ART|『Bunkamura25周年特別企画 だまし絵II』
ART│多岐に渡り進化していく現代美術のだまし絵を中心に紹介
『Bunkamura25周年特別企画 だまし絵II』
現代美術からルネサンス後期まで、多彩な“だまし絵”を集めた『Bunkamura25周年特別企画 だまし絵II』。10月5日(日)まで渋谷のBunkamuraザ・ミュージアムで開かれている。
Text by YANAKA Tomomi
眼の先入観を打ち破り、観る者を仮象の世界の裏側へと誘う不思議な作品たち
美術の歴史において、古くから見るひとの目を欺くような仕掛けををもつ“だまし絵”の系譜。古今東西のだまし絵が集結した2009年につづき開催される本展では、多岐にわたり進化していく現代美術に重きが置かれた。
会場では古典的傑作を集めたプロローグにつづき、現代のあたらしいだまし絵における挑戦を視覚的詐術によるカテゴリーに分類して紹介。
名画の裏側を再現するというユニークなアイディアで、観る者の眼を欺くヴィック・ムニーズはゴッホの名作『星月夜』の裏面を描くことで、まるで本物の絵画が後ろ向きに置かれているかのような錯覚をもたらす。ヴィック・ムニーズがプラスチックのカラフルな玩具を並べて作り上げた写真作品『自画像 悲しすぎて話せない バス・ヤン・アデルによる』も展示されている。
シュルレアリストのルネ・マルグリットによる、靴と足という似て非なるものをたくみに結びつけ、類似性により両者の異質さを際立たせる『赤いモデル』など、イメージを法則的にゆがめる「アナモルフォーズ・メタモルフォーズ」の手法を展示。このカテゴリーではアンバランスだからこそ、眼を引くような現実ではありえない情景を目の当たりにすることができる。
眼の先入観を打ち破り、観る者を仮象の世界の裏側へと誘う『だまし絵』展。大人も子どもも大いに“だまされ”、不思議な世界へと足を踏み入れてみたい。
Bunkamura25周年特別企画 だまし絵II
会期│8月9日(土)~10月5日(日) ※9月8日(月)のみ休館
時間│10:00~19:00 ※金曜、土曜は~21:00
会場│Bunkamura ザ・ミュージアム
東京都渋谷区道玄坂2-24-1
Tel. 03-5777-8600(ハローダイヤル)
入館料│一般1500円、大学・高校生1000円、中学・小学生700円
巡回│兵庫県立美術館 2014年10月15日(水)~12月28日(日)
名古屋市美術館 2015年1月10日(土)~3月22日(日)