特集|世界のコンラッドを巡る旅 Vol. 2「コンラッド バリ」
特集|世界のコンラッドを巡る旅
Vol. 2「コンラッド バリ」
神々の島のラグジュアリーホテル
インド洋に浮かぶ小さな島、バリ島。東西約5100km、大小計1万3000以上もの島々からなる約2億4000万人という世界第4の人口を持つインドネシアの、ほぼ真んなかに位置する南国のリゾートである。イスラム教徒が約9割のインドネシアにおいて、ヒンズー教徒がそのほとんどを占めるという、インドネシアのなかでも特殊な文化や習慣を持っている。人びとはこのバリを、神々の島と呼ぶ。
Text by SAKURAI Kenichi
南国のインターナショナルリゾート、バリ
日本でいえば、ちょうと愛媛県と同じぐらいの面積だというバリ島。かつては同国インドネシアの首都ジャカルタ経由でのアクセスが一般的だったが、今では日本からバリに訪れる際は直行便がこのうえなく便利である。成田からはその直行便で約7時間、時差は1時間しかないので飛行機での物理的な移動時間はともかく、ジェットラグによる体の負担は最小限ですむ。
赤道直下にほぼ位置するインドネシアのなかでも、バリ島は南半球に位置するので、日本とは季節が反対になるが、南緯8度22分、東経115度8分という赤道に近いバリの年間平均気温は28度ぐらい、まさに常夏の島という表現がマッチする。4月から9月は乾期で、湿度も低くカラリとしていて日本の夏よりも過ごしやすいが、昼間と夜とでは寒暖の差もあるので服装には注意が必要だ。
インドネシアの多くは熱帯性モンスーンに分類できるものの、バリ島はどちらかといえばサバナ気候で、そのため雨季と乾季が比較的はっきりと分かれている。これからの(日本の冬場)シーズンは雨期に入るのだが、雨季といっても夕方のスコールがメインで、一日中雨が降っているということはほとんどない。そう、ちょうど日本の夏のような気候をイメージすればいい。日本が真冬の寒さを迎えても、ここはやはりイメージどおり常夏なのである。
参考までにバリ島を訪れる観光客で一番多いのは、国別でオーストラリア、中国、次いで日本、マレーシアという順。実に国際色が豊かで、実際に訪れてわかるのはさまざまな国の言語が飛び交っているということ。メジャーなスポットやショップやレストランでは、英語はもちろんのこと日本語が通じる場所も少なくはないと感じるはずだ。こうした外国人観光客の多さも、神秘の島バリをさらにエキゾチックな雰囲気にしている要因といえそうだ。
島の北側には標高3000メートル級のアグン山やバトゥカウ山を望み、ふもとには自然豊かなキンタマーニ高原も有する。南国のリゾートと聞けば、ビーチばかりを想像するが、山々が織りなす風景も心を癒やしてくれる。暑いビーチを離れ、日中は高原に涼を求めに行くのもいいだろう。そのバリ島中部にあるバトゥカウ山ふもとには、世界遺産にもなっているライステラス(棚田)が広がり、訪れた人びとを魅了しているのである。
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Vol. 2「コンラッド バリ」
神々の島のラグジュアリーホテル (2)
5ッ星のラグジュアリーホテル
今回の旅は、寒さが本番を迎えた東京を離れ、南国でリラックスするのが第一の目的。南国のリゾートということでマリンスポーツを中心としたアクティビティを想像しがちだが、買ったままになっていた本を数冊とカメラ、PCだけを持ち、とりあえずはノープランで日本を発った。もちろん、伝統的なバリダンスや寺院、遺跡鑑賞も悪くないが、なにもしないというのも一興だ。ビーチでのんびりし、癒やしの島ならではのスパや、地元の食材を使った食事を楽しむのもいい。
バリでは、ダイビングやビーチでのアクティビティ、ゴルフといったスポーツのほかに、豊かな自然を楽しむトレッキングやラフティング、ゾウの背中に乗って触れあうことのできるエレファントサファリ、歴史ある寺院や芸術家達が集まるウブドでのギャラリー巡りや市場でのショッピングなどが人気である。また、絵に描いたようなビーチで結婚式を挙げるために、世界中からカップルが訪れるというのにも納得だ。確かに、青い海と空、白い砂浜を背景に行う結婚式は、かなりロマンチックだろう。
今回、宿泊先に選んだコンラッド バリは、世界中でラグジュアリーホテルを展開するコンラッド初のリゾートホテルである。一日の始まりを知らせる朝日が昇る東側に350メートルに渡りビーチを望む絶好のロケーションとモダンでありながらシックな佇まいを持つ建物、バリ最大といわれるラグーンプールや33メートルのメインプール、緑に囲まれた6.8エーカーものプライベートガーデン、特徴的なメニューを持つレストランやスパでは、コンラッドならではのクオリティの高いサービスが期待できる。ユニークなデザインを持つ海辺のウエディングチャペル、インフィニティも、きっと忘れ得ない一生の思い出を作ってくれるはずである。
ちなみに2004年のオープン以来、コンラッド バリはエクスペディア インサイダー セレクト 2010 アジアトップホテル アワードをはじめとする数々の賞に輝き、建物のノースウイングにあるジワ スパも、スパファインダー主催のバリで好きなスパ2010 リーダーズチョイス賞を受賞している。なにかの賞を得ているから良いホテルだと短絡的に紹介するつもりはないが、多くの人に認められたという事実は、そのクオリティを雄弁に物語る。
リゾートでの滞在を目一杯楽しみ、充実した時間を過ごすためには、宿泊先選びがなによりも重要になるのはご存知のとおりである。その点、コンラッド バリは、ラグジュアリーなリゾートスタイルを求めるゲストのパーソナルニーズにも確実に応えてくれるはずだ。
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神々の島のラグジュアリーホテル (3)
観光客を魅了するバンコクの文化遺産
2013年9月、APEC閣僚会議に合わせ、わずか13カ月の工事期間で開通した海上の高速道路ジャラン・トル・バリ・マンデラによって、バリの玄関口であるングラライ空港からこれまでの半分以下の時間でアクセスできようになったブノア半島。そのブノア半島が始まるヌサドゥア海岸沿いの南側、タンジュンブノア地区にコンラッドバリは位置している。
先に紹介した東側に180度のオーシャンビューを持つ敷地に、大きく分けて4つの宿泊棟があり、ゲストルームは実に353を数える。ゲストルームは最低でも45平方メートルの面積を確保し、そのうち53室はコンラッド スイートと呼ばれる110平方メートル以上の面積を持つスイートルームになっている。室内は全館禁煙になっているが、バルコニーで喫煙できるので、スモーカーも快適に過ごせるはずだ。
コンラッド スイートは、コンラッド スイート専用の建物と専用のプールを備えている。コンラッド バリのメインエントランスからは距離もあるが、コンラッド スイート専用に別途エントランスも備えているので外からのアクセスに不満は一切ない。また、コンラッド スイートのゲストは専用ラウンジへのアクセスが可能で、ここではアフタヌーンティーやイブニングカクテルが無料で楽しめるほか、ラウンジ下1階にあるレストラン「凛(RIN)」での朝食も無料。こちらはコンラッド スイートのゲスト専用となる。
さらに、滞在中のランドリーサービスはすべて無料で、ゲストルーム内でのインターネット接続もすべて無料になる。実はこのランドリーサービスには、滞在中2度に渡ってお世話になった。さすが南国とあって、日中何度も着替えたくなるから、必然的に持ち合わせのシャツだけでは足りなくなる。しかし、気軽にランドリーサービスに出せることから、最小限の着替えしか持って行かなかったにもかかわらず、滞在中、着るものに困ることなく、快適に過ごせた。午前中に出せば夕方には仕上がってくるというスピードがかなりありがたかったことを付け加えておきたい。
館内のレストラン、ビジネスセンター、スパの利用は15%オフに。一流のサービスをリーズナブルに受けることができるというわけだ。ちなみにコンラッド スイートのラウンジと「凛」は、12歳以下のゲストが利用できないようになっているので、ここは、まさに大人だけのエクスクルーシブな空間であるともいえるのだ。
110平方メートル以上の広さを持つスイートルームは、キッチンやダイニングテーブルもあるゆとりあるスペースが魅力。家具はモダンなデザインだが、調度品や壁に掛かるアートはバリニーズと呼ばれるバリスタイルで統一され、落ち着いた雰囲気がリラックスを誘う。バスルームはバスタブとシャワーブースが各々独立したタイプ。ドレッサーも広い専用スペースが確保されているので、女性にはありがたいはずだ。広いバルコニーには大きめのカウチソファがあった。ここで、日がな一日海を眺めながら読書をするのも悪くなさそうだ。
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神々の島のラグジュアリーホテル (4)
滞在型ラグジュアリーリゾートホテルを楽しむ
朝食時にコンラッド スイートのゲスト専用となるレストラン「凛(RIN)」で早めの朝食を済ませ、コンシェルジュになにか館内で手軽に楽しめるスポーツ以外のアクティビティはないかと尋ねると、地元の素材を使用したクッキングクラスと呼ばれるワークショップがあると紹介された。専用のシェフに教わりながら自身で作った料理は、そのままランチになるので一石二鳥だ。
早速クッキングクラスの申し込みを済ませ、時間までラグーンプールの回りを散策する。ラグーンと呼ばれるだけあって、その距離は相当なものだ。部屋によってはこのラグーンプールに直接アクセスできるバルコニーを備えたタイプもある。プールで遊ぶことが目的ならば、ベストなゲストルームだろう。
コンラッド スイートが入る建物の近くには、海辺のウエディングチャペル、インフィニティがあった。エントランスまでは水がたたえられ、ラグジュアリーなムードが漂っている。その手前のプライベートガーデンでは、パーティーの準備もはじまっている。今日、ここで挙式を挙げるカップルがいるのだろう。そのことを想像するだけで、微笑ましくなってくる。グリーンのなかにホワイトのテーブルクロスが映えていた。
クッキングクラスのメニューは、地元の野菜とエビを使ったワンプレート。青空の下、プールを望むメインガーデンの一角が特製の専用キッチンだった。恥ずかしながら料理は苦手だと伝えてあったので、簡単なメニューをシェフが選んでくれたようだ。色とりどりの野菜は、さすが南国といった印象。ビギナーにも分かりやすい指導のもと、ほどなくランチは完成。色合いを考慮して盛りつける。ランチにはちょうど良いポーションだった。
一息ついた午後遅めに、ジワ スパに向かった。これも朝、コンシェルジュにリクエストして予約したものだ。なにもするつもりがなくバリに来たが、いろいろと楽しみたくなるのはしかたない。ジワとはインドネシア語で魂や精神という意味なのだと教えられた。ここは独立した17のトリートメントルームからなり、カップルで施術を受けられる建物もある。
ラグジュアリーなアロマオイルを利用した全身マッサージや、海のミネラル分を豊富に含んだ泥を使ったパック、フラワーバス、ストーンマッサージなどメニューは豊富だ。何日か滞在するのであれば、毎回違ったメニューを試すのもいいだろう。スパにはプールやジャグジー、サウナもあり、リラックスできること請け合いである。今回は60分のアロマオイル全身マッサージコースで身も心も癒やされ、夢心地で部屋に戻ることができた。
ディナーはメインロビーの1階にあるレストラン、SUKU(スク)でバリとインドネシア料理を楽しむことにした。バッフェ方式なので、サーブするスタッフに料理の内容を聞きながら選ぶことができるのため、辛いものが苦手な人でも安心だ。屋外ではポークのバーベキューもあり、目でも楽しめる。少しすると、プールを後ろに、ケチャダンスが始まった。こうしたバリ伝統のエンターテイメントを楽しみながら食事ができるのもSUKUの醍醐味である。
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神々の島のラグジュアリーホテル (5)
オプショナルツアーの相談をコンシェルジュに
食事やスパ、プールで滞在型のリゾートライフを満喫したが、せっかくなのでバリらしい風景を求めてみることにした。といっても特に根拠や希望があるわけではないので、コンシェルジュに相談する。提案されたのは、ウブドの観光と市場のショッピング、チョコレート工場の見学というものだった。もちろん、日本語のガイドと送迎が付く。チョコレート工場はカカオの取れる高原にあるが、ウブドをゆっくり散策し、世界遺産にもなっているライステラス(棚田)を回っていっても十分余裕のあるプログラムになるという。
あらかじめ旅行会社の用意するオプショナルツアーにのるのもいいが、いろいろなリクエストを考慮し、効率的にポイントを抑えた提案をしてくれるのは、ラグジュアリーホテルのコンシェルジュならでは。積極的に利用するのが賢いゲストというものである。
ホテルを出発し、ウブドをひとまわり。市場では新鮮な野菜からフルーツ、お土産物まで何でも揃う。実は市場は朝5時からオープンしており、地元の台所として食材はもちろん、お供え用の花などを求める地元の人で早朝から賑わっているのだという。これが昼になると、一部は木彫りの像や絵画などもならぶアートなスペースに。基本的に値段が書いていないので値段交渉が必要だ。これもバリでの楽しみのひとつだろう。
年に数回も米が収穫できるバリのなかでも、ライステラスは必見。素晴らしい眺めを堪能した後に、ウブドに戻りランチ。午後はウブドからクルマで30分程度走り、待望のPODのチョコレート工場に向かった。チョコレート工場といっても、オートメーション化された我々日本人が想像するそれとは異なる、そこはいわゆる工房のような規模である。
標高の高い高原に工場があるのは、かつてこの地で天然のカカオが豊富に取れたからだという。現在はすべて有機栽培によるカカオを使用し、バナナの皮を使用するという昔ながらの手法で発酵、天日による乾燥をおこなっている。これを原料としたチョコレートの手作り体験を行い、そのチョコレートが固まる間の待ち時間は、敷地内で飼われているゾウの背中に乗るエレファントトレッキングも楽しめる。
手作りチョコレートをお土産にホテルに戻り、地中海料理レストラン、エイトディグリーズで夜の海のさざ波を聞きながらディナーを楽しむと、帰国のフライトにちょうど良い時間になった。日本便には深夜0時過ぎに出発するナイトフライトがあるので、帰国日の日中がフルに使えるのもバリ滞在のメリットである。空港でチェックインを済ませ出発ゲートに向かう途中、免税店にあのPODのチョコレートが売ってあるのを発見。バリを代表するプレミアムチョコレートでありながら、どこか親しみを感じずにはいられなかった。
CONRAD BALI
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