既成概念を取り払う、innocent（＝無邪気）な発想

いま注目するアーティストを招き、感性を刺激するトークと松嶋啓介シェフによるおいしい料理で、大人ならではの贅たくな時間を提供する「食とアートの会」。第16回目を迎える今回は、信藤三雄展「これは書ではない！」を開催。

“信藤三雄”という名は知らなくとも、彼の手がけたCDジャケットは誰もが一度は目にしているはずだ。Flipper’s GuitarやPIZZICATO FIVEなど、いまも大きな影響力をもつ“シブヤ系”と呼ばれたアーティストから、松任谷由美やMr. Childrenなどの大物アーティストをまで、約1000枚ものジャケットデザインを手がけてきた、音楽業界のカリスマアートディレクター、信藤三雄氏。彼のデザインの歩み＝日本のCDジャケットデザインの進化の歴史、と言っても過言ではないだろう。その才能はジャケットデザインにかぎらず、ミュージックビデオ、映画、CM、コンサートの演出など多岐にわたる。

「Beauty」

「Pray」

今回は「みずからの活動のなかで、これこそが自分そのものである」と、みずからが語る作品群を展示。和紙に墨と筆で描かれた文字というスタイルは、思わず「書」と呼びたくなるが、本展示に信藤氏が付けたタイトルは「これは書ではない！(CECI N'EST PAS UNE CALLIGRAPHIE)」。これはシュールレアリスムを代表するルネ・マグリットの「これはパイプではない」という絵のタイトルの語法を引用したものだ。この挑発的なタイトルに対して、彼の作品はとても無防備で“innocent＝無邪気”な印象。デザインの世界で長いキャリアと実績をもつ彼の“innocent”な感覚は、「これは書ではない！」という意識によって成立しているのかもしれない。「書」という既成概念を外して、自由にその作品と向き合える空間となりそうだ。

約30年近くにわたり多くの名作ジャケットを手がけてきた信藤三雄氏と、世界で活躍するフレンチシェフ松嶋啓介氏とのクリエイティビティに富むトークを聞きながら、おいしい料理や酒に舌鼓を打つ──デザイン界の重鎮がみせるあらたな表現に出合う、五感を刺激する一夜かぎりのアートサロンへ出かけよう。

信藤三雄｜SHINDO Mitsuo
1948年東京都出身。日本のアートディレクター／映像ディレクター。松任谷由実のジャケットデザインを機に、Pizzicato Five、Flipper’s Guitar、Cornelius、Mr.Children、サザンオールスターズなど、約1000枚にもおよぶジャケットデザインを手がける。また、数多くのミュージックビデオの監督もつとめ、桑田佳祐「東京」では、2003年度SPACE SHOWER MVA BEST OF THE YEARを受賞。ほかにもCMディレクターやステージ演出、映画監督など、その活動は多岐にわたる。

第16回「食とアートの会」　信藤三雄展「これは書ではない！」
日程｜5月30日(水)
時間｜オープン 19:00、ディナー 19:45、トークショウ 20:15～20：45
会場｜Restaurant-I
東京都渋谷区神宮前1-4-20 パークコート1F
定員｜80名　※要予約
参加費｜8000円（立食フルコース／飲食代込）
ドレスコード｜和ものの装飾品
※和服が理想ですが、下駄でも草履でも、かんざしでも、水引でも、和ものの装飾品を身につけて参加ください！

店内作品展示期間｜2012年5月22日(火)～6月下旬
展示予定作品｜20点

主催｜+ART CLUB www.plusartclub.com
協力｜信藤三雄事務所 http://www.snd320.net/