中国西安出身の若手気鋭作家、馬嘉豪による初個展「霾(バイ)PM2.5」|ART
ART|社会主義制度の問題を問う気鋭作家
"大量数"への恐怖、そして問題
中国出身の現代美術家、馬嘉豪氏が初の個展「霾PM2.5」をTAV GALLERYにて開催する。世界に対する疑問、そして本質を作品で表現した。期間は2018年11月2日(金) ~11月16日 (金)まで。
Text by WASEDA Kosaku(OPENERS)
社会主義制度の問題を問う、22歳の若手現代美術家の馬嘉豪(マ・ジャホウ)氏。18歳に至るまで反日教育を受け続け、祖国の違和感や国家間の在り方に疑問を抱いたことをきっかけに、来日を果たした、という経歴をもつ。
タイトルにつく"PM2.5"は、「Particulate(微小粒子状物質) Matter(問題)」の略であり、主に工場からの粉瘤や排気ガスなどの様々な問題が複合的に重なった社会問題の総称だ。
本展ではギャラリー空間を調香師、喜覚愛(AI KIKAKU)氏との合同制作により、PM2.5を「煙」により再現し、レディメイドやミクストメデイアの新作を中心とした作品群の中、煙が鑑賞を妨げ香りによりコンセプトを惹き立たせる。斬新な構成が注目のイベントだ。
構成物は、おもちゃや紙飛行機など遊び心を感じられるもの。それを繰り返し大量に登場させると怖さと危険性が感じられるという。
馬嘉豪氏は、今回の個展について「私の表現したいものはこの膨大な人口数の下に存在する問題と矛盾とそれらから産まれる戦争状態だと思う。また、その大量数によって構成した日常風景の中に非日常的を見出したい」と語った。
また期間中の11月2日(金)には、現代美術家・パフォーマーである清水恵美氏と馬嘉豪氏による中国の現代美術の本質に根付くトークショーを開催。中国美術に造詣が深い両者が何を語るのか気になるところだ。
馬嘉豪
1996年 誕生
2015年 来日
2016年 多摩美術大学油絵学科入学
2017年 第4回CAF賞入選
2018年 多摩美術大学油学科在学中
清水惠美
主に行為のパフォーマンスとドローイングを行う。
長年の異文化での生活経験から、差異や境界性・東アジア圏の文化人類学・審美に興味を持つ。1999年宮古島に1年半の滞在後2001年中国に留学。京都造形芸術大学日本画、杭州中国美術学院山水画進修、北京中央美術学院民間芸術科進修・撮影科大学院卒業。北京民生美術館など中国を中心にモンゴル・韓国・タイで作品を発表。北京ゲーテ・インスティトゥート及び汕头大学艺术学院での身体ワークショップ。15年間の中国滞在後2016年に帰国。2016年は詩人だった祖母からの影響からクリエイティビティの源流に興味を持ち、身体表現の別分野での理解をするためプロセスワークを研究。「自由への解釈_20~21世紀の中国美術」講義(2017-2018/あなたの交差転)やドキュメンタリー映画「中国行動」(温普林監督)上映、チウ・ジージエインタビュー(美術手帖)など、中国現代美術を紹介する活動もしている。「民間の力量」(2016 / 中国・北京民生美術館)、「AQUA2017」(ローマ)、グループ展(2016 / 天津・三元当代美術館)、 「Asian Panic!」(2012 / 韓国・光州市立美術館)、LandartMongolia360ビエンナーレ(2018, 2012 / モンゴル)、UP-ON 国際パフォーマンス・アート芸術祭 (2017,2012 / 中国・成都)、重慶長江国際影像ビエンナーレ(2015 / 中国・重慶)など。Responding:International performance festival and meeting 2018副ディレクター。
馬嘉豪 個展「霾(バイ)PM2.5」
会期|2018年11月2日 (金) - 11月16日 (金)
会場|TAV GALLERY
東京都杉並区阿佐谷北1-31-2
時間|13:00 - 20:00
休廊|水曜、木曜
レセプションパーティ
日程|11月2日(金)
時間|18:00~20:00
トークイベント
日程|11月2日 (金)
時間|19:00~
入場料|500円