ART FILE 07｜「Maurizio Cattelan AMEN」｜連載「世界のアート展から」

ART FILE 07｜ポーランド・ワルシャワ｜「現代美術センター」
マウリツィオ・カテランによる独特で刺激的なアート

「Maurizio Cattelan AMEN」

ポーランドのワルシャワにある現代美術センターでは、2012年11月16日から2013年2月24日まで、マウリツィオ・カテランの個展「Maurizio Cattelan AMEN」が開催されている。いま最も注目されているイタリア生まれの現代アーティストの作品を一挙に展示する。

Text by Winsome Li (OPENERS)

Untitled, 2007　Courtesy of Maurizio Cattelan’s Archive

衝撃的な表現方法で｢命と死｣を訴える

ニューヨークのグッケンハイム・ミュージアムでしている回顧展の成功によって、マウリツィオ・カテランはアート界で話題になった。今回の展示作品は彼の最新作であり、さまざまな作品を通して、死、犠牲などについて訴えている。

多数の展示作品のうち、最もビジュアルとして衝撃的なのが「死にかける馬」と「苦しめられた女性」だろう。両作品とも人類の道徳観念に視点を置き、死や犠牲の概念を新たな形で映している。そして、「苦しめられた女性」はさらに女性が直面する苦痛を突きつけている。その女性はレイプと家庭内暴力の被害者であり、加害者の良心に無言で非難している。

マウリツィオ・カテランはよく自分自身のことを作品のモチーフとして使う。二体の複製像をベッドの上に寝かせた作品は、人間が死に向かう際にすべての事象が裸になるという本質を示す。もう1つ注目すべきインスタレーションは、多数のハトが天井に集まった作品。ハトが人間の頭上を飛ぶことで、人間はハトに怯えて、警戒心を持つ。つまり、私たちはつねに他人に見られ、何かにおびやかされる時の気持ちを表現している。

斬新な表現方法で作り上げたマウリツィオ・カテランの作品は、それぞれが強烈なイメージとメッセージを我々に与えるだろう。