銘酒・満寿泉が手掛ける「リンク8」の食中酒としての魅力を、地元富山の美食巡りのなかで堪能|FEATURE
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2023年5月29日

銘酒・満寿泉が手掛ける「リンク8」の食中酒としての魅力を、地元富山の美食巡りのなかで堪能|FEATURE

FEATURE|満寿泉

日本酒をウイスキー樽で漬け込む“熟成の架け橋”。その素晴らしさを、富山の美食の数々とともに!

「満寿泉(ますいずみ)」の蔵元として知られる、1893(明治26)年創業の桝田酒造店が、またすごいお酒を造っちゃいました(販売元はペルノ・リーカル・ジャパン)。その名は「リンク8」。日本酒好きの人ならすでに耳にしているかもしれませんね。2022年11月に発売された、シーバスリーガルの樽で熟成し、ブレンドした革新的な日本酒です。今回、この「リンク8」をとことん味わうべく、桝田酒造店のある富山・岩瀬地区に足を運んでみたのですが、これが想像を超える美食パラダイスでして。少し鼻息荒く、ご紹介させていただくとしましょう。

Text by HASEGAWA Aya

桝田酒造店は、「美味しいものを知らなければ美味しい酒は造れない」という美味求真をモットーに創業した富山県の蔵元。食材の宝庫である富山で、豊かな食材と調和し引き立てる「満寿泉(ますいずみ)」を中心に展開しています。
江戸時代から北前船の港町として栄えた富山市岩瀬地区。今も往時をしのばせる建物が数多く現存しており、2018年には日本遺産に登録されました。
その桝田酒造店が位置する岩瀬地区は北前船の港町として栄えた場所。桝田酒造店は同地区の再生事業にも積極的で、五代目当主にあたる桝田隆一郎さんは、「このあたりに空き物件が出ると、つい購入してしまうんです」と豪快に笑います。……かっこいいなあ。
桝田さんは、購入した古い家屋や蔵などをリノベーションし、飲食店やショップ、ギャラリーなどに再生。岩瀬エリアに店を構えている人たちの多くは、隆一郎さんに声をかけられて移住を決めたのだとか。そして現在、同エリアには『ミシュランガイド北陸』に掲載されている飲食店が6軒も存在しているのです。
で、今回フィーチャーする「リンク8」ですが、その隆一郎さんと、「シーバスリーガル」の元マスターブレンダーのコリン・スコットさんが、2018年に、スコットランド・キースのストラスアイラ蒸留所で出会ったことに端を発します。
「シーバスリーガル」のDNAとして受け継がれる“アート・オブ・ブレンディング(ブレンディングの芸術)”を日本酒造りに取り入れ、複雑で洗練された日本酒を造るという、独創的な発想から誕生した日本酒がこの「リンク8」というわけです。
「リンク8」は、数種類の酒米と数種類の酵母で作った原酒を、スコットランドから送られてきた数種類のシーバスリーガルの樽で熟成し、最後にブレンドするという製法で造られています。……なんだかすごそうですが、飲んでみないことには、味の想像がつきませんよね⁉ 
──というわけで、早速試してみることに(笑)。なるほどウイスキーの樽香が感じられ、それでいて飲み口はすっきりしています。ヘーゼルナッツやバニラを思わせる風味も漂います。アテがなくても単体でもいただけそうですが、料理との相性も良さそう~。
ボトルのデザインもエレガントです。ボトル中央を飾る「8」のデザインは、日本の禅庭の波とスコットランドの古い装飾のケルティックノットを象徴したもので、日本とスコットランドのつながりを表現しているのだとか。また4つの「8」の重なりは、「シーバスリーガル」のストラスアイラ蒸留所があるスコットランドのキースと、桝田酒造店のある富山市との距離「8,888km」を表しているんですって。
「くちいわ」。古民家をリノベーションした建物で、そばと日本酒が楽しめます。早く再訪ぜねば!
ぜひ食事に合わせて、「リンク8」のポテンシャルを試してみたいと思っていたところ、隆一郎さんは、蕎麦と日本酒のペアリングが楽しめる「くちいわ」に案内してくれました。こちらでいただいたのは、「リンク8」で打った蕎麦(なんたる贅沢!)と、自家製のからすみ。最高すぎます! 合わないわけがないじゃないですか(笑)。
店主の口岩倫彦さんは、蕎麦好きが満足する蕎麦屋であることを大切にしているそう。主役はあくまでも蕎麦、そして、日本酒です。今回は試飲&試食での立ち寄りでしたが、今度はゆっくり腰を落ち着けて伺いたい。うーん、いつ再訪しよう⁉ 
築100年の米蔵をリノベーションした空間でクラフトビールが楽しめる、「KOBO Brew Pub(コボ ブリューパブ)」も外せません。ビールはもちろん、「富山和牛ジャーキーTOYAMA WAGYU JERKY」も記憶に残る美味しさです(買っておけば良かった(笑))。
桝田酒造店が手がける、日本酒立ち飲みバー「沙石(させき)」は酒好きなら丸1日、入り浸りたい場所。いや、住みたいです(笑)! 冷蔵庫には約100種類の日本酒が並び、「満寿泉」だけでも複数の種類がラインナップしています。料金システムは、220円で試飲用木枡を購入し、30分2,000円で飲み放題、もしくは、1杯ごとに200~500円の料金を払うかたち。まあ飲めば飲むほど、お得だってことです。一枚板のヒノキの大カウンターもかっこよく、まさしく酒呑みの天国。いや、そもそも岩瀬地区自体が天国なのかも。
今回、紹介した店はすべて徒歩圏内。ほかにも富山県出身の陶芸家、釋永岳さんの工藝ブランド「GAKU ceramics」のギャラリーや、ガラス作家である安田泰三さんのギャラリー「Taizo Glass Gallery」、この地に古くから伝わる「飛び団子」「三角どら焼き」を販売する店、イタリア料理店、鮨店、定食屋、カフェなど、魅惑的なスポットだらけです。
「御料理 ふじ居」。2011年、五福地区でオープンし、2019年8月、現在の岩瀬地区に移転しました。「御料理 ふじ居」の通常コースは、昼・夜のいずれも2万7500円(税込、サービス料別)。料金は料理の内容によって変動します。
さて、そろそろこの日のメインイベントに話を移しましょう。今回の旅のハイライトは、『ミシュランガイド北陸2021』で2つ星に輝く「御料理 ふじ居」の料理を、「リンク8」とのペアリングでいただくこと。地元富山を愛してやまないと公言する、「御料理 ふじ居」の大将の藤井寛徳さんは、2019年8月に岩瀬の店舗に移転。現在は、かつて廻船問屋で栄えた豪商の屋敷をリノベーションした店舗で腕を振るっています。
富山の海の幸、山の幸をふんだんに使った料理の美しさ、美味しさはすでに多くの人が知るところですが、いやあ噂以上! お財布と時間が許せば、季節ごとに訪れたいです……! そして、「リンク8」さん(いきなり敬称付き)、食中酒としても大活躍でした。
筆者が訪れたのは3月。春の息吹を感じる食材に心が躍りました。八寸をはじめ、プレゼンテーションも春爛漫です。ひとつの食材を、食べ比べさせてくれるエンターテインメント性の高さもすばらしかった! 
例えば、お造りは、富山湾であがったメジマグロを部位違いで味わうという趣向。富山の宝石・ほたるいかは、沖漬け、炭火焼き(焼き加減違いで楽しむという粋な計らいあり!)、釜揚げと、さまざまなスタイルで提供、締めの土鍋ご飯にも登場しました。
富山湾で獲れた本ずわい蟹は、「蟹出汁のしゃぶしゃぶ」と「蟹身のカニ味噌がけ」で。そして、どれもこれもが主役級の料理すべてに寄り添う「リンク8」の懐の深さよ……! 熟成香のある、かなり個性的なお酒なのに、正直、意外でした。
7席のカウンターでは、日本海の荒波をイメージして作ったお庭を眺めながら美食三昧できます!
そして、食事を通して「リンク8」で攻めるという贅沢三昧の果てに実感したのは、温度の変化が楽しめるお酒でもある、ということです。個人的には冷えた状態でいただくのが好みですが、少し温度があがってもまろやかさを増し、美味しくいただけます。
……余談ですが、この日、食中に供されたのは満寿泉の仕込み水でした。あまりの口福に、罰が当たるんじゃないかと本気で心配になりました。
なお、富山駅から東岩瀬までは路面電車を使って約20分でアクセスできます。岩瀬地区への美酒美食旅、早いうちに慣行しなくては! ……でも、気になる店が多すぎて、1週間くらい時間が必要かもしれません。
 
最後に番外編を。岩瀬地区での取材が終わった翌日、プライベートで、富山市内の「鮨し人(すしじん)」を訪れました。独学で鮨を勉強したという店主・木村泉美さんが営む人気店で、「ミシュランガイド北陸2021 特別版」で一つ星に輝いています。
こちらも富山の食材にとことんこだわっていて、お米はもちろん富山産。ネタは、一部を除き、富山湾や七尾湾で水揚げされたものを中心に取り揃えています。さらに、「満寿泉」のペアリングが楽しめるという噂を聞きつけ、いてもたってもいられず(笑)予約を入れました。
結論から申しますと、噂に違わぬ名店です。美味しいのは言わずもがな、楽しいんですよ。店主の富山愛もひしひしと感じます。魚はもちろんのこと、富山の湧き水と梅酢餡だけで作った「梅茶碗蒸し」でノックアウトされた筆者(笑)。これが満寿泉の純米酒と良く合うのです! もちろん「リンク8」も堪能しました。
富山の美食&美酒シーン、このところ盛り上がっていますよ~!
リンク8(リンクエイト)
容量|750ml
品目|清酒
アルコール度数|16度
参考小売価格|1万3200円(税込)
製造|桝田酒造店
販売|ペルノ・リカール・ジャパン
問い合わせ先

ペルノ・リカール・ジャパン
Tel.03-5802-2756

                      
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