光とのコラボレーション、エリザベス2世のモダンなポートレート

ロンドンを拠点として活躍しているカナダ出身のライト アーティストのクリス・レヴィーン。セントラル・セント・マーチンズを卒業してから、光とアートを融合した“ライトアート”作品を制作。新たな技術で光や画像を形にして、斬新な官能体験を作り上げている。

また、個展のタイトル“3.142”には深い理由がある。「物理論におけるす事実の中心を『幾何学』とするなら、“円”という形はピュアで、シンプルで、真実を表していると思う。我々も大きな球体──“地球”の上に立っている。円周率の“3.142”はつまり、真実を意味しているのです。私にとっての創作活動は物事をわかりやすくして、その中の意味を引き出すこと。それが円形のピュアネスに近いと思うのです。円を表す“3.142”は、私のクリエイティビティの暗喩なのです」と語るクリス・レヴィーン。

2004年、彼はエリザバベス2世のホログラム（レーザー光線によって作られる3次元の立体写真）の撮影に指名された。撮影は大量の眩しい光の中で行い、1カットにつき8秒の露光時間を要し、その間被写体は動けない状態。女王の穏やかな表情を撮るために、目を閉じて、瞑想状態に入っているような写真となった。これがエリザベス2世の初ホログフィクポートレートである。20世紀に最もアイコニックなイメージと言われるこの3Dポートレートシリーズが、クリス・レヴィーンを一躍著名なアーティストにした。

レーザー、LED、レンズ、ライトボックス、写真、彼による初のシルクスクリーンなど、さまざまな媒介物やライト技術によって製作された作品とインストレーションが展示される。また、被写体として登場した歌手のグレイス・ジョーンズと、モデルのケイト・モスのポートレートも見ることができる。観賞者の視覚に刺激する“光”のアートを堪能してほしい。

「CHRIS LEVINE 3.142」
会場｜The Fine Art Society
会期｜5月17日（金）～6月29日（土）
開場時間｜10：00～18:00（月～金）～11：00～16:00（土）
定休日｜日曜日
住所｜148 New Bond Street, London W1S 2JT
Tel. +44-(0)20-7318-1895
http://www.faslondon.com