MOVIE|ポルトガルが誇る俊英ミゲル・ゴメス監督最新作『熱波』
MOVIE|老女の在りし日の情熱を描くメロドラマ
ポルトガルが誇る俊英、ミゲル・ゴメス監督による最新作『熱波』
ポルトガルでいまもっとも注目すべき映画監督といえば、俊英ミゲル・ゴメス監督。彼が老女の在りし日の情熱をテーマに描いた最新作『熱波』が、7月13日(土)より、シアター・イメージフォーラムでロードショーされる。
Text by YANAKA Tomomi
細部に冴えわたる卓越した映像技法
前作『私たちの好きな八月』で世界中の批評家たちを唸らせたミゲル・ゴメス監督。今度の舞台は無機質感の漂うポルトガルの都市と、冒険的な雄壮さに満ちたコロニアル時代のアフリカ。ある老女が抱える現在の虚無感と過去の情熱的な記憶をたどる、上質なメロドラマを完成させた。
映像では対比がもつ空気感を表現するため、いまでは珍しい35ミリと16ミリのフィルムを併用するなど、細部にいたるまでさまざまな映像技法を駆使。情感溢れる映像美をつくりだした。
俳優陣は、老女アウロラの願いをかなえるべく奔走するピラールに、国際的にも活躍するテレーザ・マドルーガ。そしてアウロラにはラウラ・ソヴェラル。ポルトガルが誇る実力派が出演している。
かつての恋人、ベントゥーラを探して
定年後の余生を過ごしているピラールは、隣人で短気でエキセントリックな80代の老女アウロラに悩まされている。しかし、あるとき病に倒れたアウロラは、自分がもう長くは生きられないことを悟り、消息不明になった恋人ベントゥーラに会いたいという願いを、ピラールとアフリカ出身のメイド、サンタに託す。
彼女の願いを叶えようと奔走するふたり。ついに、ベントゥーラが生きていることをつきとめるが、彼はもう昔のベントゥーラではなかった。それでも彼は、ポルトガル植民地戦争がはじまって間もない、50年前に起きたことをぽつりぽつりと話しはじめる。「アウロラはタブー山麓に農場をもっていた」。ベントゥーラとアウロラには、そのとき交わしたある約束があったのだ──。
1960年代を彩った名曲によって綴られる、コロニアル時代のアフリカ、そして熱き恋の物語。過去を懐かしむのではない、追憶が感動を呼ぶ名作が誕生した。
『熱波』
7月13日(土)よりシアター・イメージフォーラムで公開
監督・脚本・編集│ミゲル・ゴメス
出演│テレーザ・マドルーガ、ラウラ・ソヴェラル、アナ・モレイラ、エンリケ・エスピリト・サント
配給│エスパース・サロウ
2012年/ポルトガル・ドイツ・ブラジル・フランス合作/118分
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