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ART
2015年1月29日
ART|『佐藤時啓 光-呼吸 そこにいる、そこにいない』
ART│写真だからこそ見ることができる世界
『佐藤時啓 光-呼吸 そこにいる、そこにいない』
光や時間、空間、身体といったキーワードをテーマに制作をつづけるアーティストの佐藤時啓(さとう・ときひろ)による写真展『佐藤時啓 光-呼吸 そこにいる、そこにいない』。5月13日(火)から7月13日(日)まで、恵比寿の東京都写真美術館で開かれる。
Text by YANAKA Tomomi
光の移動の軌跡をフィルムに定着させた代表作『光-呼吸』も展示
ピンホール・カメラやカメラの原型ともいわれ、映像を暗い箱のなかで逆さに移すことができる「カメラ・オブスクラ」といった“写真装置”による制作で知られる佐藤時啓は1957年山形県生まれ。1997年の第6回ハバナ・ビエンナーレや1999年の第9回バングラディシュ・アジア・アート・ビエンナーレに招待されるなど、国内から注視されている。
光が小さな穴をつうじて像を結ぶという基本的な原理への興味や驚きを出発点にしてきた佐藤。本展では、そんな彼のさまざまな試みによってもたらされたプリント作品が一挙に約99点も紹介される。
会場には、森や海、都市などカメラの前に広がる風景のなかを彼自身が発行するペンライトや太陽光を反射させた鏡をもって歩き回り、その移動の軌跡をフィルムに定着させ不思議な世界を生み出す『光-呼吸』といった代表作も展示。また、建築物やバスなどの乗り物をカメラ装置として改造し、そこに写し出された変化するイメージを街のひとびととともに体験するパフォーマンス作品など、写真のさらなる可能性を感じられる作品がずらりと並ぶ。さらに、期間中の5月17日(土)15:00からは佐藤自身による講演会も開催される。
現実世界では不可視のものでも、写真ゆえに見ることが可能になった作品たち。さまざまな手法で自己のテーマを具現化してきた佐藤ならではの写真世界が広がる。