ART│巨匠の全貌を披瀝! 『アーウィン・ブルーメンフェルド 美の秘密』展
LOUNGE / ART
2015年2月16日

ART│巨匠の全貌を披瀝! 『アーウィン・ブルーメンフェルド 美の秘密』展

ART│シュルレアリスムからヌード、ファッションまでを網羅

巨匠の全貌を披瀝! 『アーウィン・ブルーメンフェルド 美の秘密』展

『ハーパース・バザー』や『ヴォーグ』などファッション誌を中心に活躍したアーウィン・ブルーメンフェルド(1897~1969年)。彼の作品の全貌を紹介する日本初の展覧会『アーウィン・ブルーメンフェルド 美の秘密』が、3月5日(火)から5月6日(月・振休)まで東京都写真美術館で開催される。

Text by YANAKA Tomomi

美しい写真の根底に隠れる「戦争」

ファッション・ポートレートの旗手として知られるアーウィン・ブルーメンフェルド。これまでに1981年のパリのポンピドゥー美術館や1996年のロンドンのバービカン・センターなどでの個展で高い評価を得てきたが、重要な作品が世界各地の美術館に散在していることなどから、日本国内で彼の作品の全容を知る機会はなかった。

しかし今回、ブルーメンフェルドの遺族により、1930年代のヴィンテージ・プリントや作家自身が選出した名作100点、カラー復元された美しいファッション写真などが集まった。パリのジュ・ドゥ・ポーム美術館に先んじて、シュルレアリスムからヌード、ファッションまでを網羅した約290点が展示される。

アーウィン・ブルーメンフェルドは、1897年、ベルリンのユダヤ人家庭に生まれた。青年期はシュルレアリスム表現などに親しんでいたが、第一次世界大戦でドイツ軍に徴兵。帰省中にオランダへ亡命を企てるも逮捕され、前線部隊で終戦を迎える。

その後、アムステルダムへ亡命し、生計を立てるために革製品店を営みながらコラージュや写真作品を制作するが、1936年にパリへ移住。ジョルジュ・ルオーやアンリ・マティスら有名人のポートレートが評価され、1939年にはニューヨークへ渡り『ハーパース・バザー』の契約カメラマンに。しかし、ニューヨークからパリへ戻ると同時に第二次世界大戦が開戦。家族が収容所に入れられ、一時離散状態になるも、1941年に無事に解放され、ニューヨークへ移住することとなる。

それ以降は『ヴォーグ』や『ハーパース・バザー』『ライフ』『コスモポリタン』など著名な雑誌に、ダダイズム、シュルレアリスム的要素を盛り込んだファッション・ポートレートを数多く発表。いまなお多くのアーティストに影響を与えており、今回の展覧会ではその魅力、作品群を堪能できるまたとない機会となっている。

二度の世界大戦に翻弄されながらも美しく、オリジナリティあふれる多彩な作品を残したブルーメンフェルド。美しい表現の根底に見え隠れする時代背景、そして思想といった“美の秘密”にも触れてほしい。

『アーウィン・ブルーメンフェルド 美の秘密』展  02

『ヴォーグ』 アメリカ版 1949年11月1日号のためのヴァリエーション © The Estate of Erwin Blumenfeld

『アーウィン・ブルーメンフェルド 美の秘密』
期間│3月5日(火)~5月6日(月・振休) ※月曜休館。ただし、4月29日(月・祝)と5月6日(月・振休)は開館。
時間│10:00~18:00 ※木曜、金曜は~20:00
会場│東京都写真美術館
東京都目黒区三田1-13-3 恵比寿ガーデンプレイス内
Tel.03-3280-0099
料金│一般800円、学生700円、中高生・65歳以上600円

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“Erwin Blumenfeld: a hidden ritual of beauty” is organized by Tokyo Metropolitan Museum of Photography in special collaboration with Nadia Blumenfeld-Charbit, The Blumenfeld Family and Jean-Louis & Mado Mellerio. The exhibition is curated by Nadia Blumenfeld-Charbit andHarumi Niwa, curator of TMMOP.

           
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