高水準の味わいと栄養価と安全性で新たなスタンダードビーフへ。トップシェフが引き出すアイリッシュ グラスフェッドビーフのポテンシャル
LOUNGE / EAT
2024年11月28日

高水準の味わいと栄養価と安全性で新たなスタンダードビーフへ。トップシェフが引き出すアイリッシュ グラスフェッドビーフのポテンシャル

EAT|アイリッシュ グラスフェッドビーフ

今さらながらだと思うが、グラスフェッドビーフとは牧草のみをエサにして育った牛のこと。放牧されてのびのび育ち、エサを探すために動きまわり運動量が多く、厩舎で育つ牛よりも引き締まって育つため、脂が強くなく、健康志向の高い人や女性を中心に注目を集めている。

Text by IJICHI Yasutake

確かな味わいと品質、そしてトレーサビリティ

アイルランドは国土の約85%が牧草地で、アイルランドの牧場の内、99%が家族経営と言われている。雨が多く暖流の影響で冬の寒さもマイルドで、年間通して牧草がよく育つ気候。アイリッシュ  グラスフェッドビーフはこの恵まれた環境下で220日以上、つまり7,8か月以上放牧され、ストレスなく育っている。そのため、オメガ3脂肪酸やビタミン・ミネラルなどの栄養が豊富に含まれ、さらに、やわらかで引き締まった赤身肉となるのが最たる魅力である。また、抗生物質やホルモン剤不使用な上に、牛は個体識別管理が徹底され、出生からの全ての移動がデータベース管理されているので、安全性も間違いがない。
しかし、これほどまでに魅力的なアイリッシュ グラスフェッドビーフは、多くの人が食べたことはないのではないだろうか。
少なくとも私は、スーパーやデパートで買ったことはおろか見かけたことがないし、もしレストランなどで頂いていたらシェフや給仕の方から説明を受けているはずだから物珍しさに記憶に残っているはずだが、それもない。もしかしたら、肉は最後のプレートだから既にお酒が入っていてよく覚えてない、、、なんてこともあるかもしれないが、いずれにしても、アイリッシュ グラスフェッドビーフが今の日本において希少であることは間違いない。
アイリッシュ グラスフェッドビーフが日本で輸入解禁されたのは2013年のこと。アイルランド政府食糧庁(Bord Bia)は2019年に日本事務所を東京に開設し、輸出拡大に力を入れているというが、現在日本の輸入牛の約半分はオーストラリア、40%がアメリカ、それ以降はカナダ、ニュージーランド、メキシコと続き、アイルランドは“その他”に括られてしまう程度である。
アメリカやオーストラリアと比べて、距離の問題からの輸送コストや生産規模の違いもあって価格優位性は高くはないが、前述した通り、徹底したサステナビリティやトレーサビリティ管理に担保された味わいと安全性といった品質に対する評価は高まっていて、一流シェフやレストラン業界では注目を集めているのは間違いない。
今年2024年秋には、アイリッシュ グラスフェッドビーフに魅せられ、各自レストランにて積極的に提供しているシェフのコミュニティの場として、「Chefs’ Irish Beef Club Japan」が設立された。「Chefs’ Irish Beef Club」はアイリッシュ グラスフェッドビーフの成長と発展を目的に2004年にオランダから発足し、日本では、「リストランテ・ラ・ビスボッチャ」の井上シェフ、「Trattoria Da KENZO」の西沢シェフ、「ザ・モメンタム・バイ・ポルシェ」の林シェフが参加している。
今回は、ザ・モメンタム・バイ・ポルシェで林シェフが手掛けるアイリッシュ グラスフェッドビーフを頂いた。林シェフは、イタリア、ピエモンテ州を中心に修行を積み、帰国後は数店で料理長を歴任。その後「タンタローバ」料理長に就任し、2020年からは世界初ポルシェ公認のレストラン「ザ・モメンタム・バイ・ポルシェ」総料理長を兼任している。
そんな林シェフの料理は、日本各地の産地から届く希少な素材に、彼ならではのエッセンスを加えたもの。栃木のにっこりという和梨やゴルゴンゾーラ村のチーズを使ったEntrataに始まり、ブラッドオレンジやブラックオリーブを使った水牛モッツァレラとフルーツトマトのAntipasto。鮭醤と呼ばれるから作られた岩手の鮭から作られた魚醤や甘えびを使ったイカスミタリオーニ。
そして、最後にアイリッシュ グラスフェッドビーフ。林シェフが手掛けるのは、Tボーンのルスティンネッガ。ルスティンネッガは、ミラノの冬の定番料理。グリルして焼き目を付けた後に蒸し焼きし、煮汁にバターを加えながら煮詰めて仕上げる料理。ふっくらとしてやわらかいけど、ちゃんと肉感があって歯切れと歯ごたえが良い。脂が程よく、旨みはグッとつまっている。しかも、Tボーンなので、ロースとフィレ両方の味わいと食感が楽しめるという贅沢。しつこくないし、飽きがこないので、これならいくらでも食べられそう。
アイリッシュ グラスフェッドビーフの素材の良さもさることながら、林シェフの調理がそのポテンシャルを最大化しているのだろう。メニューありきで素材を選ぶのではなく、素材ありきでメニューを考えるという林シェフ。しかもそこには季節因子も当然含まれる。良い素材に巡りあったときに、その素材の良さを最大限生かす調理法・メニューを考えるというから、このおいしさは必然と言えるだろう。
一度この味わいを知ってしまうと、アイリッシュ グラスフェッドビーフが新しいスタンダードビーフのひとつになってほしい、家でもアイリッシュ グラスフェッドビーフを楽しめるようになってほしいと願うが、まずは、日本のトップシェフたちが手掛ける世界から楽しんでいきたいところ。3店では、2024年12月19日までレストランフェアと題し、アイリッシュ グラスフェッドビーフのメニューが楽しめる。アイリッシュウィスキーが当たるキャンペーンも開催中とのこと。せっかくのこの機会に、アイリッシュ グラスフェッドビーフの味わいを堪能してみてはいかがだろうか。
ザ・モメンタム・バイ・ポルシェ
住所|東京都港区東新橋1 5 2 汐留シティセンター 1F
営業時間|ランチ 11:30 15:00 00/ディナー 18:00-22:30(定休日:月曜日)
レストランフェアURL|https://irishfood.jp/cibcjapan/#restaurantfair2024
問い合わせ先

ザ・モメンタム・バイ・ポルシェ
Tel.03-6280-6785
https://porsche.tokyo/

                      
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