ART|原美術館で『アート・スコープ2012-2014』展
ART│旅の経験を表現として作品に結実させる4者4様のアプローチ
『「アート・スコープ2012-2014」-旅の後(あと)もしくは痕(あと)』
日本とドイツの現代美術家4人が異国での滞在プログラム「アーティスト・イン・レジデンス」の成果を発表する『「アート・スコープ2012-2014」-旅の後(あと)もしくは痕(あと)』が品川区・原美術館で開かれている。10月13日(月・祝)まで。
Text by YANAKA Tomomi
今村遼佑、大野智史、リタ・ヘンゼン、ベネディクト・パーテンハイマーの4人が出展
日独で互いに現代美術のアーティストを派遣、招聘し、異文化での生活を体験しながら、アートに生かしてもらおうとダイムラー・ファウンデーション ジャパンが展開している「アート・スコープ」。原美術館では2003年から「アート・スコープ」のパートナーを務めており、交換プログラムの成果を踏まえた展覧会を開催してきた。
今年の展示では、2012年にドイツから招聘したRita Hensen(リタ・ヘンゼン)と写真家のBenedikt Partenheimer(ベネディクト・パーテンハイマー)が参加。日本からは2013年に渡独した今村遼佑(いまむら・りょうすけ)と大野智史(おおの・さとし)の計4人が、異国での経験を踏まえ、本展のために制作された新作を発表する。
会場には、小さな光や音などささやかな現象を作品化する今村遼佑のインスタレーションや、夜道に光る自販機など、“日本ならでは”の被写体を撮影したベネディクト・パーテンハイマーの作品を紹介。ドローイングや写真、彫刻など多岐に渡る作品を制作することで知られるリタ・ヘンゼンは、日本で撮った写真や、日本の“紙の文化”に触発されたインスタレーションを出品。また、ネオンカラーなどシンボリックでエネルギッシュなイメージが特色の大野智史の新作絵画も並べられている。
彼らが異国の地で何を見て、何を感じてきたのか。旅の経験を表現として作品に結実させる4者4様のアプローチは、現代美術の多様な魅力そのものといえるだろう。