ART|マーガレット・ハウエル、ロンドン本店で写真展『Slacklands』開催
ART|マーガレット・ハウエルも寄稿! 英国“ローカル版”建築ガイドブック
ロンドン本店で、ARCA『Slacklands』出版記念写真展
イギリスの地方に埋もれた“名もない”建築物を、写真やテキストでアーカイブしている「Archive for Rural Contemporary Architecture(ARCA)」プロジェクトが、はじめての書籍『Slacklands』を刊行。それを記念して5月9日(金)から6月1日(日)まで、ロンドンにあるマーガレット・ハウエルの旗艦店、ウィグモア ストリート店で写真展が開催される。
Text by KAJII Makoto (OPENERS)
型にはまらない建築
独創的な活動を展開する、建築家/キュレーター/ライターのコリーナ・ディーン(Corinna Dean)。「Archive for Rural Contemporary Architecture(ARCA)」はそんな彼女が率いるプロジェクトだ。
20世紀に作られた数々の建築遺産が、地方に埋もれている――そんな現状に注目したARCAのメンバーは、4年間の歳月をかけてイギリス全土をくまなくリサーチ。そのなかから、35の建物をピックアップして、一冊にまとめたのが『Slacklands』である。
タイトルの『Slacklands』は、従来型の景観や概念にとらわれず、型にはまらないことを意味する。インダストリアル(産業的)で冷戦の名残を見せる構造や、荒々しい景観に建つ発電所の跡地を追った本書は、どんな“名もない”建築物にも興味深い話が一つや二つはあることを私たちに教えてくれる。
「あまり知られていないイギリスの一面を見せてくれる」
デザイナーのマーガレット・ハウエルは『Slacklands』の前書きに、以下のようなコメントを寄せている。
「コリーナ・ディーンの使命は、20世紀の建築遺産がどれほど豊かで、ユニークであるかを伝えること。私たちがいとも簡単に忘れてしまうような、放っておかれた建築物(軍事建築、工業建築、信仰・宗教や、娯楽建築)を開拓しているのです。この本はイギリスのあまりよく知られていない、そしてあまり馴染みのない構造や姿をした建物を見せてくれます。
こうした建築物は、魅惑的なデザインで私たちを引き込むのと同時に、強く感情に訴えてきます。荒々しい建物は壊れてバラバラになっていたり、草木に侵食されていたとしても、なお巨大なパワーを誇示しているのです。
たとえば、殺風景な第二次世界大戦時の防御物(薬箱のような建築、エンタイ壕、基地)には、ロンドンのサウス・バンク(※)の兆候を見ることができます。これらに見て取れる機能ありきの装飾は、ワークウエアにもおなじく見て取れます。そして、優れたワークウエアはいい年の重ね方をします。
コリーナが紹介しているもののなかには、以前からわたしのお気に入りだった建物もありましたが、そのほとんどがまだ見たことのない建物でした。この本を片手に、これらの建物を見て回るのがいまから楽しみです」
※サウス・バンク=ロンドンのテムズ川南岸のリバーサイド地区。1980年代以降に開発が進み、現在は年間を通じてさまざまなイベントやフェスティバルが繰り広げられる、文化的な中心地として知られている。
『Slacklands』出版記念写真展
日程|5月9日(金)~6月1日(日)
時間|10:00~18:00(日 12:00~17:00)
会場|マーガレット・ハウエル ウィグモア ストリート店
34 WIGMORE STREET, LONDON W1U 2RS
Tel. +44-20-7009-9009
価格|£18.95.
※期間中、『Slacklands』はすべてのマーガレット・ハウエルのショップとオンラインショップ(EUのみ)で購入可能。
Corinna Dean|コリーナ・ディーン
エディンバラ生まれ、ロンドン在住。彼女の職業(作品)は建築環境が中心。建築家として教育を受け、現在はケント大学大学院の建築コースを運営している。彼女の建築とそれにおける文化、政治、社会的背景の探索心は、近年彼女を紛争の傷跡が残る、カメルーンのドゥアラや、レバノンの首都であるベイルートのヨルダン川西岸、そしてキプロスの首都ニコシアへ向かわせた。Deutsche BauzeitungやIcon、Blueprint、The Architectural Reviewから書籍や写真集が出版されている。
問い合わせ
アングローバル プレスルーム
Tel. 03-5467-7870
http://www.margarethowell.jp