『祐真朋樹の衣装部屋へようこそ』発売記念トークショー開催|BOOK
BOOK|東京と大阪で発売記念トークショー&サイン会を開催
私服の着こなしを半年分公開『祐真朋樹の衣装部屋へようこそ』
ファッションディレクターの祐真朋樹氏による2冊目となる単行本『祐真朋樹の衣装部屋へようこそ』が集英社から発売された。日本を代表するスタイリストとして名高い祐真氏は、普段どんな服を着ているのだろうか。私服コーディネイトに解説を交えながら、読者のそんな疑問にこたえる“ファッションの教科書”的な1冊に込めたおもいとは。祐真氏に聞いた。
Photographs by TANAKA Tsutomu Text by ANDO Sara(0PENERS)
着回しよりも決め打ち!祐真朋樹ならではの私服コーディネイト本
――刊行おめでとうございます。貴重なアーカイブコレクションなども紹介されていて、読みごたえがありますね。今回出版されたきっかけは何ですか?
今年の春に日高(麻子・集英社第7編集部部長)さんから「メンズスタイリストの本を出してみたい」と相談を受けたことがはじまりです。
最近は、女性誌のスタイリストが出す本が人気でよく売れるそうなのですが、男性誌のスタイリストの本はないみたいなんですね。そこでいろいろと読んでみて、「では、挑戦してみようかな」と思いつつ、3ヵ月ほど寝かせてしまったんです(笑)。しばらくして日高さんから「例の件、9月下旬に発売するけど、大丈夫?」と連絡があり、「ええっ、本当に出すの?」と(笑)。それからようやく本腰を入れて制作にとりかかることになりました。
――ライフスタイルや着回しコーディネイトを紹介する本、多いですね。祐真さんらしさはどのあたりに出ているのでしょう?
女性スタイリストのパーソナリティが前面に出ているものや、ワードローブを丁寧に見せている着回しを見せた本が人気のようですね。僕ならどんな構成にしようかと考えた結果、10月1日から3月31日の秋冬シーズン、183日間のコーディネイトをダイアリー風に見せていくことに決めました。ただ、普段から僕のスタイリングの信条は、着回しというよりは決め打ちなので、悩みましたね。そこでまず、家のワードローブとトランクルームに保管してある服を一気にスタジオに持ち込んだんです。それでも持っているすべての服の1/5ぐらいなんですけどね。「どんだけあんねん(笑)」と自分でもあきれるぐらいでしたが、過去のワードローブを含めてこれだけたくさんの服を目の前にするとそれはもう、圧巻で。その後約3日で183日分のコーディネイトを作りました。実際の撮影日はそこから数日あいてしまったので、いったん服を持ち帰ることになるなど作業的にはとても大変だったのですが、そうこうしているうちに楽しくなってきてしまって。
――気が遠くなりそうな作業ですが、どんなところを楽しまれたのでしょうか?
誌面は見開きで4体並ぶ構成をイメージしていたので、見やすさ重視で雰囲気のいいヴィジュアルを意識していると、なんとなくですが、うまい具合に着回しになっていくんですよね。それが本当におもしろくて。ふつうの着回しというと、たとえば5点の服をどう着るかとなるところ、僕は一着のスーツをインナーや小物などを使ってどれだけアレンジできるかということになってくる。それが楽しかったですね。また、この本は10月1日から未来予想図的にコーディネイトを組んでいるのですが、なるべく毎日内容通りの服を着てみているんです。すべての日のスケジュールを把握しているわけではないので、どうしても違う服を着なければならない日もあるんですけどね。果たしてどこまで続くのか。僕自身、ひそかに楽しんでいます。今日は10月8日なので、これですね。トークショー当日はじゃっかんラフなスタイルなのですが、しょうがないかな。この通りに着て行くつもりです。
――すべてこの秋冬に着たいという目線で作ったコーディネイトということですか?
そうですね、ただ、これから買うものも出てくるわけで。当たり前ですが、撮影した日までに購入したもので組んでいるので、必然的に今までの服になってしまっています。でも、ここ2、3年ぐらいは昔の服を着ることがおもしろくなってきていたんです。買ったものの、一度も袖を通すことのなかった服を見つけて着てみると「おおっ」となることが増えたというか。そういうのが楽しみのひとつになってきていたところに今回のオファーがきたんですよ。
この秋冬気になっているのは、やはりグッチやロエベのようなジェンダーレスなスタイル。そういう服をビシッとかっこよく着てみたいなと思いますね。ただ、もうちょっとやせないといけませんが。それから、アレキサンダー・ワンとロエベのJ.W.アンダーソンなど、若いジェネレーションのデザイナー同士の服のミックスや、エンジニアードガーメンツ、ポータークラシックにマイケル・タピアなどアメリカンな服の組み合わせなんかもおもしろくて気に入っています。
――トランクルームにはどれぐらい服が保管されているのですか?
今回はラック20本分ぐらい持ち出したんですが、その5倍ほどありますね。衣替えの役割もありますが、アーカイブとして保管している感じです。ガレージセールに出すことはあっても、服を捨てるということはほぼありません。以前編集長を務めていた雑誌『ファッションニュース メンズ』の企画でアーカイブを紹介したことがあったのですが、やっぱり記録しておくべきだなと今回改めておもいました。ちょっと前の特殊なコレクションピースだったりすると、結構な値段がついていたりするんですよ。もはやアートピースですね。
――最後に読者に一言お願いします。
この本には具体案がたくさん並んでいますが、そのままの提案ということではないので、ひとりの男のワードローブとして参考にしてくれるとうれしいですね。「奥さんが旦那さんのために買ってあげるような本になるといいよね」とは日高さんが最初に言っていた言葉。僕もそれを頭に入れて作ったのですが、先日アマゾンのレビューを読んでいたらまさにその通りに書いてくれていた女性がいました。「まったくためにならないものもあるけど、6、7割ぐらいはためになる」とつけくわえられていたのもまたよかった(笑)。ちなみに一番反響が多いのが、スニーカーのソールを真っ白に保つ秘訣などを書いた“生活の知恵”的なコラム。ぜひ読んで、ためしてみてください。また、続編として4月から8月までの着こなしを載せた春夏版も控えているので、そちらもお手にとっていただきたいです。
『祐真朋樹の衣装部屋へようこそ Welcome to my closet! Autumn-Winter』
著者|祐真朋樹
ページ数|128ページ
発行|集英社
価格|1600円
発売中
<トークショー&サイン会開催>
本書の出版を記念して、東京・大阪の2都市で祐真氏と『ウオモ』編集部の池田誠氏を迎えてのトークショー&サイン会を開催する。本書を予約または購入した人先着70人に整理券が配布される。
刊行記念トークショー&サイン会
東京・代官山
日程|10月15日(木)
時間|19:30〜
会場|蔦屋書店
http://tsite.jp/daikanyama/event/005148.html
大阪・心斎橋
日程|10月16日(金)
時間|19:30〜
会場|スタンダードブックストア
http://www.standardbookstore.com/archives/66192310.html