世紀を越えて作品が邂逅する『ピエール セルネ&春画』展|CHANEL
ART|国や時代を越えて、作品のコントラストを鑑賞する
人間の普遍的な共通点を浮かび上がらせる
『ピエール セルネ&春画』展
シャネルは、フランスのアーティスト・ピエール セルネの写真作品と春画を紹介する展覧会『ピエール セルネ&春画』展を、東京・銀座のシャネル・ネクサス・ホールにて開催する。会期は、前期が2019年3月13日(水)から3月27日(水)まで、後期は3月29日(金)から4月7日(日)まで。
Text by OZAKI Sayaka
人間の普遍性を探究するセルネの作品と、
人間の生を描いた春画が時代を越えて邂逅
ピエール セルネは、フランス生まれの写真家およびパフォーマンスアーティスト。パリのルーブル宮にあるレ・ザトリエ・デュ・カルーゼルでアートを学び、20代前半に写真の世界で働いた後、アメリカに渡りビジネス界で成功をおさめた。そして再びアートの世界に戻って精力的に作家活動に取り組み、アメリカ国内および世界各国の有名ギャラリーや美術館で個展を開催している。
そのセルネの写真作品「Synonyms(同義語)」と、浦上蒼穹堂・浦上満コレクションの珠玉の春画を展示する『ピエール セルネ&春画』展が、シャネル・ネクサス・ホールにて開催される。セルネはこれまで作品を通して世界の人々のあいだに存在する類似点を探求してきたが、今回展示される作品においても文化的、民族的に異なる背景を持つ、個人あるいはカップルのヌードを被写体とし、モノクロのシルエットで抽象的な形態を表現。各作品のタイトルには被写体の名前が付けられており、鑑賞者はそれを通してのみ被写体の性別や国籍、文化的背景を推測することができる。
しかし抽象化された肉体のシルエットは、鑑賞者が被写体の名前から推測する多様性にもかかわらず、性あるいは性行為という人類共通のテーマを表現するのだ。セルネは「私たちはそれぞれ他人とは異なる唯一無二な存在である一方で、普遍的な共通点を持っています。だからこそ、違う文化やライフスタイル、様々な人々をもっと受け入れるべき」と述べる。
このセルネの写真作品とあわせて展示されるのは、浦上蒼穹堂・浦上満コレクションの珠玉の春画の数々だ。春画とは浮世絵のジャンルのひとつで、江戸時代に多くの絵師が筆をとり様々な絵画的実験を試みた。人間の性愛がユーモアたっぷりに描かれた春画は「笑い絵」とも呼ばれ、男女の区別なく人気を博した。本展では、鈴木春信、鳥居清長、喜多川歌麿、葛飾北斎らによる人間の普遍的な生を描いた作品が展示され、国や時代を越えたセルネの写真とのユニークなコントラストを形成している。
ピエールセルネ&春画
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