特集|世界のコンラッドを巡る旅 Vol. 1「コンラッド バンコク」
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2015年1月20日

特集|世界のコンラッドを巡る旅 Vol. 1「コンラッド バンコク」

特集 |世界のコンラッドを巡る旅

Vol. 1「コンラッド バンコク」

東南アジアきっての都会派ラグジュアリーホテルを楽しむ

実に570万人以上の人口を抱える、タイの首都バンコク。東南アジアのハブ都市として著しい成長を遂げるバンコクが、今回の旅の目的地である。タイを発展させた王宮や寺院といった歴史ある建造物と、発展めざましい街を象徴するような高層ビル群。ここは東南アジア随一の歴史と文化、そして先進的な今が混在するエキゾチックな国際都市なのである。

Text by SAKURAI Kenichi

バンコクの中心でありなら喧噪とは無縁の上質な空間

タイ語での正式名称は、「クルンテープ マハーナコーン ボーウォーン ラタナーコーシン マヒンタラアユタヤー マハーディロッカポップ ノッパラッタナー ラーチャターニー ブリーロム ウドム ラーチャニウェート マハーサターン アモーンピマーン アワターンサティット サッカティッティヤ ウィサヌカムプラシット」。

覚えておいて損はないが、とても覚えられそうにもないのがタイの首都バンコクの正式名称である。ついでにいえば、そのバンコクという名前も正式なものではなくいわゆる外国人が使用する通称名。タイでは上記を略して「クルンテープ」と呼ぶのが正しい。

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CONRAD BANGKOK|コンラッド バンコク

直行便で約5時間、微笑みの国タイの玄関口であるスワンナプーム国際空港に降り立つと、乾燥した冷たい空気が肌に刺すような冬の日本とは違い、まずはしっとりした空気と暑さが心地よい。年間を通して平均気温は20度以上。最高気温はこちらも平均すると30度を超えるというその気候は、日本の夏と変わらないといっていいかもしれない。9月から10月は熱帯地方特有の雨期に入るが、そのほかのシーズンは東京よりも降水量が少なく、寒暖の差が少ない分ひょっとしたら過ごしやすいかもしれない。

すでに宿泊時にリクエストした送迎のクルマで走ること30分ほど。見えて来たバンコク市街は、高層ビルが林立し、国際的なハブ都市として成長著しいバンコクのイメージが間違っていなかったことを印象づける。街にはクルマと人が溢れている。そんな活気は香港や上海にも通じるのだが、意外にもクルマの運転マナーは良く、多少ましになったとはいえ、今なお混沌とした道路状況から抜けきらない中国の街とは確実に異なっている。

CONRAD BANGKOK|コンラッド バンコク

そうした中心部の風景だけを見れば、ここが確かに東南アジアを代表する先進的な国際都市であることをイメージするが、街から離れた路地に一歩入ると、我々日本人にもどこか懐かしい既視感のあるアジアの風景が残る。古い街並みや素朴な看板、屋台やそこに暮らす人々など、ここにはどこかゆったりとした時間が流れているようにすら感じる。

いっぽう夜にはきらびやかなネオンが輝き、美しく着飾った若者が繰り出し、アジアの繁華街を象徴するような喧噪をあちこちで垣間見ることが出来るのだという。ナイトマーケットや日本人の舌に合う屋台のラーメン店も人気だとか。国際ビジネス都市の顔と、エネルギッシュで華やかなアジアの顔。そうしたオンとオフのギャップがバンコクのリピーターを増やしている理由のひとつでもあると、バンコク通の知人カメラマンが、かつて語っていたのを思い出す。

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東南アジアきっての都会派ラグジュアリーホテルを楽しむ (2)

観光客を魅了するバンコクの文化遺産

今回の宿泊先は、バンコクの中心地にあるコンラッド バンコク。ここは、2013年のワールド ラグジュアリーホテル アワードで、タイ最高級のラグジュアリーシティホテルとして認められたホテルでもある。各国の大使館が並ぶ街のほぼ中心に位置し、その一角はオールシーズンプレイスと呼ばれる街のランドマーク的な役割も果たすオフィスや高級コンドミニアム、ショッピングセンターなどの複合施設になっている。

空港からの移動でコンラッド バンコクが用意するクルマは、BMW7シリーズのロングホイールベースモデル。出迎えてくれたショーファーの態度や清潔な服装、そしてこのクルマだけでも、ホテルのクラス感が分かろうというものだが、到着後エントランスから足を踏み入れた3階まで吹き抜けになった広く落ち着いた格調高い雰囲気のロビーを目にすると、そうした印象が正しかったことを理解させる。

CONRAD BANGKOK|コンラッド バンコク

CONRAD BANGKOK|コンラッド バンコク

391室のゲストルームはすべてが41平方メートル以上で、24階以上の上層階にはエグゼクティブルームのほか、バルコニーを完備したスイートルームや広さ114平方メートルを誇るデラックススイートルームも用意。そのどの部屋も、ウッドとタイ原産のシルクが用いられた落ち着いた雰囲気に統一されている。バーコーナーのほか、ソファとは別に部屋には重厚なウッドデスクが置かれ、高速インターネットのデータポートも完備。観光目的のゲストだけでなく、ビジネスユースにも向いているのは、はやりここが国際都市バンコクの中心に位置するからなのだろう。

バスルームは、広く開放感があって清潔感が溢れている。窓辺にはバスタブもあり、街の夜景を眺めながら、ゆっくりと一日の疲れを癒やせそうだ。こうした洗練された都会的な設備を持っているものの、壁に飾られたアートがタイの気分をどこか盛り上げてくれるのは、画一的なモダンデザインを押しつけないコンラッドの特筆すべきおもてなしの心遣いに違いない。

CONRAD BANGKOK|コンラッド バンコク

エグゼクティブルーム以上に宿泊するゲストは、29階にあるエグゼクティブラウンジを無料で利用可能だ。こちらでチェックイン/チェックアウトができるほか、朝食サービスやアフタヌーンティー、イブニングカクテルを楽しめる。フロアがオープンしている間は、いつでもドリンクサービスが提供されるので、ちょっとした空き時間や、観光やショッピングの後で一息入れたい時などは実にありがたい。さらにツアーやレストランの予約を行ってくれるコンシェルジュサービスもあり、慣れない海外では、実に心強い存在である。

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東南アジアきっての都会派ラグジュアリーホテルを楽しむ (3)

観光客を魅了するバンコクの文化遺産

今回ははじめてのバンコクということもあり、このコンシェルジュサービスを利用し、プラナコーン区にある「バンコク王宮(プラボロンマハラチャワン)」と「エメラルド寺院(ワット・プラ・ケオ)」、そしてタイシルクを世界に広めたアメリカ人ジム・トンプソンが暮らしたタイ様式の家がそのまま博物館化された「ジム・トンプソンハウス」を、滞在2日目の観光ツアーとしてコーディネートしてもらった。

約20万平方メートルの敷地にある王宮は、タイ国内の建物の中で、もっとも権威あるもの。現在も重要な国家的祭典に使用されている。西洋のルネッサンス様式と、タイ様式の融合は、見る者を圧倒し、威厳を感じさせてくれる。この王宮と隣り合って立つ通称エメラルド寺院、ワット・プラ・ケオは、その名の通りきらびやかなエメラルド・ブッダが祀られているほか、金色の仏塔には仏舎利(ブッダの遺骨)が収められている。

どちらも興味深い建築物であり、なおかつ美しさはひとことでは言い表せないほど。バンコクを訪れたなら、必見の価値ありである。スナップ写真は、どこを切り取っても絵になるのだ。こんな場所は地球上にもそうそうあるものではない。

CONRAD BANGKOK|コンラッド バンコク

CONRAD BANGKOK|コンラッド バンコク

ランチを済ませ、続いてジム・トンプソンハウスに向かう。タイのシルク王と呼ばれたジム・トンプソンは古美術の収集家としても有名で、その貴重なコレクションが住居をそのまま博物館にしたこちらで見ることができる。日本語での案内もあるので、英語が苦手な旅行者でも安心だ。敷地内にはタイシルクのショップもあるので、こちらでお土産を買い求めるのもいいだろう。

たっぷり観光した後、コンラッド バンコクに戻る。さすがに王宮やエメラルド寺院は広かったので、すこしゆっくりしたいと思ったのが正直なところだ。コンラッド バンコクの7階フロアにはここがとても都心と思えないほど開放感たっぷりな通年利用ができる屋外プールも用意されている。ここで夕方までくつろぐのも悪くない選択だ。

しかし、あいにく水着は持ち合わせていない。コンラッド バンコクから直接アクセス可能な隣接するショッピングモールで水着を購入することも考えたものの、そこでふと思い立ち、エグゼクティブラウンジのコンシェルジュに、シーズン・スパの予約をリクエストした。

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タイといえば、やはりスパやマッサージを楽しむというイメージが強い。11室ものトリートメントルームを用意するこちらのシーズン スパは、アロマが漂う個室で、フェイシャルトリートメントやオイルを使用したマッサージが受けられる。マッサージは気になる体の部分を集中的に施術してもらうのも、その強弱をリクエストして体をリフレッシュするのも良いだろう。ゲストのほとんどが施術中に眠りに落ちるという快適なスパ体験は、コンラッド バンコクのなかでも最もお薦めのアクティビティだ。体中がリラックスするあまりの気持ちよさに、ここが都会のド真ん中だということついつい忘れそうになる。

もっとも、リラックスよりも体を動かしたいという行動派には、24時間オープンのフィットネスセンターや、先のプール、またはナイター照明付きのテニスコートの利用をお勧めしたい。これらはともに7階にあるので、フィットネスセンターで体を動かした後に、プールでゆっくりと過ごすといった施設の使い分けも簡単におこなえるのがメリットと紹介できるだろう。

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東南アジアきっての都会派ラグジュアリーホテルを楽しむ (4)

世界に誇る和食もトップレベル

コンラッド バンコクは、5つのレストランと2つのバーを擁している。なかでもお薦めしたいのが日本食レストラン「きさら」とチャイニーズレストラン「柳(LIU)」である。「きさら」で本格的な和食を手がける進藤顕司シェフは、日本の一流ホテルのレストランに長年従事した後、スペインや台湾でもキャリアを積んだ国際感覚の持ち主。タイでも日本食はブームであり、世界的なヘルシー志向もあってアメリカをはじめとする各国大使館員やビジネスマンといった外国人ゲストはもちろんのこと、ローカルゲストにも人気なのだとか。

CONRAD BANGKOK|コンラッド バンコク

CONRAD BANGKOK|コンラッド バンコク

バンコクに数ある日本食レストランのなかでも、ここ「きさら」では日本人の舌にも本物と思える和食を提供してくれる。新鮮な食材とクオリティの高い料理、そして目にも鮮やかな盛りつけが自慢で、取引先との会食に利用するビジネスマンや地元の富裕層にリピーターが多いという話にも頷ける。コースメニューのメイン料理の中でも特に人気という北海道カムイ牛や飛騨牛のステーキは、失礼な表現かもしれないが、日本で食べるのとまったく変わらないほどの魅力的な味だったことを付け加えておく。

いっぽうのチャイニーズレストラン「柳(LIU)」では、季節の新鮮な魚介類を使った我々日本人にも馴染みやすい中華メニューが特徴。リラックスできるソファタイプの席も用意されており、ゆっくりと食事を楽しみたいときにはお薦めしたい。コース料理では、ひと皿ひと皿が適切なポーションで盛りつけられ、最後までメニューを楽しむことができる。特にアワビのミルクソース蒸し煮やデザートの胡麻団子は絶品で、スパイシーなタイ料理に飽きた後にもホッとできそうな味わいだった。

CONRAD BANGKOK|コンラッド バンコク

CONRAD BANGKOK|コンラッド バンコク

地元の料理を味わうのが旅の醍醐味だとは分かっているが、コンラッド バンコクのレストランを一晩ずつ回る食事でも満足度は高い。誤解を恐れずにいえば、敢えて不案内な外のレストランを探さずとも、一流の味がすでにそこに用意されているから、である。舌の肥えたグルメにも、手放しでお薦めできる味とサービスを持つのがこの2軒なのだ。

胃袋を満たした後は、ロビー階にあるバンコク屈指のジャズバー「ディプロマット バー」でワインとライブ演奏を楽しむもよし、7階のプールサイドの「シティテラス」で夜風に吹かれながらカクテルを楽しむもよしである。「シティテラス」は21時までだが、カジュアルな服装で入れるので、ディナーの後に限らず、リラックスしたいときや軽く一杯といったときなどには便利に利用できるだろう。

CONRAD BANGKOK|コンラッド バンコク

CONRAD BANGKOK|コンラッド バンコク

バンコクという東南アジア随一の国際都市の中心部にあるため、ビジネスや観光、ショッピングに便利な宿泊先としてはもちろんのこと、ゲストの使い方によっては、一年中夏を味わえるシティリゾートとして食事からアクティビティまでをここだけで滞在のほとんどが楽しめてしまうポテンシャルと上質な雰囲気を持つコンラッド バンコク。エネルギッシュなバンコクの街に元気をもらいながら、心身共にリフレッシュしたいという大人の旅にふさわしい、洗練されたラグジュアリーホテルである。

CONRAD BANGKOK
All Seasons Place 87 Wireless Road Bangkok 10330 Thailand

Tel. +[66] 2-690-9999

Fax. +[66] 2-690-9000

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