ART|『101年目のロバート・キャパ-誰もがボブに憧れた』展
ART|「プラスワン」をコンセプトに、知られざる作品を展示
東京都写真美術館 『101年目のロバート・キャパ-誰もがボブに憧れた』
報道写真家として知られるロバート・キャパ(Robert Capa、1913-1954年)による、生きる喜びやユーモアが写し取られた知られざる作品を紹介する写真展『101年目のロバート・キャパ-誰もがボブに憧れた』。3月22日(土)から5月11日(日)まで、恵比寿の東京都写真美術館で開催される。
Text by YANAKA Tomomi
戦場でも明るさとユーモアを失わなかったキャパ
1913年にハンガリーに生まれ、1930年代から1954年に地雷に触れて死に至るまで、写真家として世界中を駆け巡り、各地の戦争やひとびとの暮らしをカメラに収めてきたロバート・キャパ。スペイン内戦中に撮影した『崩れ落ちる兵士』の写真で一躍世界的に有名となり、ノルマンディ上陸作戦の連作など命がけで撮影した幾多の写真で世界に衝撃を与えてきた。
そんな伝説的存在でありながら、その実像は「ボブ」の愛称で多くの友人に慕われ、人生を楽しみ、ギャンブルが好きで、なによりも女性たちを愛した普通の男性だったという。
そんなロバート・キャパが生誕して今年で101年目。本展では、東京富士美術館のコレクションを核に、あらたな100年に向けて「プラスワン」というコンセプトでキャパの真骨頂ともいえるユーモアや生きる喜びが表れた知られざる作品を中心に、独自の構成が試みられた。
会場には、キャパが1954年の死の直前に撮影した、ベトナムの草地で地雷を探知しながら行軍するフランス軍の写真や、ノルマンディ上陸作戦の連作など、多くの代表作を展示。さらに、激しい戦争の裏側で手紙を書いたり、チェスに興じる兵士たち、恋人たちが別れを惜しむ姿など、戦場でも明るさとユーモアを失わずに人々と接した、キャパならではの視点による作品が紹介される。
また、小説家のヘミングウェイやパブロ・ピカソらの友人、ともに報道写真家として活動し、戦争に巻き込まれて死亡した恋人ゲルダ・タロー、第二次世界大戦後の無力感のなかで愛し合った女優イングリッド・バーグマンらの写真も並べられる。
“報道写真家ロバート・キャパ”ではなく、多くの友人たちに愛された等身大の“ボブ”に会えるこれまでにない機会。いまも多くの人をひきつけてやまない彼の人間性に焦点を当てた写真展だ。
『101年目のロバート・キャパ-誰もがボブに憧れた』
会期│3月22日(土)~5月11日(日) ※月曜と5月7日(水)は休館。ただし、4月28日と5月5日は開館。
時間│10:00~18:00 ※木曜、金曜は~20:00
会場│東京都写真美術館
東京都目黒区三田1-13-3 恵比寿ガーデンプレイス内
Tel.03-3280-0099
料金│一般1100円、学生900円、中高生・65歳以上700円