ART│アート、エンターテインメント、アニメーション、マンガの受賞作品を発表「第18回文化庁メディア芸術祭」
LOUNGE / ART
2015年1月14日

ART│アート、エンターテインメント、アニメーション、マンガの受賞作品を発表「第18回文化庁メディア芸術祭」

ART│アート、エンターテインメント、アニメーション、マンガの受賞作品を発表

メディア芸術の総合フェスティバル「第18回文化庁メディア芸術祭」

“メディア芸術の総合フェスティバル”とも言うべき、「文化庁メディア芸術祭」。第18回となる本年度は日本国内をはじめ、71の国と地域から3853点の作品が応募され、アート、エンターテインメント、アニメーション、マンガの4部門の受賞作品が発表された。また、受賞作品は2月4日(水)から2月15日(日)まで、国立新美術館などで展示、上映される。

Text by YANAKA Tomomi

GPSと世界地図で仮想世界と現実の融合が評価されたアプリ『Ingress』

文化庁メディア芸術祭は、国内外のメディア作品に光を当て、メディアの“いま”を切り取るとともに、その受賞作品に触れる機会を広く提供しようと開催。今年は3853点の作品のうち、国内から過去最多の2035点が応募され、エンターテインメント部門とマンガ部門の応募も過去最高となった。

審査委員やアート部門の選考委員には各部門をリードする第一人者たちが就任。それぞれの部門で大賞、優秀賞、新人賞とともにメディア芸術に貢献した人に与えられる「功労賞」も。本年度の大きなトピックスといえるのが、アート部門の大賞の該当者がいなかったこと。しかし、優秀賞には、坂本龍一と真鍋大度が2014年夏に開かれた札幌国際芸術祭で発表した、人間が知覚できない電磁波を感知し、可視化、可聴化したインスタレーション『センシング・ストリームズ-不可視、不可聴』が受賞。このほかにも、同部門の大賞を過去2回受賞しているコッドアクトによるメディアパフォーマンス『Nyloïd』などが選出され、そのレベルの高さをあらためて示した。

ART│アート、エンターテインメント、アニメーション、マンガの4部門の受賞作品を発表「第18回文化庁メディア芸術祭」

アート部門 優秀賞:
『センシング・ストリームズ-不可視、不可聴』
坂本龍一/真鍋大度
Photo: Keizo Kioku, Courtesy of Creative City Sapporo International Art Festival Executive Committee

ART│メディア芸術の総合フェスティバル「第18回文化庁メディア芸術祭」

アート部門 優秀賞:
『Nyloïd』
コッドアクト(ミシェル・デコステール / アンドレ・デコステール)
Photo: Xavier Voirol

一方、エンターテインメント部門では、ユニークかつ多彩な作品がラインナップ。大賞にはグーグルが手がけたゲームのモバイルアプリケーション『Ingress』が輝き、GPSと世界地図のデータベースを使ってゲームのなかの仮想世界と現実の世界を融合した点が高く評価された。

優秀賞では、町中にある手書きの味わいのある看板を「のらもじ」と定義し、その形状を分析してコンピュータで使用可能なフォントを制作する『のらもじ発見プロジェクト』(下浜臨太郎/西村斉輝/若岡伸也)、3Dプリンターで出力したパーツとスマートフォンを制御に利用し、安価にそしてスタイリッシュに義手を生み出した『handiii』(近藤玄大/山浦博志/小西哲哉)などが受賞している。

ART│アート、エンターテインメント、アニメーション、マンガの4部門の受賞作品を発表「第18回文化庁メディア芸術祭」

エンターテインメント部門 大賞:
『Ingress』
Google’s Niantic Labs
Photo: Google's Niantic Labs

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エンターテインメント部門 優秀賞:
『handiii』
近藤玄大/山浦博志/小西哲哉
© 2014 exiii Inc.

ART│アート、エンターテインメント、アニメーション、マンガの4部門の受賞作品を発表「第18回文化庁メディア芸術祭」

アニメーション部門 大賞:
『The Wound』
アンナ・ブダノヴァ
© Ural-Cinema

このほかにも、マンガ部門では津原泰水の幻想譚を近藤ようこがマンガ化した『五色の舟』、アニメーション部門では、ロシアのアンナ・ブタノヴァによる短編アニメーション『The Wound』が大賞に輝いた。

国立新美術館を中心に開かれる受賞作品展では、厳選した約160点を一挙に紹介。トークイベントやパフォーマンス、ワークショップなど、およそ150のプログラムも会期中に展開される。特に注目したいのは、受賞作家みずからプレゼンテーションや作品の実演をおこなう恒例のイベントシリーズ「ラウンジトーク&ライブパフォーマンス」。

これまで会期中1回限りだったこのイベントを、今年は4回に拡大して開催。その初日に登場するのは、エンターテインメント部門の受賞作家たち。大賞『Ingress』のプレゼンテーションや、『Slime Synthesizer』で新人賞を受賞したドリタ/エアガレージラボによるライブなど、“文化庁メディア芸術祭のなんでも部門”と称される同部門ならではの多彩な表現が展開される。

テクノロジーの進化により変わりゆく“時代の芸術たち”に触れることのできるまたとない機会になりそうだ。

第18回文化庁メディア芸術祭 受賞作品展
日程│2月4日(水)~2月15日(日)
会場│国立新美術館(東京都港区六本木7-22-2)
シネマート六本木(東京都港区六本木3-8-15)
スーパー・デラックス(東京都港区西麻布3-1-25 B1F)
※開館時間、休館日は会場によって異なります。
入場料│無料

ラウンジトーク&ライブパフォーマンス01
「オルタナティブ・フューチャー ~エンターテインメント部門受賞作品発表会」

日程|2月4日(水)
時間|19:00〜22:30
会場|スーパー・デラックス(東京都港区西麻布3-1-25 B1F)
出演|川島優志(大賞:『Ingress』)、ドリタ/エアガレージラボ(新人賞:『Slime Synthesizer』)ほか
モデレーター|飯田和敏(エンターテインメント部門審査委員/ゲーム作家/デジタルハリウッド大学教授)、米光一成(エンターテインメント部門審査委員/ゲームデザイナー/立命館大学教授)
※一部、日英逐次通訳あり
定員|250人(事前申込制)
※申込受付は1月20日(火)17:00から公式サイトで開始。

問い合わせ
文化庁メディア芸術祭事務局
Tel. 03-5459-4668(一般受付/9:00~20:00)
http://j-mediaarts.jp/
https://www.facebook.com/JapanMediaArtsFestival
https://twitter.com/JMediaArtsFes

           
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