MOVIE│北欧発のサイコスリラー『チャイルドコール 呼声』
MOVIE|子どもの悲鳴で恐怖と猜疑心にさいなまれていく女性を描く
北欧発のサイコスリラー『チャイルドコール 呼声』
母親が息子の安全のために購入した音声監視モニター、“チャイルドコール”。そこから聞こえてくるほかの子どもの悲鳴により、恐怖と猜疑心にさいなまれていくという戦慄のサイコホラー『チャイルドコール 呼声』。3月30日(土)から、ヒューマントラストシネマ渋谷ほかで全国順次ロードショーされる。
Text by YANAKA Tomomi
『ミレニアム』シリーズのノオミ・ラパスの最新作
人間心理の奥底をリアルな描写で表現することを説く意図する北欧映画。そんな北欧の国、ノルウェーから、届いたサイコスリラー『チャイルドコール 呼声』。
監督はデビュー作の『ジャンク・メール』(1997年)でカンヌ映画祭批評家週間最優秀賞を受賞し、謎の隣人姉妹に翻弄される男を描いた2005年のエロティックホラー『隣人 ネクスト ドア』での独特の映像と心理描写が話題となったポール・シュレットアウネが務める。
また、主人公のアナには世界的大ヒットとなった『ミレニアム』シリーズのノオミ・ラパス。2011年の『プロメテウス』でハリウッド進出も果たした彼女の最新作だ。
自身の過去におびえ、自身のなかに恐怖の世界を構築していくアナ
ノルウェー、オスロ。夫の暴力から逃れるため、アナと8歳の息子アンデシュは保護プログラムに従って郊外のアパートに引っ越してきた。しかし、それでもなお不安なアナは寝ている間も安全が確認できるようにと、「チャイルドコール」と呼ばれる監視用音声モニターを息子の寝室に設置した。
ある晩、突然の子どもの悲鳴に起こされ、寝室に行ってみると息子は何事もなく眠っていた。混線によりほかの部屋の音が聞こえることがあると知っていた彼女は、ほかの部屋で子どもが虐待の末に殺されたのではないかと疑う。
一方、ある日アンデシュは学校に父親がやってきたとアナに告白する。元夫の子どもへの虐待の記憶と隣人の子どもへの殺害のイメージが重なり、頭が混乱しはじめた彼女は親切にしてくれた電気屋の店員を頼るのだったが──。
自身を襲った境遇におびえ、耐え忍びながら自分自身のなかに恐怖の世界を構築していくアナ。そんな姿にわたしたちの共感や不安といった想像力が掻き立てられ、彼女の精神世界へと堕ちてゆくという「心」のスリラーをご堪能あれ。