『オデッセイ』SFミュージュックコメディという試み|MOVIE
MOVIE | サバイバルを明るく前向きに切り抜ける方法
巨匠と名優の初タッグは、異色のSFコメディ作品
『エイリアン』『ブレードランナー』の巨匠リドリー・スコット監督×『ボーン』シリーズのマット・デイモンが初のタッグを組んだ異色のSF作品が、スカラ座ほか全国でロードショー公開されている。
Text by HORIO Yuuki
絶望的状況に独りぼっち、それでも明るく力強いマット・デイモンに注目
第73回のゴールデン・グローブ賞が2016年1月10日(現地時間)に発表された。ミュージカル・コメディ部門で作品賞と主演男優賞(マット・ディモン)を受賞したのが『オデッセイ(原題:The Martian)』だ。原作は、当時無名の作家であったアンディー・ウィアーのネット小説『火星の人』。ハリウッドのプロデューサーからNASAの科学者までも虜にしたという作品は、ノンフィクションのようなリアリティーとスリルに満ち溢れていながらとても楽しい。
物語の舞台は、地球から2億2530万キロ離れた火星。ストーリーは、火星探査ミッションの6名のクルーのうちのひとり、マーク・ワトニー(マット・デイモン)が火星の嵐に吹き飛ばされ、必死の捜索にもかかわらず発見されず、ひとり取り残されてしまったところから始まる。
奇跡的に生き残ったワトニーは、ハブ(人口居住施設)で植物学者としての知識を生かして水、酸素、食料を作り出していく。ただただ孤独なサバイバルにメリッサ・ルイス船長(ジェシカ・チャスティン)が残していったミスマッチなディスコミュージュックが、彼の気持ちをつなぎとめる。酸素無し、水無しといった絶望的な状況を、ひとつずつ乗り越えていくさまが映像は、明るく重さを感じさせない。巨匠リドリー・スコット監督は、78歳と思えないぐらい、映像的にもストーリー的にも新しい作品を作り上げていると言える。
リアリティーだけでなく、遠く離れたNASA(アメリカ航空宇宙局)にいるメンバーと協力して、どのようにこの状況から脱出するかも見所のひとつとなっている。ぜひ劇場で、マーク・ワトニーともにサバイバルを楽しく切り抜けていく高揚感を体験してほしい。
『オデッセイ』
監督 | リドリー・スコット
出演 | マット・ディモン、ジェシカ・チャスティン、ジェフ・ダニエルズ、ショーン・ビーン、クリスティン・ウィグ、マイケル・ペーニャ、セバスチャン・スタン、ケイト・マーラ、アクセル・ヘニー、キウェル・イジョフォー
配給 | 20世紀FOX
2015年/アメリカ/原題『The Martian』
http://www.foxmovies-jp.com/odyssey/
© 2015 Twentieth Century Fox Film