スウェーデンのアーティスト、ハンス・アンダーソンの日本初個展が開催|ART
ART|スウェーデンのアーティスト、ハンス・アンダーソンの日本初個展が開催
「ファウンドオブジェクト」を使って表現される独特の世界観
スウェーデンのアーティスト、ハンス・アンダーソン氏による日本初個展がLOKO GALLERYにて開催される。展示される作品、そして本展を含むこれまでの全ての個展にはタイトルが付けられていない。鑑賞者が言葉とそれに伴う意味から離れ、言語を超えた領域で作品を知覚し、解釈してほしいというアンダーソン氏の意図が込められている。期間は2019年2月8日(金)~3月9日(土)まで。
Text by WASEDA Kosaku(OPENERS)
直感が生み出す繊細なディテール
スウェーデン・カルマル出身のアーティスト、ハンス・アンダーソン氏。これまでに様々な賞や助成を獲得しており、彼の作品はスウェーデンやノルウェー、日本など多くのコレクションに収蔵されている。
この度、アンダーソン氏にとって日本の地で初めての個展が東京・代官山LOKO GALLERYにて開催される。
彼は長年にわたり、ファウンドオブジェクトを主な素材として抽象の平面や立体作品を制作してきた。路上に捨てられた紙袋やプラスチック、金属屑、古い写真アルバムなど、固有の意味や歴史を内在したオブジェクトに長い時間をかけて手仕事を施す。一度捨てられたものに新たな時間軸を与え、作品として昇華させるのだ。
繊細なコラージュとドローイングが特徴の作品であるが、論理的に組み立てたてられたものではなく、あくまで直感に従うのだという。あえて明確なプランを持たずに素材と向き合い、作品や制作環境とともに作家も変化していく。自発的であると同時に受動的であるといえよう。
禅の思想や西田幾多郎の哲学、もの派の活動に影響を受けたと語る作家は2017年の数ヶ月、日本に滞在した。本展では、日本滞在を得て新たな視座を得た作家が制作した4メートルにも及ぶ巨大な紙のコラージュ作品を中心に、金属や皮革を用いた立体作品も併せて展示。
展示される作品、そして本展を含むこれまでの全ての個展にはタイトルが付けられていない。鑑賞者が言葉とそれに伴う意味から離れ、言語を超えた領域で作品を知覚し、解釈してほしいというアンダーソン氏の意図が込められている。
彼は本展について「マルシア・カヴァルカンテは Lovtal till intet (Eulogy to Nothingness/ 無への讃歌 ) の中で、理解の過程そのものにおいて、解釈の真の価値が模索されねばならず、そのような発見の瞬間が焦点だと書いています。私にとって芸術を創造することは、理解の過程の一部になろうとすることです。それは今この瞬間に起る体験で、そこでは常に何かに初めて出会うことが可能です。それは脱創造の一形式で、世界をとらえた過去の経験とは関係を絶とうとします。これはそれらの経験を拒否することではなく、ただ自分の一部ではないと考えることです」と語った。
個展開催初日には、アンダーソン氏自身によるトークも開催。繊細かつ大胆、そんな作品を生み出す彼の口からどのような言葉が飛び出すのか注目だ。ぜひ足を運んでほしい。
ハンス・アンダーソン 日本初個展
期間|2019年2月8日(金)~3月9日(土)
日時|火曜~土曜 11:00~19:00 ※日曜・月曜・祝日は休廊
会場|LOKO GALLERY
東京都渋谷区鶯谷町12-6
アーティストトーク|2019年2月8日(金)19:00~
LOKO GALLERY