MOVIE|『デヴィッド・ボウイ・イズ』の日本公開が決定!
MOVIE|ロンドン・V&Aでの回顧展『David Bowie is』の全貌に触れる
ドキュメンタリー映画『デヴィッド・ボウイ・イズ』の日本公開が決定!
今年もデヴィッド・ボウイの誕生日がやってきた。1947年1月8日生まれのボウイは、今年68歳になる。ボウイとその誕生日で、世界中のファンが忘れられない出来事といえば、2年前、2013年1月8日の劇的なボウイの復活劇だろう。
Text by YOSHIMURA Eiichi
あまりにも劇的で鮮烈な復活劇!
2003年のコンサート・ツアー中の緊急入院と心臓の手術から、人前に出ることが次第に減り、新曲や新作アルバムの発表も10年間おこなっていなかったボウイは、ファンからもすでに引退したと思われていた。伝説のスターはもはや本当の伝説になったのだと――。
ところが2013年の1月8日午前0時(アメリカ東部時間)、ボウイの誕生日を迎えた瞬間に、インターネット上でボウイの10年ぶりの新曲「ホエア・アー・ウィ・ナウ?」が映像付きでいきなり発表されたのだった。ボウイが新曲を! しかも3月には新作アルバム『ザ・ネクスト・デイ』も発表することまで告知された。新曲「ホエア・アー・ウィ・ナウ?」はネットでダウンロード発売されるや世界27カ国でチャートの1位になるなど、あまりにも劇的で鮮烈な復活劇だった。
V&Aでの回顧展『David Bowie is』開催
そんなボウイの復活は、新曲と新作アルバムだけにとどまらなかった。ライヴやコンサート・ツアーこそおこなわないものの、アルバム発売と合わせた3月から、英国の伝統的なデザインのミュージアム、ヴィクトリア&アルバート博物館(V&A)で本人が全面協力したかつてない規模のボウイの回顧展『David Bowie is』が開催されることも決まったのだ。
このV&Aでの回顧展『David Bowie is』は、ボウイの誕生時から現在までにいたるボウイの足跡を膨大な資料、映像、音楽で回顧するという試み。小さいころの写真から、数々のステージ衣裳や小道具、楽器や自筆の手書き歌詞の草稿にプロモーション・ビデオの絵コンテまで、数百点以上に及ぶ展示物はまさに圧巻のひと言。
なにしろ1970年代初頭、きらびやかなグラム・ロック・ムーブメントのさなかに『ジギー・スターダスト』で音楽界の最前線に飛び出し、以降、多彩なイメージを音楽のみならずヴィジュアルでも表現しつづけてきたのがボウイというアーティストの特徴だ。たんなるいち音楽家の資料展といった地味なものではなく、圧倒的にゴージャスで、華やかな展示が『David Bowie is』なのだ。
しかもこの『David Bowie is』では、来場者は一人ひとりがヘッドフォンを手渡され、そのヘッドフォンからは展示物ごとにその内容にあったインタビューや解説、音楽が流れてくるというインタラクティブな体験ができる。これに音楽ビデオの先駆者のひとりでもあるボウイならではの数多くのビデオ映像や、映画俳優としての活動もしているボウイなので、映画の印象的なシーンの映像も会場のあちらこちらで流れているという、一種のアトラクション的な豪華絢爛な展覧会だった。
同展の入場はネットでの予約制で、チケットが発売されるやまず週末、そして平日分まであっという間に売り切れてしまい、V&Aは会期や日々の開館時間を延ばして対応したものの焼け石に水。ネット・オークションで予約チケットが高値を呼び、ダフ屋まで現れるという前代未聞の超人気イベントとなった。
ロンドン、英国からはもちろん、海外からもファンが押し寄せたこの『David Bowie is』はV&Aはその後、カナダ、ブラジル、ドイツ、アメリカを巡回し、今年3月からはフランス、その後はオーストラリアでの開催も決定している。
しかし、それでも世界中にはこの回顧展を観たくても観られないボウイのファン、あるいは音楽やアートのファンがまだまだ多数存在している。なかでも、回顧展の巡回が一向に決まらないここ日本のファンには相当にフラストレーションがたまっていると思う。
日本のファンにも朗報のドキュメンタリー映画
前述したように、この回顧展は展示品と膨大な量のインタビュー、解説の音声が不可分に結びついているために、それら英語の音声のまま日本で展示をおこなうというのは難しい面はあると思う(ブラジルやドイツでは英語音声のままおこなわれたらしいが)。実際、噂レベルではいくつかの美術館、博物館が折衝したものの、その点も含めて日本開催を見送ったという話も聞く。
もちろん、近い将来に日本で開催されることを信じているが、しかし、そんな日本のファンにも朗報だ。
2013年3月から5か月に渡っておこなわれたV&Aでの『David Bowie is』最終日の8月11日、この歴史的な回顧展の全貌がドキュメンタリー映画として撮影されていた。
この回顧展を企画したキュレーターのヴィクトリア・ブロークスと、ジェフリー・マーシュが展示品にまつわるさまざまなエピソードを紹介し、さらに、この日おこなわれたボウイとゆかりの人たちのトークショーの模様も織り込まれている。われわれ日本人にとってこのトークの目玉は、ジギー・スターダスト期のボウイの衣裳をデザインした山本寛斎氏が語る貴重で胸に迫るエピソードと思い出のトークだろう。ジギー・スターダストから40年を経ての伝説的なエピソードの数かずは、ボウイと日本の結びつきの確かさを感じずにはいられない(同様に、 写真家の鋤田正義さん、スタイリストの高橋靖子さんとのエピソードも)。
この貴重なドキュメンタリー映画『デヴィッド・ボウイ・イズ』が、いよいよ日本にやってくる。全国各地10カ所の映画館で1月24日(土)から。東京の新宿ピカデリーでは1月29日(木)まで6日間の限定上映だ。
山本寛斎氏をはじめとする貴重なトークも、キュレーターたちによる解説も、もちろんすべて日本語字幕入り。ボウイの貴重な映像やインタビューも盛りだくさんのこの映画は、世界中の、そして日本での『David Bowie is』展にいまだ触れられない日本のたくさんのファン必見の映画である。
上映回数が限られている上に、今後DVD化などの予定がないドキュメンタリー映画であるだけに、ボウイのファン、そしてポピュラー音楽やそれにまつわる現代アートのファンは、絶対にこの機会を逃してはならない。
『デヴィッド・ボウイ・イズ』
1月24日(土)より、新宿ピカデリーほか全国10館でロードショー
新宿ピカデリー、札幌シネマフロンティア、MOVIX仙台、イオンシネマ名古屋茶屋、なんばパークスシネマ、MOVIX京都、MOVIXさいたま、イオンシネマみなとみらい、イオンシネマ幕張新都心、イオンシネマ福岡
※新宿ピカデリーでは1月24日(土)~29日(木)の6日間限定上映
※なんぱパークスシネマは24(土)、25日(日)の2日間上映
料金|劇場販売のみ一律2500円
http://www.omniversevision.com/davidbowieis.html
http://www.culture-ville.jp/作品紹介/musicville/
問い合わせ
カルチャヴィル合同会社(配給)
info@culture-ville.jp