カルティエ現代美術財団が『横尾忠則：The Artists』展を開催｜ART

ART｜財団の歴史に刻まれた人物の肖像画139点を展覧

人物のユニークな個性を多彩な表現で描いた肖像画コレクション139点を展覧

東京都港区の21_21 DESIGN SIGHTギャラリー3にて、『横尾忠則：The Artists』展が、2021年7月21日（水）～10月17日（日）まで開催される。カルティエ現代美術財団が横尾忠則に制作を依頼した、アーティスト、哲学者、科学者らの肖像画シリーズ139点、会場となる21_21DESIGN SIGHTの創立者でもある三宅一生との関係について横尾忠則が語る映像などが展覧される。

Text by OZAKI Sayaka｜Edit by TSUCHIDA Takashi

横尾忠則が描いた、世界中の芸術家や思想家、科学者らの肖像画を展示

カルティエ現代美術財団は、2021年7月21日（水）より『横尾忠則：The Artists』展を21_21 DESIGN SIGHTギャラリー3（東京都港区）にて開催する。財団の依頼により制作された、139点の肖像画からなるアイコニックなシリーズが初めて日本で公開され、横尾忠則の絵画世界に浸ることができる展覧会だ。

新作も加わった本シリーズは、カルティエ現代美術財団の歴史を刻んだ人々へのオマージュであり、現代絵画の巨匠である横尾忠則の独創的な才能によって、ユニークな人物の個性がキャンバスに描き出されている。

本シリーズは、カルティエ現代美術財団が2014年に設立30周年を迎えたことを機に、財団の展覧会の歴史を刻んできたアーティストや哲学者、科学者らの肖像画を横尾忠則に依頼したことからスタート。横尾はこの挑戦に自由闊達に向き合い、日に1作品か2作品、ときには3作品というペースで3カ月の時間をこの肖像画の制作のみに費やし、石上純也や川内倫子、アニエス･ヴァルダ、蔡國強など、世界中の芸術家や思想家、批評家や科学者らの肖像画の制作に取り組んだ。

油彩画の技法や33センチ×24センチというサイズは作品のすべてに共通するが、表現においては実に多彩なスタイルが試みられている。「変化は創造である」と明言する横尾忠則にとって、キャンバスは無限の実験空間。新たな表現方法を展開できる場であり、グラフィックとイメージとの戯れの場でもあるといえる。

本展の空間構成は、鑑賞者を映画的な旅へ誘い、あたかも無限の会話の広がりを思わせるリボンのように作品を紹介。各作品と拡大した作品ディテールも見ることができ、横尾絵画の宇宙、さらにはその可能性の探求へと導く。

そして横尾忠則の世界を一層深く伝えるのが、映像作家の岡本憲昭が本展のために制作した映像だ。カルティエ現代美術財団との関係や21_21DESIGN SIGHTの創立者でもある三宅一生との関係について、心のままに語る横尾忠則の姿を視聴できる。

本展のポスターは、横尾忠則自らが制作。三宅一生やサラ・ジー、マーク･ニューソン、ロン･ミュエクらの肖像画が、影として描かれ謎めいている横尾の自画像を囲むように構成されている。これは、描かれる対象である人物のみならず、横尾本人もまた、肖像画の制作を通して語られるのだということを示唆するものだ。

本シリーズの制作を通して画家が改めて見出すものは、自身の絵画のエッセンスそのものであり、「私は発見するために描く。私はいまだ新たな自分自身を探している」と語る創造の原動力である。これらの肖像画は、カルティエ現代美術財団という「大きなオーケストラ」の結成を示すものであると同時に、横尾忠則が描き出す世界が、アーティストとの関係こそが活動において何よりも重要であるとする財団の精神と通底するものであることを示している。

なお、2021年7月17日（土）～10月17日（日）の期間、東京都現代美術館で大規模個展『GENKYO 横尾忠則　原郷から幻境へ、そして現況は？』が開催されている。本展と併せて、横尾忠則の絵画世界を体感できるまたとない機会だ。

『横尾忠則：The Artists』

会期｜2021年7月21日（水）～10月17日（日）
会場｜21_21 DESIGN SIGHTギャラリー3
住所｜東京都港区赤坂9-7-6 東京ミッドタウンミッドタウン・ガーデン内
主催｜カルティエ現代美術財団
特別協力｜21_21 DESIGN SIGHT
協力｜朝日新聞社
キュレーター｜エルベ・シャンデス（カルティエ現代美術財団ゼネラルディレクター）、ベアトリス・グルニエ（カルティエ現代美術財団ヘッドオブアーティスティックデベロップメント）

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