ロエベ マイアミ店で、アートエキシビションを開催|LOEWE
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ロエベのディレクターみずからが厳選
ロエベ マイアミ店で、アートエキシビションを開催
会期は2016年1月17日(日)までで、米国マイアミのデザイン地区にあるロエベ ブティックでアートエキシビション『CHANCE ENCOUNTERS』が開催中。世代を超えた4名のイギリス人アーティストにフォーカスし、約40点もの作品を展示、さらにルーシー・リーの陶芸作品も並ぶ。
Text by UENO Kohei
過去と現在の出合い、その破壊的な美しさ
12月2日(水)から2016年1月17日(日)にかけて、マイアミ・デザイン地区にあるロエベ ブティックで初のアートエキシビション『CHANCE ENCOUNTERS』が開催中だ。ロエベ財団のクリエイティブ・ディレクターであるジョナサン・アンダーソン(Jonathan Anderson)氏がキュレーターを務めているとあって、各方面で大きな話題となっている。
「いま現在のアブストラクトなポートレートを表現するイメージの集合」として考案されたこのエキジビションでは、アンセア・ハミルトン (Anthea Hamilton)、ポール・ナッシュ(Paul Nash)、ルーシー・リー(Lucie Rie)、ローズ・ワイリー(Rose Wylie)という、世代を超えた4名のイギリス人アーティストにフォーカス。彼らの代表的な作品約40点が一堂に会する光景は壮観だ。
「ロエベ ブティックの構想を練った時の最初のアイデアが、『スペインの歴史とものづくりをモダンに持ち込んだ環境をつくる』というものでした。このプロジェクトにおける最終目標は、アーツ&クラフツをはじめとするさまざまな分野の“会話”を生みだすことです。このエキジビションは、私の心に残り、私の思考を構成するようになったものを集めた一瞬一瞬のパーソナルなスナップショット。私にとってアートとは、“いまこの瞬間”を吟味するためにそれを通して見るレンズなのです」とはアンダーソン氏の談。
ロエベ マイアミディストリクト ブティックは2015年3月にオープン。同ショップの中央には、18世紀にスペイン・ガリシア州とポルトガルとの国境近くに建設された「ホレオ(木造の穀物用倉庫)」の実物が配置されており、今回のエキシビションはその「ホレオ」を中心に展示。伝統とモダニティを尊重するロエベを体現し、アンダーソン氏のクリエイティブ・アプローチの要である「矛盾の可能性」を包含しながら、過去と現在との出合いを演出している。
また、エキシビションの核となるのがオーストリア生まれの英国人ルーシー・リー(1902年~1995年)による陶芸作品だ。リーは陶芸技術をあらたな美意識の高みへと押し上げ、その繊細なラインと洗練された機能性を特徴とするフォルムを生みだした人物。リーの装飾的な花瓶やボールとともに、教え子であったハンス・クーパー(Hans Coper)との共作である、実用性と優美さを兼ね備えたキッチンウェアも並ぶ。
リーの明瞭で様式化されたフォルムは、英国人画家であり、戦場アーティストとしても名を馳せたポール・ナッシュ(1889年~1946年)の写真作品と切っても切れない関係であったことは無視できない。ナッシュのモノクロ写真は、陳腐に見える風景――波が寄せては返す海岸や耕したばかりの畑――がもつシュールな美しさと、タイムレスな魅力に満ちている。
リーとナッシュの抑制されたフォルムとは対照的に、ローズ・ワイリー(1934年生まれ)とアンセア・ハミルトン(1978年生まれ)の作品は、どこか大げさで、芝居がかっていることに喜びを見いだしているのが特徴。現代世界に対する我々の理解を形作るイメージの、エンドレスな流れのなかを漂っているようだ。
偶然の出合いがもつ破壊的なうつくしさ。時間、場所、テーマに束縛されることのないジョナサン・アンダーソン氏とロエベが描くビジョンを大いに楽しんでほしい。
『CHANCE ENCOUNTERS』
会期|2016年1月17日(日)まで
会場|Loewe - Miami Design District
3841 NE 2nd Ave #400, Miami, FL 33137 アメリカ合衆国
http://www.miamidesigndistrict.net/listing/435/loewe/