MOVIE|シネマの現在と未来を探るドキュメンタリー『サイド・バイ・サイド:フィルムからデジタルシネマへ』
MOVIE│キアヌ・リーブスによるシネマの現在と未来を探るドキュメンタリー
『サイド・バイ・サイド:フィルムからデジタルシネマへ』
キアヌ・リーブスが企画製作し、ナビゲーターを務めるドキュメンタリー『サイド・バイ・サイド:フィルムからデジタルシネマへ』が、12月22日(土)から新宿武蔵野館、渋谷アップリンクで公開される。著名監督がキアヌの質問に答え、そこから導かれる映画の現在、そして未来とは──。
Text by YANAKA Tomomi
著名な映画監督らが語るフィルムの魅力、デジタルの魅力
およそ100年間の映画史において、唯一の記録フォーマットだったフィルム。しかし、20年前からのデジタルシネマの台頭により、いまやフィルム作品は消えつつあるのが現状だ。『サイド・バイ・サイド:フィルムからデジタルシネマへ』は、デジタルとアナログが肩を並べる現在を俯瞰しながら、映画におけるデジタル革命を検証してゆく。
劇中では、キアヌ・リーブスの呼びかけにより著名な映画監督がぞくぞくと登場。CGを使った『タイタニック』などが大成功を収めたジェームズ・キャメロンは「想像したことを実現するために、フィルムではできなかったことをすべて試したかった。デジタルの登場で可能性の扉が開いたように感じた」と語る。
いっぽう、『インセプション』や『ダークナイト』を監督したクリストファー・ノーランは「デジタルメディアによって可能なことは一見、魅力的だが中身がない。クッキーにたとえると、焼きたてはやわらかくてとてもおいしい。でも数カ月たってみるとひどい味で食べられたものじゃない」とフィルムの良さを説く。
このほかにもマーティン・スコセッシやジョージ・ルーカス、デヴィッド・フィンチャー、デヴィッド・リンチらハリウッドの錚そうたる映画監督や現像所、カメラメーカーの社員らが質問に答えてゆく。
独特の味わいでいまなお愛され続けるフィルム映像と、進化をつづけるとともに、映画撮影への敷居を低くすることに成功したデジタル映像。映画産業が大きな岐路に立ついま、本作は「デジタルシネマ」の未来についてだけではなく、モノクロからカラーへ、サイレントからトーキーへと技術とともに変化しつづける“シネマの未来”が描かれている。