特集|2013年国際映画祭速報|サンダンス映画祭
MOVIE|2013年サンダンス映画祭
各部門の受賞作品を最速レポート!
サンダンス映画祭(Sundance Film Festival)は、アメリカで最も盛り上がる映画祭のひとつで、インディペンデント作品が対象。今年は1月17日(木)より27日(日)まで、ユタ州のパークシティで開催された。アメリカ映画だけではなく世界の最新インディ作品も多数集結。今年の注目すべき受賞作品を、ここで一挙にお届けしよう。
Text by OPENERSPhotographs by Sundance Institute
アメリカ勢がダブル受賞の快挙
今年のコンペティションには、アメリカはもちろん世界各地から優秀な作品が集まった。U.Sドラマ部門には、事実に基づいた映画『Fruitvale』が審査員大賞と観客賞の両方を受賞、26歳の若手監督ということで注目を浴びた。そしてU.Sドキュメンタリー部門の『Blood Brother』も審査員大賞と観客賞同時受賞という快挙を成し遂げた。ワールド・シネマではエジプト、韓国、カンボジアなど各国よりさまざまな話題作が受賞した。
U.Sドラマ部門:審査員大賞 グランプリ
U.Sドラマ部門:観客賞
『Fruitvale』
製作国:アメリカ
監督:ライアン・クーグラー(Ryan Coogler)
26歳の新人監督、“あの事件”を題材に衝撃のデビュー!
ライアン・クーグラーは、米国全土を震憾させた事件を題材にすばらしい監督デビューを飾った。オスカー・グラントは22歳の黒人青年。カリフォルニア州オークランドのベイエリアに住み、友人を大切にする彼は、人当たりがいいことで有名だった。人並みに恐怖心もあったが、なにより勇敢で魅力的、そして周りの地域住民と同様に荒っぽさも持ち合わせていた。2009年の元旦、グラントはサンフランシスコとベイエリアをつなぐ「BART」の駅で、ケンカの通報を受けて駆けつけた鉄道警察官らに電車から引きずり降ろされ、地面に押さえつけられた状態で撃たれ、死亡した。すぐに抵抗を止めたにもかかわらず。事件の一部始終を通行人が携帯電話のビデオに収めており、それを見た地域住民は、グラントの代わりに怒りの叫び声を上げたのだ――。
U.Sドキュメンタリー部門:審査員大賞 グランプリ
U.Sドキュメンタリー部門:観客賞
『Blood Brother』
製作国:アメリカ
監督:スティーヴ・フーヴ(Steve Hoover)
ひとりの青年の愛と勇気が支える生きる力
アメリカの生活に満足できず、ロッキー・アンナは自分の人生を再スタートしたかった。そして、彼はアメリカからインドまで引っ越した。インドにある孤児院でHIVに感染した子供たちに身を捧げることを決心したのだ。彼の陽気な性格と強い意志は病気の子供たちにとっての支えであり、あらゆる困難にも打ち克つはずである。
ワールド・シネマ ドキュメンタリー部門:審査員大賞 グランプリ
『A River Changes Course』
製作国:コロンビア
監督:カリアニー・マン(Kalyanee Mam)
急速な経済成長が残した“傷跡”
これが監督デビューとなるカリアニー・マンは、アカデミー賞を受賞したドキュメンタリー『インサイド・ジョブ 世界不況の知られざる真実(原題:Inside Job)』(2010年)で撮影監督を務めていた女性だ。本作で彼女は、急速な経済成長が母国カンボジアにもたらした“傷跡”を追う。かつてジャングルや川の恵みを享受していた村人たちは、自分たちの森が伐採され、土地が不足して値段が高騰し、魚の数が急激に少なくなっていくのを、ただ見ていることしかできなかった。家族を養えなくなり、多大な借金を背負うことになった彼ら。もはや住み慣れた村を離れ、プノンペンにある工場で職探しをするという選択肢しか残されていないのだった。
ワールド・シネマ ドキュメンタリー部門:観客賞
『The Square』
製作国:エジプト / アメリカ
監督:Jehane Noujaim(ジェヘイン・ヌジェーム)
ベスト・オブ・ネクスト:観客賞
『This is Martin Bonner』
製作国:アメリカ
監督: Chad Hartigan(チャド・ハーティガン)
ワールド・シネマ ドラマ部門:審査員大賞 グランプリ
『Jisuel』
製作国:韓国
監督:Muel O(ミョル・オ)