ART|銀座メゾンエルメス フォーラムでモニカ・ソスノフスカ展『ゲート』
ART|ポーランド出身の現代美術家の日本初個展
銀座メゾンエルメス フォーラムで『ゲート』モニカ・ソスノフスカ展が開催中
ポーランド・ワルシャワを拠点に活躍するアーティスト、モニカ・ソスノフスカ(Monika Sosnowska)の日本初個展『ゲート』が、銀座メゾンエルメス フォーラムで開催されている。3月31日(火)まで。
Text by YANAKA Tomomi
曲げられ、ねじられ、歪んだゲートで人間に内在する回復力を提示
1972年にポーランドに生まれ、1960年代にワルシャワで盛んだ前衛芸術に大きな影響を受けてきたというモニカ・ソスノフスカ。そのいっぽうで、ソスノフスカは1989年までつづいた社会主義のもとで権力の象徴を意味した当時の建築や、公共施設が壊されていく様を日常の中で目の当たりにしてきた彼女は、壮大なスケールで展開されるの彫刻やインスタレーションは実際の建築をモチーフにしている。
かつての“ユートピア”が脱機能化し、崩壊と放棄の過程をたどりながらあたらしい建築へと移り行く姿や、それらの“記憶”をもつ壁や階段、ファサード、窓などを断片的に取り出し、その造形をユニークな彫刻としての言語に置き換えてきた。
日本初個展となる本展では、個人宅のゲートを題材に新作を発表。通りから住まいを隔てるゲートを、個人にも都市にも属さない中立的なものとして展示。会場には、おもにスチールを使用し、工業的なプロセスで生み出されたものの、彼女により曲げられ、ねじられ、歪んだカタチのまま、機能をもたずにたたずみ、私たちの心に迫るカラフルな“ゲート”が披露される。
現代に生きる私たちがどこかで感じている世界が、自分の周りで崩れ落ちていくという不安や心もとなさ。しかし、ソスノフスカは“魔法”のように人間に内在する回復力を提示するのだ。政権が崩壊し、夢や希望が弱まったとしても生き残り、再生できる――。そんな力強いメッセージを包みながら。
『ゲート』モニカ・ソスノフスカ展
日程|1月20日(火)~3月31日(火)
時間|11:00~20:00 ※日曜は~19:00
入場料|無料
会場|銀座メゾンエルメス フォーラム
東京都中央区銀座5-4-1 8階
Tel. 03-3569-3300
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