臣、高橋幸宏とYMOを結成。84年、自ら出演し音楽を担当した『戦場のメリークリスマス』で英国アカデミー賞などを受賞。
01年、自然エネルギー利用促進を提唱するアーティスト団体「artists’ power」を創立し、03年には小林武史、櫻井和寿に協力し「ap bank」の設立にも参加。06年、六ヶ所村核燃料再処理施設稼働反対を表明し「stop-rokkasho.org」をスタートする。07年7月には「more trees」の設立を発表し、植樹活動をおこなうなど、活動は多岐にわたっている。
2011年3月11日の震災後「kiuznaworld.org」「LIFE311 - by more trees」「こどもの音楽再生基金 - School Music Revival」などの被災者支援プロジェクトを立ち上げ、支援活動をつづけている。1990年より米国、ニューヨーク州在住。
権藤知彦|GONDO Tomohiko
日大芸術学部卒業後、米ボストン大学に留学、修士課程修了。専攻は電子音楽とユーフォニアム。2004年、音楽家集団anonymassを結成し4枚のアルバムをリリース。
YMOの日本でのライブおよびヨーロッパ、アメリカツアーにサポートメンバーとしてつねに参加。コンピューターと管楽器を使ったユニークなスタイルでLove Psychedelico, The Beatniks, Chara, UAほか、多数のミュージシャンの録音やライブなどに参加している。国内では特異な“ポップスがわかるユーフォニアム奏者”としての側面を持ちつつも、作・編曲家としてCM、サウンドトラックなども多数発表している。